【3行要約】
・未経験の仕事でも成果を出す人と、マニュアルがないと動けない人の違いは経験の差ではなく「地頭」にあります。
・木下勝寿氏は「知頭は正解を探し、地頭は正解を作る」と語り、答えそのものではなく「答えの出し方」を考える重要性を指摘します。
・経験だけに頼る働き方を脱し、初めての業務でも自力で答えを導き出す「地頭スイッチ」の切り替え方と構造を解説します。
——社長! 地頭が良くなるにはどうすればいいんですか?
木下勝寿氏(以下、木下):突然どうしたんですか?
——いつも一生懸命仕事をしているんですが、やったことがない仕事を振られるとぜんぜんダメなんです。(仕事のやり方は)先輩にも教わって、マニュアルも覚えてしっかりやっているつもりなんですが、結局いつも「どうすればいいんですか?」って聞いちゃうんですよ。
しかも、同期にはほとんど経験がないのにスイスイこなす人がいて、「あいつは本当に地頭がいいよなぁ」ってよく言われているんです。「正直、周りと比べて自分は地頭が悪いのかな?」っていっつも落ち込んでいます。
木下:では、今回は地頭が良くなる方法についてお話ししたいと思います。ブックマーク必須の永久保存版になると思います。まず、前半では地頭の仕組み、後半では地頭を良くする具体的方法についてお話ししたいと思います。今回、人生が変わるかもしれないので、じっくり聞いてください。
経験豊富な人ほど仕事ができるとは限らない
木下:では、最初に仕事と地頭の関係についてちょっとお話ししたいと思います。まず、見てくださっているみなさんに質問です。「経験豊富な人ほど仕事ができると言われますけれども、本当にそうでしょうか?」ということですね。
これは結論から言います。ビジネス経験37年の私から言いますと、経験はそこまで重要ではないと思っています。例えば「20代で起業して一代で上場企業を作り上げるような超仕事ができる人は、どれほど経験を持っていたか?」ということですね。
サイバーエージェントの藤田晋さんや、ライブドアの(社長だった)堀江貴文さん、最近でいくとタイミーの小川(嶺)さん。こういった方々は20代で上場企業を自らの力で作り上げています。
彼らは、商品開発も営業もマーケティングも事業戦略構築も、経験はほとんどありません。人に答えを聞かずに、自分の頭で考えながら事業を作り上げてこられました。

そもそも「僕は上場企業を作りたいんです。どうやったらいいですか?」と聞こうにも、「それはこうすればいいんだよ」って答えられる人自体がほぼいませんよね。
「どうやって商品を作ればいいのか?」「どうすれば売れるのか?」「どこに課題があるのか?」。これを全部自分で確かめて、うまくいかなければ自分で理由を考えて次の一手を試す。そして前例を探すより自分で考え、結果を見て修正する。これを高速回転させながら結果を出してこられました。
その結果、同世代の人たちが逐一上司の指示をあおぎながら経験を積んでいるうちに、彼らは自分で事業を作り上げて、20代のうちに上場企業を作り上げたんですね。(普通に仕事をしていると)20代でそこまで特別な経験はなかなか積めないと思います。
(けれども、)実際にそういう人はたくさんいらっしゃいます。彼らはもともと正解を知っていたわけでも、特別な情報を持っていたわけでも、経験が豊富だったわけでもないんですね。じゃあ、何が違うのか? やはり地頭がいいんですよね。
もちろん仕事(ができること)と経験(があること)はまったく関係がないとは言いません。経験が豊富であれば、レベル10に達することはできます。しかしレベル100に達するには、やはり地頭のほうが重要なんですね。いくら経験豊富でもレベル100にはたどり着けません。
みなさんがどれだけがんばって経験を積んでも、上場企業を作り上げるところまでたどり着くことはなかなか難しいと思います。やはり経験だけでは無理な領域というものがあります。仕事の8割ぐらいは経験だけでは(そういう領域まで)なかなか到達しないんですね。
一方で地頭さえあれば、経験がなくてもそんな偉業を成し遂げられたりするんですね。誰しもがそんな偉業を成し遂げる必要はないと思うんですけれども、今日は、経験では越えられない壁を乗り越えるために地頭を良くする方法をお教えします。逆に地頭さえ良ければ、経験なんてほとんど関係なくどんな仕事もできるようになるんですね。ぜひ、この後の話にご期待いただきたいと思います。
地頭がいい人とは「初めてのことでもやれる人」
木下:では、まず地頭がいい人の定義について説明したいと思います。「あの人は地頭がいい」「あの人は地頭が良くない」という会話をよく耳にすると思います。
一般的に「地頭がいい」と言われるのはどんな人かというと、例えば1を聞いて10わかる人。議論の中で「それってこういうことですよね」と、すぐに本質を言い当てる人。未経験の仕事でもなぜかスイスイこなしてしまう人。誰も思いつかないような画期的な方法で複雑な問題をパッと解決してしまうような人。こういう人は地頭がいい人と言われます。

