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まだ才能だと思ってる? 地頭を3週間で伸ばせる「思考の型」(全4記事)

地頭がいい人と悪い人を分ける決定的な違い 仕事ができる人が無意識に行う“思考のクセ” [2/2]

「頭がいい」には2種類ある

木下:ここから地頭の構造の説明に入っていきたいと思います。まず「人間として頭がいい」には、実は2種類あるんですね。例えば「勉強ができる」「物知りである」「知識がある」「記憶力がいい」「話がうまい」「理解が早い」「要領がいい」「発想力がある」「ロジカルである」「空気が読める」とか。これらは全部頭がいい人の特徴なんですけれども、ちょっとずつ意味合いが違うんですね。

例えば、学校の勉強が得意な人は高い能力を持っていることがもちろん多いです。けれども、学校のテストに強いことと、仕事や人生で地頭がいいと言われるのは完全に同じではないんですよね。

学校の勉強は、知識を覚えるとか、公式を覚えるとか、出題パターンを覚えるとか、かなりの部分が「すでにある正解をどれだけ正確に取り出せるか」「適切なタイミングで再現できるか」の勝負になってきます。これを英語では「Book Smart」というらしいですね。「本による知識の賢さ」ということです。

でも一方で、人生や現実の仕事においては、最初から正解が用意されていないことが多いんですよね。例えば「売上が下がっている原因を考えてください」「新しい商品企画を考えてください」「採用がうまくいかない理由を見つけてください」「部下のモチベーションが落ちているので改善してください」「家庭と仕事のバランスをどう取るか考えてください」とかです。これらは問題集の後ろに答えが載っていないものなんですね。

つまりここで必要なのは、正解を覚えているかどうかではなくて、状況を見てその場で答えを組み立てることなんですね。これを英語では「Street Smart」と言います。「ストリートで生きていく中での大事な賢さ」ということですね。一言で頭がいいといってもいろいろ違いがありそうだということにまずは気づいてください。

経験で伸びる「知頭」、一瞬で良くなる「地頭」

木下:これを2つに分けるのが「地頭」と「知頭」という概念です。(スライドの)図を見ていただきたいんですけども、人間の脳は地頭ゾーンと知頭ゾーンの2つに分かれています。

まず、知頭の機能というのは、知識や情報を貯めたり記憶したりする部分ですね。これが知頭、「知識」の「頭」ですね。勉強をすればするほど、経験を積めば積むほど、勉強して情報や知識を収集していくほど知頭は良くなっていきます。

一方で、地頭の機能というのは、理解して思考していく部分ですね。地頭というのは、経験を積んでも勉強しても良くなりません。逆に言うと、地頭は一瞬で良くすることができるんですね。

なので、この2つは機能が違いますので、物事を経験していく中で脳にストックしていくものが違ってきます。わかりやすく言うと、問いに対して答えがある(物事を経験するとして)、ここに対する向き合い方も知頭と地頭ではまったく違ってくるんですね。

知頭は「問いと答え」をそのまま記憶する検索エンジン型

まず知頭が行っているのは、問いと答えの組み合わせを記憶していく作業です。「この業務はこの手順でやります」「この仕事はこのフォーマットで進めていきます」というふうに、過去のやり方を蓄積していくんですね。

例えば問Aに対しては「答えは1です」。問Bに対しては「答えは2です」。問Cに対しては「答えは3です」というように、知頭では与えられた情報をもとに問いと答えの組み合わせをどんどんインプットしていくんですね。

インプットした情報をもとにアウトプットする場合、知頭の思考の動きは次のようになってきます。知っている問いや過去に経験した問いがあった場合、知っている答えや過去に経験した答えをそのまま当てはめます。知らない問いや未経験の問いが出てきた時は、過去に経験したものに似た問いの答えを当てはめます。また、似た問いがなかったとしたら、他人に答えを聞いてそのまま採用していくということですね。

これが知頭での働き方です。なので知頭では、経験したことがないことに対しては「自分では答えられないので誰かに聞く」という考え方になってきます。

例えば「採用しましょう」という問いがあるとします。過去に求人媒体Aに求人広告を出稿していた場合、「採用しましょう」という問いに対しては、「じゃあ、今回もAという広告媒体に出しましょう」という答えになります。

一方で、過去に求人広告を出したことがなかったとすると、リクルートやマイナビの人に連絡して「どこに出せばいいですか?」と他人に聞くことになります。これが知頭での行動になってきます。

知頭の場合の頭の使い方は、技術で例えると検索エンジンに近いんですね。すでにWeb上にある答えの中から、問いに合いそうな同じキーワードが含まれているものを検索して探してくる。なので厳密に言うと、知頭モードでの「考える」とは、過去に培った知識に答えがあるかどうかを考えるのであって、問いに対して答えそのものを考えるものではないんですね。「検索をしている」という状態になっています。

