仕事をした気になれる「ふわふわビッグワード」
2つ目、「ふわふわビッグワード」ですね。なんとなく響きは仰々しいので一見それっぽく聞こえるんだけども、具体的な基準や動作を含まないので、人によって解釈が分かれる言葉ですね。仕事をした気になれるので便利なんですけども、ふわっと終わらせてしまいがちなので、これに頼りすぎちゃうと要注意です。

具体的にはこれですね。よく言われるのは「推進する」「活性化する」「強化する」「加速する」「促進する」「連携する」とか。「展開する」「最大化する」「最適化する」「効率化する」とか。「抜本的な」「革新的な」「飛躍的な」「本質的な」「戦略的な」みたいな。こういう言葉を「ふわふわビッグワード」と呼んでおります。

特に聞くのは「推進」ですかね。「促進」「連携」「戦略的な」「最適化」「最大化」とかもめっちゃ聞くわけですよ。「推進する」という言葉は本当によく聞くわけですけど、「推進」というのは何をどんな状態からどういう状態にすることが推進なのかが、いざ聞かれると出てこない人がすごく多いです。
何度も言うんですけど、別に言葉狩りをしたいわけじゃないんですよ。それで認識が合って物事が前に進めばいいんだけども、こういう言葉を使うことが癖になると、ふわっとした表現で終わらせてしまいがちです。
個人もそうだし、こういう言葉でなんとなくわかった気になって、ふわっと話を終わらせてしまいがちなチームは、なかなかやりたいことが進んでいかないことが多いので、なるべく使わないようにしたいですね。
定義を説明できない「雰囲気カタカナ語・略語」
最後は「雰囲気カタカナ語・略語」ですね。これは響きがカッコ良かったり流行っているのでついつい使いたくなるんだけども、使っている人自身もきちんと定義ができていない。どういう意味かうまく説明できないまま、なんとなく使っているので、認識が擦り合わない言葉ですね。

例えば、「KPI」とか「ROI」とか「D&I」とか「DX」とか「SDGs」とか。あと、「インサイト」「コンセプト」「シナジー」「ストラテジー」「ブランディング」みたいな言葉がけっこう当てはまりやすいです。使うこと自体が問題だという話ではなくて、定義が曖昧なせいでコミュニケーションのずれが起きることが問題です。

けっこうあるのが「KPI」ですね。KPIってめちゃくちゃ一般的な言葉だと思うんですよ。KPIって何の略かというと「Key Performance Indicator」の略で、要はKeyというのは「鍵」ですよね。重要なパフォーマンス・成績・業績のインジケーター。Indicateは「示唆する」という意味なので、要は指標なんですよ。
Key Performance Indicator。ある組織とか事業の状況を判断する上で、いちばん重要な数字・指標のことを「KPI」と言うんですね。KPIというのは指標の種類なんですよ。例えば「○○転換率」とか「60日後継続率」とか「○○実施数」みたいな。
「今月のKPIを達成しました」が不自然な理由
よく言う話が、アパレルショップで店員さんが追うべき「来店者数」とか「売れた金額」はKGI。そうじゃなくて、「試着室に案内した数が売上に直結する。かつ、コントロールできる重要な数字だ。だから試着室案内数がKPIなんだ」みたいなことがよく言われるわけですよ。
この時にされる議論というのは、「指標がどれか」という話なんですね。けっこう「KPI」という言葉が独り歩きして、「目標」という意味で使われやすいんですね。「今月のKPIを達成しました」。これは本来的な意味だとちょっとおかしいんですよね。
「KPIを達成しました」って、チームの中で「KPI」という言葉を「目標」という意味で使っていて、それで認識がずれないなら別にいいんだけども、定義をきちんとして、認識が合っている状態でコミュニケーションをしないとずれるので。
心持ちとしては、「こういう言葉を使わないようにしよう」ではなくて、「こういう言葉を使う時は、それがどういう意味なのか・何の略なのかを自分で説明できるようになっておきましょう」というのが問題になるかなと思います。
「コンセプト」とか「インサイト」とかもよく出てくるんですけど、いざ「それはどういう意味ですか?」と聞くとなかなか説明できないことが多いので、言葉の定義に気をつけましょうという話ですね。
あくまで目的が達成されることが重要
ということで、「語尾ぼかし言葉」「ふわふわビッグワード」「雰囲気カタカナ語・略語」という3つのNG用語をご紹介してまいりました。わかりやすいのは2つ目ですね。「推進する」とか「最大化する」とか、めっちゃ言っているなと、すごくわかる方は多いかなと思います。
1つ目はさっきも言ったんですけど、自覚していない人が多いです。指摘してもらえないと、めちゃくちゃ使っていると自分ですら気づいていないことがすごく多いので、ぜひ(説明している様子を)録画してみてください。
3つ目は使うことが問題というよりかは、定義ができているか、(認識が)ズレないかが問題です。いずれにせよ、言葉というのはしょせん道具なので、目的が達成されればいいんです。
さっきのKPIの例でも、別に「目標」という意味で使われていたとしても、それで「KPIを達成した! イェーイ!」と、みんなが問題解決できるのであれば別に問題ないんだけども、意識的に、きちんと丁寧に言葉を扱う。

やはり仕事というのは突き詰めるとコミュニケーションなので、コミュニケーションの仕方にこだわることが、やはり成果を出していくためにはすごく大事なので、今日お話しした3つのNG用語を使わないように。ないしは正しくない意味で、好ましくない状態で使わないように、ぜひ意識してもらうといいんじゃないかなと思います。