【3行要約】
・上司に「論点がずれている」と言われる人と、スムーズに議論が進む人。その違いは「問い」の捉え方にあります。
・豊間根青地氏は、すべての仕事は「?」で構成されており、論点とは「今答えを出したい1つの問い」だと語ります。
・「Yes/Noの質問に背景から答えていないか」。コミュニケーションのずれを防ぐための具体的な考え方と方法を紹介します。
論点とは「今、答えを出したい1つの『問い』」である
豊間根青地氏:「しごおもTV」の豊間根です。今日は「論点がずれないようにする方法」をお話しします。みなさんも一度は「論点がずれているよ」と言われたことがあるんじゃないかなと思うんですよね。
上長と話していて「論点が違うでしょ」「論点がずれているよ」と言われて、「え? 論点がずれているってどういうことやねん?」と思って。上司も「だからテーマが違うというか、トピックというか、観点が違うのであまりうまく説明できない」みたいなことがあると思います。
今日はそんな方のために「論点とはそもそも何なのか?」「どうすれば論点を捉えられるのか?」を、ざっとお話ししたいなと思っています。まず「論点とは何か?」という話なんですけど、論点というのは端的に言うと、今答えを出したい1つの「問い」です。これを「論点」だと定義したいと思います。
これをもうちょっとブレイクダウンすると(スライドを示して)「①今、答えを出したい問いである」「②疑問文である(はてなマークで終わる)」「③はてなが1個である」ということを、論点のルールとして持っておきたいなと思います。
前提として、我々の仕事って基本的には「?」に対して答えを出すことなんですよ。例えば、究極的に会社というのは「どうやったら永続的に利益を出し続けられるか」という「?」を、会社という仕組みで解いているのが会社じゃないですか。
我々の仕事も、例えば人事部だったら「どうやったらめっちゃいい人をなるべく安く採用できるか」と考えています。営業の人だったら「どうやったらいかにでかい案件を受注するか」ということを考えているわけですよね。他にも生産部の人だったら「どうやったらいかに生産コストをもっと下げられるか」ということを考えたりするわけですよ。
その「?」に対して「こうやったらコストを下げられるぞ。だからこうします」「やった。コストを下げられた。イェイ」みたいに、我々というのはある「?」に対して答えを出して、それで成果を上げて、「やったね」という対価としてお金をもらうのが仕事なんですよね。だから、我々の仕事って基本は全部「?」で構成されているんです。
役割やタイミングによって、追うべき「?」は常に変化する
だけど「?」といってもいろいろ大小があるわけですよ。例えばイチ営業の若手の新人の人が「どうやったらうちの会社って永続的に利益を出し続けられますかね?」と言ったら、「お前、そんなことはいいからアポ行ってこい」となるわけですよ。
だから粒度とかタイミングとかレイヤーによって、追うべき「?」は変わってくるんですね。あらためてさっきの定義に立ち返ると、論点というのは「今、自分たちが向き合わなければいけないたった1つの問い、『?』は何なのか?」ということを定義するのが論点です。
これって揺れ動くんですね。1個明確に決まるものじゃなくて「これかな?」と変わったりするし、ある1個を決めて、そこからブレイクダウンされて論点がいっぱいつながったりするんです。だけど「『?』を決める・追うことが大事だよ」というのが、まず論点というものの性質です。
それを踏まえて、いろいろ「?」はあるんだけど、今この瞬間に向き合うべき答えを出したい問いであり、それは「?」で終わって、まず1個に絞って切り分けていこうぜというのがこの定義ですね。
例えば「豊間根の好きな食べ物は何か?」。ミョウガなんですけど、それはいいとして、これは論点といえば論点なんですよ。なぜ論点かで言うと「?」で終わっていますね。「?」は1個じゃないですか。論点のさっきの3つの要素のうち、2つは満たしているんです。
でも致命的な問題が1個あって「①今、答えを出したい問い」じゃないわけですよ。「論点って何ですか?」「論点を捉えられるようになりたいです」という人たちに対して、「僕はミョウガが好きで、お味噌汁にもいっぱい刻んで入れます」みたいなことはどうでもいいわけですよ。今答えを出さなくていいわけですね。だからこれは論点じゃないんです。
