【3行要約】 ・「何を話したか」より「誰が話したか」を優先してしまう「誰がバイアス」が、日本の組織における意思決定の質を著しく低下させています。
・組織の課題解決を支援するDaBaDee株式会社の髙桑由樹氏は、忖度や空気を読む文化から脱却するために「反論役を立てる」などの仕組み化が不可欠だと指摘します。
・髙桑氏は究極の効率化は「会議をゼロにする」ことにあるとして、部下が自走し1人で判断できる体制を作るための3つのアクションを紹介します。
前回の記事はこちら 論理よりも人間関係を優先してしまう「誰がバイアス」
髙桑由樹氏:ここまでのセクションで効率的な会議の運営方法を見ていったんですけども、「そもそも多くの組織が、意思決定や意思表示ができていないんじゃないか」という問題が見えてきます。
なぜ意思決定、意思表示ができないのか。一言で言うと、何を話したかより誰が話したかを重視する傾向があるなと思っております。これは、コトではなくて人を重視する思考が我々に根付いてしまっているんですね。
もっと言うと、コトというのは客観的な事実とか論理とかではなくて、誰がしゃべっているのかという発信者との関係性とか、その人への感情を重視する。誰がしゃべっている意見なのかを重視するということで、私たちはこれを「誰がバイアス」と呼んでいます。

「誰がバイアス」に囚われているとどうなるかというと、誰が話し手かによって内容を判断する。提案を受け入れるかどうかが、誰の派閥に所属しているかで決まるようなことが該当すると思っています。
これは客観的に見るとすごく問題視されますけれど、私たちの生活の中でよくあるんじゃないかと思います。(例えば)選挙でもマニフェストというか、どういったことをやるかよりも、どこの政党に所属しているかによって投票する・しないかが決まることがあると思います。こういったことは、本当に身の回りにあるなと思っています。
我々が囚われがちな「誰がバイアス」ですが、引いた目でメリット・デメリットにどんなものがあるかなと考えてみます。メリットとしては意見の内容や提案内容よりも「誰が」を見るので、阿吽の呼吸で決まる。もっと言うと、意思決定が早いことがメリットである。
ただデメリットとしては、我々は誰が話したって、結局は権力者を優遇する、忖度するような思考が働きますので、それによって誤った判断をし得ることが問題としてあります。これは問題、デメリットのほうが非常に大きいなと見ております。
例えば、ニュースになるような組織ぐるみのコンプライアンス違反とかも、正論を言えずに間違った意思決定をしてしまうところが背景にあったりしますので、ここは非常に危険視しておく必要があるポイントだと思います。
「誰がバイアス」度のチェック表
(スライドを示して)この「誰がバイアス」がどんなものなのかをもう少しイメージしてもらうために、チェック表を作ってみました。全部で7つありますが、チェック表を紹介します。

1つ目、反対意見を言うと相手を傷つけるのではないかと思う。2つ目、お世話になった人には反論できない。3つ目、話し合いの場で反対意見を言うのは相手に悪いと思う。4つ目、自分の意見に賛同してくれた人には一言お礼を言いたくなる。5つ目、誰の意見かわからないと、同意すべきかどうか判断がつかない。6つ目、意見の内容より、言った人がどんな人なのかが気になる。最後の7つ目、誰が言っているかによって、その意見に賛成するか反対するかを決める、といった問いを投げかけます。
ご自身の「誰がバイアス」度をチェックしてもらうのもそうですし、それだけじゃなくて、一緒に会議に臨んでいらっしゃる方のみんなで自分自身を評価してもらう。その会議体自体の「誰がバイアス」度がどれぐらい強いのかを客観視することも、問題の解決には有効な一手になるんじゃないかなと思います。知ることによって対策を講じることができるので、ぜひご活用ください。
この「誰がバイアス」が、いろいろと悪さをしているんですが、ここから抜け出すためにどうしていくか。現状、この「人で判断する」のが「誰がバイアス」に囚われている状況だとして、これをコトで判断する、客観的に判断すること(が必要)です。これをシフトしようと思うと、空気を読まないために、他者との距離感を適切に保つことですね。言い方を変えると、自律性を高めることになります。
これをやっていきましょうということなんですけれども、いざやろうと思うと「本当にできる?」というものだと思います。これまでの関係性もありますし、なかなか志向性を変えることは難しいですし。なので、一人ひとりの心掛けだけでこれを変えていくのは難しいので、仕組みとして「誰がバイアス」を防止していくことが重要です。
「誰がバイアス」を仕組みで防ぐ
3つ紹介します。1つ目、会議の中で反論役を立てる。あえて反対意見だけを発する役回りを設けます。やはり多くの会議で、反対意見はなかなか出ないんじゃないかと思います。ただ、これに役回りとして徹してもらうと考えれば、反対意見をしやすくなりますし、役としてこれを立てるということです。
2つ目は本質論者役を立てる。これも役割なんですけど、人ではなくてコトに着目して、目標から逆算してしか考えない、発言しない役回りを設けます。
最後は、意見を書き出すことです。多くの会議は当然口頭で意見を発するわけですけれども、そうすると前にしゃべった人の意見に引っ張られることがあります。なので、声に出すではなくて書き出すことがけっこう有効です。
というのは、クイズ番組のように、みんなが同時に書き出すと、他の人がどういった意見を書いているのか、言おうとしているのかが遮断された状態で自分の意見を率直に書き出すことができます。「いっせーの、ドン!」みたいな感じで出すと、他の人に引っ張られることのない意見を出せるので、書き出すことは非常に有効です。
よくブレインストーミングの会議でも、付箋に書いてホワイトボードなどに貼り付けることがありますけれど、ああいった使い方ばかりではなくて、普通の会議でも書き出すことは非常に有効です。ぜひ使ってみてください。