【3行要約】
・自分比でがんばる人と、目的比でがんばる人。その違いこそが、ビジネスで成功できるかどうかの決定的な境界線です。
・木下勝寿氏は「がんばるというのは自分を変えること」であり、努力ではなくコンフォートゾーンを変えるのが一番楽だと語ります。
・現状維持の領域を抜け出し、新しい普通を手に入れて無理なく自己成長を続けていくためには、どのような意識改革が必要なのでしょうか。
「がんばる」の基準は自分を変えること
——今日は質問企画です。テーマは「成長」です。「これから成長したい」「自分なりにがんばっているけど正解がわからない」「周りと比べて不安になる」そんな方たちからよく聞く質問をストレートにぶつけさせていただきます。木下社長がこれまでの経験の中で、本当に大事だったって思うことを率直に教えていただければと思います。
木下勝寿氏(以下、木下):お願いします。
——「がんばっていれば成功するって本当ですか? 詭弁のような気がしてしまいます」。
木下:あるアンケートを採った時、いわゆる「誰しもがんばっていれば必ず成功するというのは詭弁だ」と。「俺はがんばっているけど成功していない。成功するのはやはり運だ」っていう人がだいたい3分の2ぐらい。一方「やはりがんばっていれば成功するのは間違いない」と思う人がだいたい3分の1ぐらいなんですね。
どっちが正しいかというと、私の考えとしては完全に「誰しもがんばっていれば必ず成功します」というところですね。ただ、実は違いがあるのが「がんばっている」の、この基準なんですよ。
例えば、成果が出ていないのにやり方を変えない。同じやり方を続けている。これはがんばっているうちに入らないです。「同じやり方をしながら違う結果を求めることを狂気という」っていう言葉があります。やり方が同じなんだから、このやり方でやっていても成果が出ないのに、同じやり方でやっていっても一緒ですよねっていう話です。

これを聞いた時に「そんなことを言われても」って思考停止する人もいると思うんですけど、がんばるってどういうことかっていうと、自分を変えることなんですね。今までの延長線上で試行して成功するんだったら、たぶん成功しているんですよ。
なので「今の自分のままで成功したい。自分を変えてまで成功したいと思っていない」っていう状態の人は、自分を変えるほどのがんばりはしていないっていうことです。やはりがんばっていないから成功していないですよねっていうところになってきます。
自分比のがんばりと目的比のがんばり
木下:「がんばっている・がんばっていない」っていう基準の部分なんですけど、がんばっていても成功していない人ってどんな人かっていうと、この「がんばり」が自分比なんですよ。
「去年の自分よりすごくがんばっている」「1.2倍がんばっている」とか「2倍がんばっている」とかなんですけど、がんばって成功する人って、目的比なんですよね。この目的に合わせて、今の延長線上じゃ無理だから別のやり方で変えるっていうがんばり方をしています。
なので、自分比でがんばっているうちは、たぶん成功するかしないかはもうわからないです。でも目的比でがんばっている人っていうのは、そこに合わせてどんどん変わっていけば必ず成功するっていうことになってきます。
じゃあ、がんばる度合いが人によって違うっていうところなので、ここをどうやって変えていくかっていうことを、今からお話ししたいと思います。「あなたの当たり前は誰かの大変な努力」っていう言葉があります。あなたが当たり前に思っていることが他人からすると、実はすごく努力に見えたりすることがあります。
具体的なお話をしますと、多くの人は毎日お風呂に入っていると思いますよね。毎日お風呂に入ってサッパリしていると思うんですけど、実際僕の友だちで毎日お風呂に入らない人がいたんですよ。
夏場になるとちょっと臭いが気になるぐらいの不潔感がある人だったんですね。僕は友だちなので「お前、お風呂に入れよ」っていう話をしていました。ある時にやはり臭いがするので「お前、お風呂に入っているのか?」って聞くと「入っているよ」って言われたので「毎日入っているか?」って言うと「さすがに毎日は入っていないけど」って言われたんですよ。