論点になり得るシーンもあるはずです。例えば豊間根が誰かとお見合いをしました。いろいろ雑談をしてお近づきになる中で「ちなみに好きな食べ物は何ですか?」と。お見合いで好きな食べ物を聞くのは、なかなか渋めのところから攻めた感じですけど、だとしたら論点になり得るわけですよ。
仲良くなるために、お互いをどう知り合うかということのために、食べ物の好みを聞いておきたい・知っておきたいという時に「豊間根の好きな食べ物は何か?」だったら論点になるんだけど、今は違うよねという話です。
アジェンダと論点は違う。「?」で終わらないテーマは論点ではない
次の例「論点について」。これは論点でしょうか? 論点じゃないですよね。なんで論点じゃないかといったら「?」がないわけです。今日の動画のテーマは論点を考える動画なので「論点について」というのは関連はしていそうですよね。でも、論点について何なのかがわからないわけですよ。だからこれは論点じゃないです。論点というのは必ず「?」で終わります。
ちなみにこれ、けっこうやっちゃいがちなんですよ。論点というのは、会議設計・ファシリテーションにおいては「アジェンダ」と言い換えることができます。会議のアジェンダというものの定義って、人によって微妙に違うんです。
会議の進め方・スケジュールというか、60分だったらその60分をどう使うかみたいな、切り分け方のタグ付けみたいな意味で、アジェンダって使う人が多かったりします。それも別に間違いじゃないんですけど、考えるべきは論点なんですね。
「どうすれば論点を捉えるコミュニケーションができるか?」という論点に対して「そもそも論点とは何なのか?」「その論点をどうやったら捉えられるようになるのか?」というふうにちっちゃい「?」を積み上げて、最終的に向かいたい「?」に向かっていくためのちっちゃい「?」がアジェンダなんですね。
何の話かと言うと「論点について」というのは「?」が付いていないので、会議のアジェンダとしても微妙だし、論点じゃないよということですね。
次、「論点とは何か? どうすればずれることを避けられるか? なぜずれると困るのか?」。これは論点かで言うと、論点じゃないですね。「?」がいっぱいあり過ぎるからです。論点というのは、必ず1つの「?」にする必要があります。
切り分ければ論点になりますね。「論点とは何か?」「どうすればずれることを避けられるか?」「なぜずれると困るのか?」。1個1個に切り分ければ今日の論点になりそうなんですけど、1個にギュッとしない。ギュッとしちゃうと、結局どこに向かっているのかわからなくなっちゃいます。必ず切り分けて「今これに向かっているよね」ということをはっきりすることが大事です。
なので「?」は1個。例えば「論点とは何か? それは○○である」という答えを出したいという、これは1個の論点なわけですね。まさに今日の動画の目次は一種のアジェンダですけど、これって「論点とは何か?」「どうすれば論点を捉えられるか?」という2つの論点によって作られています。
「論点を捉えられるようになりてぇ」と思っている人に対して「そもそも『論点』とは何かを押さえましょう」「それをどうしたら捉えることができるかを話しましょう」というふうに「?」を2つ連ねて、みなさんの疑問に回答しようとしているわけですね。ここがまさに論点です。
こういうふうに、あるゴールに向かっていく、ある課題に答えを出して進めていくために、答えを出さなきゃいけない「?」が論点であるというのがここでの話です。
論点を捉える第一歩。すべての仕事は「?」のコントロールから始まる
じゃあ「どうしたら論点を捉えられるか?」という話なんですけど、これは要するに「?」から考えるということなんですね。我々の仕事って、全部「?」なんですよ。すべての仕事には「?」が存在します。例えばさっきの人事の話で言えば「いかに採用者を増やすか?」。
ただ「採用者をいかに増やすか?」という「?」に向かっていくために、じゃあ「今(応募者は)何人なのか?」「今までの応募者はどういう経路で来たのか?」「入ってくれた人は何に魅力を感じてくれたのか?」「競合他社はどんな採用をしているのか?」「入社してくれた人はちゃんと定着しているのか?」みたいな、「?」がいっぱいあるわけですね。