なので、知頭モードでは新しい答えを生み出す思考回路にはなっていません。いわば「2×3=6」を、「理由はわからないけど『ニサンガロク』と習ったから答えは6」と丸暗記している状態です。掛け算を理解せずに「2×3=6」と九九を暗記しているだけの状態だと、「12×36は?」という問いには答えられないんですね。「2×3=6」になる理由がわかっていないからです。

地頭は「答えの出し方」という因果関係を覚えている

木下:一方「地頭」は、問いと答えの間にある理由を経験の中で覚えていきます。知頭が答えそのものを丸暗記していくのに対して、地頭は「どうやってその答えにたどり着いたか」という思考の道筋を考えていきます。

例でいきますと、問Aから因果関係αがあって、答えは1です。問Bに対して因果関係βがあって、答えは2です。問Cに対して因果関係θがあって、答えは3です。つまり、地頭がインプットするのは答えではなくて答えの出し方なんですね。

なぜそうなのかという理由をインプットしていきます。要するに、問いと答えの因果関係ですね。なので地頭がアウトプットする場合は次のような行動になります。

知っている問いや経験のある問いに出会った時は、理解している答えの出し方を使って対応します。同じ問いでも状況が違っていればあえて別の答えを出す場合もあります。これがいわゆる臨機応変というものですね。答えの出し方そのものを知っているので、ちょっとでも違えば違う答えが出せるという状態です。

一方、知らない問いや未経験の問いに出会った時は、答えの出し方を理解しているので、それを使って新しい答えを生み出します。

「採用しましょう」という、さっきと同じ問いがあったとします。前に出したのは求人媒体Aでした。しかしその求人媒体Aを選んだ理由は、前の採用職種のシステムエンジニアに人気の媒体だったからなんですね。

でも、今回の職種はデザイナーの採用なんですね。すると今回は、「デザイナーによく見られる求人媒体をいろいろ自分で調べたところ、求人媒体Bがいいとわかりました。なので今回は求人媒体Bにします」という答えになるんですね。

つまり、「採用」と「求人媒体の選択」の因果関係に「職種に合った媒体」という理由が存在しています。この因果関係が存在していて、それを理解していたんですね。この答えの出し方というのが、この後説明する地頭スイッチの部分になってきます。知頭が過去の正解を探しにいくのに対して、地頭は目の前の条件からその場で考えるという違いがあります。

これは生成AIの推論モデルに近いですね。あらかじめ決められた答えを探すのではなくて、入力された情報をもとにその場で最適な答えを作り出していきます。地頭スイッチが入っていると、マニュアルがなくても、正解を知らなくても、自分の頭で考えることができます。

誰かに「なんでこのやり方にしたの?」と聞かれた時に、知頭モードの人は「前からこうしていたので」とか「上司に以前そう言われたので」と答えます。でも地頭モードの人は「今回の目的だとこの方法が一番合理的だと思ったからです。理由はこうです」「前回とは条件が違うのでやり方をこう変えました」「コストとスピードのバランスを考えて、今回はこのやり方を選びました」と答えていきます。

知頭は「正解を探す」、地頭は「正解を作る」

木下:ここで正解の概念について、知頭と地頭ではどれぐらい違うかを説明したいと思います。まず知頭では、正解はすでに世の中に存在しているものと思っています。なので知っているか知らないかという判断基準なんですね。知らない場合は知っている人に聞きます。

一方で地頭で考える人は、正解は作るものだと考えています。例えば知頭の場合は、ある仕事の成果を出すために「A」「B」「C」という手段があった場合、このうちどれが正解かを考えます。知頭では、知っていれば知っている答えを選びますし、知らなければ知っていそうな人に聞きます。

でも地頭の場合は、「A」「B」「C」のどれが正解に近いかを、(自分で理解している)答えの出し方に基づいて選びます。その答えの出し方でどれにも当てはまらなければ、新たに「D」や「E」という選択肢を生み出していきます。

選んだ選択肢も必ず正解とは限らないために、まずは可能性が高いものを選んで実行しながら、その選択肢の手段を正解にしていくんですね。難しい仕事には物理や数学の公式のようにスパッと割り切る正解があるわけではないんです。知識だけで対応する知頭では単純な物事の正解にしかたどり着けません。地頭モードに切り替えないと本当の正解にはたどり着けないんですね。

地頭なら因果関係の10倍の問いに対応できる

木下:学校の勉強ができたり高学歴だったりするんだけど仕事では応用が利かない人は、知頭だけがいい人なんですね。最初に「仕事ができるかどうかに経験はあまり関係ない」という話をしました。知頭では1,000個の問いに答えるには1,000個の答えを知っていなければなりません。だから経験を積めば積むほど賢くなります。逆に言うと、経験を積まなければ賢くなれないんですね。

地頭では1,000個の問いに対して1,000個の答えを覚える必要はありません。100個の因果関係がわかれば残り900個の問いには因果関係を当てはめると答えられるようになってきます。なので未経験の問いにも対応できるんですね。

1万個の問いに答えられるようになるためには、知頭では今から10倍の時間が必要です。でも地頭では最初の100個の因果関係の応用でいけるようになってきます。

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