一方で、「地頭が良くない」と言われる人もいます。言われたことしかできない人。応用が利かない人。一生懸命考えているのに、いつもピントがちょっとずれてしまっている人。マニュアルがないとぜんぜん動けない人。「なんでこうしたの?」と言われても理由が答えられない人。こういう人は地頭が良くない人と言われることがあると思います。
ここで、地頭がいい人とそうではない人の特徴を明確に定義します。まず地頭がいい人とは、初めてのことでもやれる人なんです。地頭が良くない人とは、やったことがあることはできるけれども、やったことがないことは他人に聞かないとできない人なんです。

「やったことがないのにできるわけがないじゃないか」「知らないなら他人に聞くしかないじゃないか」と思った人がいらっしゃるかもしれません。でも、最初の話を思い出してほしいんですね。20代で上場企業を作るような人は、誰にも聞かずに作っていますよね。
そこまで大きな偉業ではなかったとしても、初めてのことでもできる人がけっこういるんです。そういう人は、実は頭の使い方が違います。今回はその頭の使い方を覚えましょうという内容です。
地頭は能力ではなく「状態」の問題
木下:ただし、地頭がいい人と地頭が悪い人が別々の人間として存在しているわけではなくて、実は同じ人間の中に地頭がいい時と地頭が悪い時が同居しているんですね。
例えば、仕事では圧倒的な成果を出しているのに恋愛になるとまるでダメになる人。超一流大学に通っていて勉強はすごくできるのに、アルバイト先ではぜんぜん仕事ができない大学生。勉強は苦手でも遊びになると抜群に段取りがいい人。こういった方々っていらっしゃいますよね。

私自身も仕事面においては地頭がいいと言ってもらうことが多いんです。けれども、家庭においては買い物をよく間違うとか、掃除がまともにできないとか、旅行や遊びの計画はぜんぜん立てられないんですね。プライベートではなかなかのポンコツぶりを発揮しています。
もし地頭が生まれ持った脳のスペックだったとしたら、こんなことは起きないはずなんですね。高性能スペックのパソコンは、どんなソフトを動かしても速く動きます。なぜ多くの人が公私でこんなに(出来不出来の)ムラが出るかというと、実は地頭とは能力ではなくて状態の問題なんですね。
「地頭スイッチ」の切り替えで地頭モードに入る
木下:人は地頭を使っている時と使っていない時があります。地頭を使っている状態を「地頭モード」と言います。そして、地頭モードに切り替えるものを「地頭スイッチ」と言います。

(スライドを示して)今、図が出ていますけれども、このスイッチによって「地頭」と「知頭」というものを人間は無意識に切り替えているんですね。もちろん意識的に切り替えていらっしゃる方もいると思いますが、地頭が働いている時というのは、地頭スイッチが押されて地頭モードになっています。地頭スイッチがオフになっている時は、知頭モードになっているんですね。
つまり地頭がいい人は、地頭モードのスイッチを適切に入れられるということですね。逆に「地頭が悪い」と悩んでいる人は、もともとの能力が低いのではなくて、スイッチの場所や切り替え方をまだ知らないだけなんですね。
例えば今、自分がやっている仕事を思い浮かべてください。仕事の手順について「なんでその手順でやっているの?」と聞かれたとしてください。その時に「なんでこの手順で(やっているか)は考えたことがなかった」「今までそういうやり方をしていたので」「○○さんがそうしなさいと言っていたので」と答えた人は、(仕事で)地頭を使っていない状態なんですね。
なので、今日はその地頭スイッチの切り替え方を教えていきたいと思います。スイッチの切り替え方をマスターすることで、あなたは劇的に地頭の良い人になります。