この人にとっては毎日お風呂に入るのがデフォルトではなくて、努力してお風呂に入るんですよね。なので、この人からすると、お風呂に入ることは努力であって「がんばっているけど毎日は無理です」みたいな感じなんですね。
努力を不要にする「コンフォートゾーン」の仕組み
木下:「じゃあ、毎日お風呂に入っている人って努力しているんでしょうか?」っていう話なんですよ。彼からすると毎日お風呂に入っている人って、めちゃくちゃ努力しているように見えるんですね。でも、毎日お風呂に入っている人って、たぶん努力しているんじゃなくて、入らないと気持ちが悪いっていう状態ですよね。
最初に「あなたの当たり前は誰かの大変な努力」って言いました。つまりその人の普通が他人から見たら努力に見えるとした時に、あなたからしたらすごく努力が必要だと思うことを、それを普通だと思っている人がいるっていうことなんですよ。
自分にとっての普通っていうのをコンフォートゾーンっていう言い方をします。心理学とか調べてもらったらわかると思うんですけど、コンフォートゾーンというのは、ストレスを感じずに心身が安定している心理的な快適領域のことをいいます。

毎日お風呂に入るのがコンフォートゾーンの人。2日に1回、3日に1回お風呂に入るのがコンフォートゾーンの人がいます。それぞれの人は特に努力をしていない状態ですね。でも普通に快適にいるっていうかたちです。
2日に1回、3日に1回お風呂に入るのがコンフォートゾーンの人が毎日お風呂に入ろうとすると、毎日お風呂に入るのが当たり前の人になったほうが絶対いいですよねっていう話ですね。ここ、努力していると、しんどいんですよっていうところです。つまり、努力をするのではなくてコンフォートゾーンを変えるっていうのが一番楽なんですね。
コンフォートゾーンっていうのはまとめていうと、心理的な安全領域で、ストレスや不安が少なくて安心できる範囲を指します。具体的な例でいくと、自宅とか気心の知れた人間関係とか、慣れたルーティンワークとか。特徴としては予測可能な活動が中心で、余計なエネルギーを消耗せずに済むっていう本人にとって快適な状態。
現状維持を抜け出し、新しい普通を手に入れる
木下:コンフォートゾーンにとどまるデメリットっていうのがあります。これは成長の機会を損失します。成長する時に新しい知識を学んだり勉強したりスキルを得ようとした時、ちょっと負荷がかかります。コンフォートゾーンにいる限り、この機会というのはやはりないんですよね。停滞・現状維持しちゃいます。新しいチャレンジをしなくなって自分の成長が止まります。変化への対応力が下がっていきますっていうことですね。
コンフォートゾーンを抜け出すことの重要性っていうところで、自己成長の促進とか、適度な負荷を経験することで新しい学びを吸収していきます。そしてスキルアップにつながっていき、変化への対応力が付きます。
つまり、今のコンフォートゾーンを抜け出して、新しい別のコンフォートゾーンに移るっていうことが大事なんですね。新しいコンフォートゾーンに移ると、今度は努力が要らない人になるっていうことなんですよ。2、3日に1回しかお風呂に入っていない人が、そのコンフォートゾーンにいるままお風呂に毎日入ろうとすると、けっこうしんどくなります。
なので「お風呂に毎日入るのが普通である」っていう感覚になることが大事で、そこに移るためにはちょっと負荷がかかりますっていう感じですね。
じゃあ、新しいコンフォートゾーンに移ろうとした時に、どういうコンフォートゾーンに移るのが一番いいのかっていうところなんですね。仕事とかでいくと、高いコンフォートゾーンの人を見るのが大事なんですよ。
例えば、2、3日に1回しかお風呂に入っていない人って、お風呂の話をしないので、この世に毎日お風呂に入っている人がいることを知らないんですよね。(話を)した時に「え? 毎日入っているの? すごいね、大変だね」っていう話になるんですけど(笑)。言われた側からすると「え?」っていう感じなんですね。