【3行要約】・難しい会話を避けるほど、組織の信頼は摩耗します。人間関係を壊さず、むしろ絆を深めるための「具体的で明日から使える5つの練習法」とは。
・エイミー・ギャロ氏は、自らの手痛い失敗から「フィードバックではなくアドバイスを求める」ことの有効性を説き、対話の不格好さを認める勇気が重要だと語ります。
・AIに外注できない「人と人の間の核心」をどう守るか。防御反応を解くフレーズを武器に、気まずさの先にある本物の信頼関係を築く一歩を踏み出しましょう。
前回の記事はこちら ヒント5 難しい会話は、練習するほど扱いやすくなる
Amy Gallo(エイミー・ギャロ)氏:さて、5つ目のヒントです。「練習すること」。難しい会話は、ぜひ練習してください。友人相手にリハーサルをしてもいい。小さな、リスクの低い場面で試してみてもいい。とにかく練習してほしいんです。約束します。やればやるほど楽になります。
これは私自身の経験からも言えますし、研究からも言えます。自分の言葉を選ぶことが増えれば増えるほど、頭にあることを口に出す力がつけばつくほど、そしてそれが自分を壊したわけでも、相手とのつながりを壊したわけでもないとわかればわかるほど、私たちはもっと声を上げる勇気を持てるようになります。
もちろん、どんな方法でもかまいませんが、練習のやり方として、今日は2つ提案をします。1つは、「何について話すのか」を選ぶこと。もう1つは、「自分のフィードバックの仕方についてフィードバックをもらうこと」です。

一見、練習には見えないかもしれませんが、これはとても役立ちます。自分が信頼している相手から、「あなたへのフィードバックの伝え方はどうか」と聞くんです。
ただし、チームの中で一番不安が強い人のところへ行って、「私のフィードバックの仕方について意見をくれる?」とは聞かないでください。そういう人は、「すごくいいです。問題ありません。ありがとうございます」で終わってしまいます。
ちゃんと本当のことを言ってくれる人を見つけてください。もしかしたら、昔一緒に働いていて、今はもう同じ職場ではない人でもいい。でも率直に、「そのフィードバックの仕方は役に立つ」「いや、そうでもない」と言ってくれる人が必要です。
口に出してみるだけでも、難しさは少し小さくなる
この2つは両方やってもいいんですが、さっきの1つ目のほう、「話すテーマを選ぶ」に少し戻りたいと思います。
ここからは宿題パートです。この会場で、少しだけやってみたいことがあります。みなさんはきっと、さっきから、「本当は言いたかったけど、難しい会話では言えなかったこと」を考えているはずです。
だから、たった2秒でいいので、隣の人のほうを向いて、この文を完成させてみてください。「職場で本当は言いたいのに言えないことは、⚪︎⚪︎⚪︎です」。
もし隣に座っているのが同じ職場の人だったら、本当にごめんなさい。その場合は、後ろを向いて別の人を探してください。ではいきましょう。「職場で本当は言いたいのに、言えないことは⚪︎⚪︎⚪︎」。どうぞ、やってみてください。
はい、戻ってきましょう。いろんな意味ありげなうなずきが見えました。笑い声も聞こえました。
みなさん、一度話し始めると盛り上がって、なかなか戻ってきてくれませんね。でも、ただ口に出してみるだけで、少しだけ扱いやすく感じることがあるんです。もしかしたら相手に、「うわ、それは言わないほうがいいね」と言われたかもしれない。それもおもしろいフィードバックです。でも、とにかく口に出してみると、「自分が思っていたほど大きなことではないかもしれない」と気づけることがあります。
これも練習の一部です。まずは、話題を選んで、とにかく声に出してみること。シャワーの中で言ってみる。Uberの運転手に話してみる。まあ、私が乗った運転手じゃない人にしてくださいね。でも誰でもいいから、「こんな難しい会話をしようと思っていて、こう言おうと思うんだけど、どう思う?」と口に出してみる。
言葉を外に出してみる。どんな感触か確かめる。どんなふうに聞こえるか確かめる。その上で、「声を上げるコストは何か」「黙っているメリットは何か」とリスク評価をする。でもそれだけでなく、ひっくり返して考える。「これを口に出すメリットは何か」「言わないコストは何か」。
正直なフィードバックがもらえない理由を考える
さて、ここまでが5つのヒントのまとめです。ここで少しだけ別の立場の話もしたいと思います。「フィードバックを受け取る側ではなく、受け取れていない側だったらどうするか?」
つまり、パースのあの彼のような立場です。まあ、彼自身には、「自分はフィードバックを受け取れていない」という自覚はありませんでしたが、みなさんにはあるでしょう。

では、必要なフィードバックをもらえていない時、何ができるのか。まず知っておいてほしいのは、そこには理由があるかもしれないということです。このスライドは、ハーバード・ビジネス・スクールのレスリー・ジョン教授の研究をもとにしています。

彼女は、もちろんそれが「自分のせい」だと言いたいわけではないけれど、私たち自身もまた、正直なフィードバックが来ないループをつくる一因になっていることがある、と指摘しています。
相手は、リスクを取って声を上げる。ここまで話してきたような大変なことを全部やってきたうえで、ようやく言ってくれる。でも、こちらが防御的に反応する。それは人間として自然なことです。誰だってネガティブなフィードバックなんて聞きたくない。
すると相手は、「ああ、これは安全じゃない」「割に合わない」と判断する。その結果、あなたはますます正直なフィードバックをもらえなくなる。