この「?」を自在に操って、今はこの「?」、今はこの「?」、次はこの「?」と、「?」をうまくコントロールしている人が仕事ができる人であり、論点を捉えられている人なんですね。
この「?」のパターンってそんなに多くないんです。我々が仕事に向き合うのって、(スライドを示して)だいたい、Why「なぜ○○なのか?」とか、What「○○をするために何をするべきか?」「○○とは何なのか?」とか、How「どのように○○をするべきか?」とか、Which「AとBのどちらが○○か?」とか、あるいはYes/No「Aは○○か否か?」。
こういった感じで、そんなにパターンは多くないんです。我々が仕事をする時に向き合う「?」というのは、だいたいこれで整理できます。厳密に言うと、他にもWhoとかWhereとかあるんだけど、だいたいこれに落とし込まれます。
コミュニケーションのズレを防ぐ「シンプルな問い」の意識
ポイントは、まず自分が今向き合っている「?」がどれなのかを意識するということなんですね。ありがちなのが「?」を考えずに脳から直接出ちゃう・話し始めちゃうとか、とりあえず手を動かしちゃうとずれるんですね。
例えば「この提案、このまま進めるということでいい?」と質問されたのに対して、「実はクライアントとの関係が3年前からありまして、最初は別案件で~だったんですけど……」「ちょっと待って。進めるか・進めないか、いいか・悪いかを聞いているんだけど。論点をずらさないで」と言われることがあると思うんですよね。
これってコミュニケーションが下手というよりかは、論点を捉えられていないんですね。さっきの例で言うと、上司はYes/Noで聞いているんです。「この提案はこのまま進めるべきか否か?」「YesかNoか?」という質問をしているのに対して、勝手に「この提案の裏にある背景は何か?」という論点にずらしちゃっているんですね。
そもそも勝手に読み替えているんですよ。「このまま進めるべきかどうか?」ということを聞かれているはずなのに、自分で勝手に論点を読み替えて、答える内容を変えちゃっているからずれるんです。
なので常に、例えば「このまま進めるということでいいですか?」と言われたら、「はい。進めるでいいと思います。過去の関係値もありますし、今からちゃぶ台をひっくり返すのはリスクかなと思うからです」と言ってあげれば、「わかった。じゃあ進めてみよう」と言われるわけですね。
なので論点を捉える時は、超ざっくり言うと、今自分が向かおうとしている「?」が何なのかということを意識するということですね。さっき見せた全体像の中の、今自分はWhyに向かっているのか。「なぜ○○なのか?」「○○だからです」というQ&Aをやろうとしているのか。それとも「何をするべきなのか?」「○○をするべきです」というWhatのQ&Aなのか。
「○○とは何か?」「○○です」という、これもWhat・定義のQ&Aに向かっているのか。「どのように○○をするべきか?」「○○のようにするべきです」というHowの問題解決なのか。という感じで、自分が今向かおうとしている「?」が何なのかということを、一度シンプルに短い文で表現することをぜひやってみてください。
これをやろうとすると、けっこう長くなるんです。50文字とか100文字とかになるんです。「『?』を書いてください」というのはけっこう難しいんですよ。でも、突き詰めるとこのくらいシンプルになります。だいたい20文字くらいになります。
なので、話し始めたりとか、考え始める・手を動かし始める前に一度立ち止まって、「今自分が向かおうとしている『?』ってどれなんだっけ」ということを明確にすることを癖づけると、徐々に論点を捉えることができるようになると思います。
厳密に言うと論点って、有名な『論点思考』という有名な本もありますけど、もっと厳密に考えるとまだまだ深掘りできるんです。まずは「論点というのは『?』なんだよ」ということを意識して、ふだんの仕事の中で「?」から考える癖をつけると、論点を考えることがしやすくなるんじゃないかなと思います。
今日は論点を捉える方法についてお話しをしました。とにかく我々の仕事は全部「?」から始まります。「?」を見失うと、我々の仕事は絶対迷子になります。ぜひみなさんも「?」から始めてみてください。