「空・雨・傘」のフレームワークに足りていないこと
「空・雨・傘」というフレームワークを聞いたことがある方はいらっしゃるでしょうか?
(会場挙手)
何名かいらっしゃいます。すばらしい。ありがとうございます。これまた最近わりとメジャーみたい。私が若い頃はなかったので、いつの間にこんなにメジャーになったんでしょうという気持ちで、若手の方から教わったんですけれども。

ざっとご紹介をすると、「空にどんよりした雲が広がっている」という、これは事実です。これに対して「もうすぐ雨が降りそうだな」は、まだ起きていないことだから、解釈ですね。それに対して「じゃあ、傘を持って出掛けよう」、これはアクションとか打ち手とか行動ですね。
いきなり「もうすぐ雨が降りそうだね」と言われたら、「え? なんでそう思ったの? ちゃんと事実に基づいて話そうね」とか。逆に「雲が広がっているから雨が降りそうだね」で終わると、「えーと、で、何?」と聞きたくなる。ちゃんと「だから何」という行動をセットで話そうね、と。
要は事実を正確に捉えて、意味合いを引き出して、具体的な行動につなげようという、ロジカルシンキングとか問題解決のフレームワークでわりと使われているものなんですが、私はこれにめちゃくちゃ重要な前提が隠れているなと思っていて、このフレームワークはちょっと「うーん」と思っているんですね。
「雨に濡れたくない」という前提がない
それは何かというと、「雨に濡れたくない」という前提を書いていないんですよ。みなさん、日本在住ですと……僕もそうですけどね。雨に濡れたくないという気持ちは共感できるんです。この時期、じっとりしますよね。暑くてうっとうしいですよね、嫌ですよね。
私は冒頭でご紹介したとおり、アメリカのマイクロソフトという会社で働いていたんですが、アメリカのマイクロソフトはシアトルにあるんですね。シアトルはどんな天候かというと、めっちゃ雨が降るんです。
9月の下旬ぐらいからグルッと回って5月末ぐらいまで、曇りか雨なんですね。なので、東京とかに住んでいるよりもはるかに雨が降っている日が多いんですけど、私はたぶんほとんど傘を持って出掛けたことがなかったんです。
いくつか理由があるんですけど、車通勤だからあまり濡れないのもありました。でもそれ以上にぜんぜん違ったのが、シアトルはめっちゃくちゃ乾燥しているんですよ。私が引っ越した直後、鼻の奥が痛くなるくらい乾燥していたんですね。雨が降っているけど、乾燥している。
まずそもそも日本は高温多湿の気候です。でも、あっちはめちゃくちゃ乾燥しているので雨が降って濡れてもじっとりしないんですよ。なので、ほとんどの人が傘を差さずに歩いているんですよ。加えて、カジュアルな格好をしていて、ちょっと防水・撥水とかでパパッとやるとそれで済んじゃいますみたいな感じなので、傘を持って出掛けようとぜんぜん思わないんですね。
「打ち手」の議論をする前に「期待する成果」を確認する
何が言いたいかというと、別にシアトルの気候を知ってほしいわけではなくて、(空・雨・傘のフレームワークは)「雨に濡れたくない」というのが暗黙の前提になっていますよね、という話をしたかったんです。その暗黙の前提は、PDCAだったら目標だし、この図で言ったら「期待する成果」の話です。
暗黙の前提が本当に共有されていたら、「雨に濡れたくない」を目指すのに、どんよりしていて雨が降りそうなら、打ち手として傘を持っていくんですけど。(共有されずに)「別に濡れてもどうってことなくね?」だったら、どんよりしていようが雨が降りそうだと思おうが、別に打ち手は何も変わらないんです。「いつもどおりだね」なんですよね。
打ち手だけの議論をしている場面ってすごくたくさんあるんですけど、「期待する成果」を確認しないとめっちゃズレちゃいますよ、という例でした。