フィードバックされやすい人になるには、最初の反応がすべてを決める
では、このループからどう抜け出すか。自分を「フィードバックされやすい人」にする必要があります。そんな言葉はないのは承知ですが、今日はそう呼ばせてください。
相手があなたにフィードバックしやすい状態をつくるんです。そしてそれは、ほとんど完全に、あなたがどう反応するかにかかっています。感情が乱れている時って、本当に言葉が出てこなくなるので、ここで、使える言葉をいくつか紹介したいと思います。
例えば、「言ってくれてありがとう。少し考えてみるね」。心の中では、「いや、それぜんぜん見当違いでしょ」「まったく違う」と思っているかもしれない。でも、それでもまずはそう言ってください。

そのあとで、振り返って、感情を整えてから、「やっぱり少し違うと思う。話せる?」と戻ってきてもいいんです。でも最初に、「伝えてくれてありがとう」と言うこと。もしスーザンが、私に対して、「あなたが間違っている理由」を並べ立てる代わりに、「言ってくれてありがとう。少し考えてみる」と言ってくれていたらどうだったでしょうか。そのあとで、「でも私は違うと思う」と言ったとしてもよかったんです。
でも彼女は、一度も「ありがとう」とは言わなかった。防御的になった。その結果、私はしばらくスーザンを避けるようになりました。
このほかのフレーズについても話したいのですが、特に最後の1つは大事です。「私に言いたいことがあるのに、私の反応が怖くて言えないことってある?」あるいは、「どう反応するかわからなくて、言えていないことってある?」
刺さるフィードバックは、自分のふるまいを変える力を持つ
ここで、同僚の話を1つします。今度は本名を使います。彼をかっこよく見せる話なので、本名で大丈夫です。彼の名前はロサリオ。ずいぶん前に一緒に働いていた同僚で、私たちはかなりいい関係でした。仕事仲間として信頼し合っていました。
ある時、私たちは夜遅くまでクライアント向けプレゼンの準備をしていました。チーム全体が集まっていて、上下関係もそれほど強くない場だったのですが、私はかなりのコントロール魔なので、会議を仕切ろうとしていたんです。
会議が終わって部屋を出る時、ロサリオが私にこう言いました。 「エイミー、ちなみに、ちょっと汚い言い方になるけど、嫌な人がいたら映像ではピー音を入れてもらえばいいと思うんだけど」。 そして続けて、こう言ったんです。「エイミー、君の文の最後には、無言の“バカめ”がついている時があるよ」。
私は、その言葉を聞く準備がまったくできていませんでした。正直に言うと、かなりショックでした。顔にも出ていたと思います。ロサリオはそれを少し冗談っぽくしてくれて、あとで、「これ、言って大丈夫だった?」と聞いてきました。
その瞬間の私は、「ぜんぜん大丈夫じゃない」と答えていたと思います。すごく嫌な気分になったから。でも、真実は、ロサリオが正しかったんです。
そのフィードバックは、仕事の場での私のふるまいを変えました。夫は異論を唱えるかもしれませんが、私は私生活でも変わったと思っています。なぜなら彼は、私にとってとても大事なことを指摘してくれたからです。
私は人との距離を取っていた。自分に自信がなかったから、何でも知っている人のように振る舞っていた。相手を小さく見せることで、自分を大きく感じようとしていた。でも私は、自分がそんなふうに聞こえているなんて知らなかった。
自分では、「頭が良さそう」「ちゃんと場をコントロールしている」と聞こえているつもりでした。でも実際には、感じの悪い人に聞こえていたんです。
だから、フィードバックを求めるなら、それを聞く覚悟をしてください。ロサリオと私は関係がよかったから、彼も、私が防御的にならずにきちんと受け止めてくれると信じてくれたのだと思います。実際、そのことで私たちはむしろ少し近づいたと思います。
でも特に、さっきのスライドの最後のフレーズ、「私に言えずにいることってある?」を使うなら、自分が本当に聞く準備ができていることが必要です。
フィードバックより、アドバイスを求めたほうが人は話しやすい
もう1つ、「フィードバックされやすい人」になるためのコツをお伝えすると、「フィードバックをください」と聞くのはやめましょう。だって、誰も、「私に何かフィードバックある?」と聞かれて、「はい、ずっとその時を待っていました」とはならないですよね。
でも、人はアドバイスをするのは大好きです。だから、「アドバイスをください」と聞いてみてください。そうすると、ぐっと答えやすくなります。「あなたの意見を尊重しています」というかたちになるからです。
すると相手は、「じゃあ、職場でどう振る舞えばもっといいか教えてあげよう」「この会議、こう進めたほうがよかったよ」「上司にはこう話したほうがいい」と、喜んで話してくれたりします。
アドバイスを求めるのがうまくいく理由の1つは、それが未来志向で、成長志向だからです。もちろん、時には、「何がまずかったのか」という意味でのフィードバックも必要です。でも、アドバイスを求めたほうが、相手から返ってくる内容は、実際に自分が活用できるものになりやすい。
しかも、それは不誠実でもありません。より率直で、より明確で、時にはもっと耳の痛いことかもしれない。でも「フィードバック」という名前じゃないから、相手は言いやすいんです。
ただ、「フィードバックされやすい人」になろうとしても、相手のふるまいまでコントロールすることはできません。そこは基本に戻ります。相手のふるまいはコントロールできない。相手の心地よさもコントロールできない。対立を避けたい性格もコントロールできない。声のトーンもコントロールできない。
だから、求めること自体がリスクなんです。その上で、受け取る準備をしておかなければいけません。
難しい会話は、関係を壊すどころか近づけることがある
そしてはっきり言っておきたいのは、たとえこれらを全部やったとしても、職場が完璧に公正になるわけではないということです。保証したいのはやまやまですが、その車にはやっぱり車輪が足りないままかもしれない。
でも、結局のところ、私たちは自分の役割を果たすしかありません。さっきも言いましたが、もっと多くの難しい会話をして、職場にもっと明確さを持ち込むために、私はみなさんにこの運動に加わってほしいんです。
なぜなら、難しい会話についての最大の思い込みの1つは、「それをすると関係が壊れる」というものだからです。私たちは「話したらダメになる」「壊したくないから話さない」ととても恐れています。
でも結局、難しい会話は、つながりや関係のためのものなんです。経験からも研究からも見えているのは、むしろ逆です。私たちは、信頼し、気にかけている相手に対してこそ、難しい会話をします。そして難しい会話をすることで、むしろ相手との距離が近づくことが多いんです。
AIに外注できない、人と人のあいだの核心がある
これが私の使命です。この講演でも、どんな講演でも、私の書くものすべて。私がみなさんに体験してほしいのは、これなんです。
自分の中の人間らしさを見ること。職場に行く時、自分は人間なんだということを忘れないこと。そして、相手の中の人間らしさも見ること。
ただ、正直に言うと、今この使命は少し危うくなっているように感じます。なぜなら、私たちは職場の人間関係の中にAIを持ち込んだからです。これは必ずしも悪いことではありません。今日はAIについての講演ではないので、ここに長い時間は使いません。
でも、おそらくこの会場の中にも、「この難しい会話、AIに代わりにやってもらえないかな」「せめて台本だけでも作ってくれないかな」「そのうちAIが難しい会話そのものをやってくれるんじゃないか」と思った人がいるのではないでしょうか。
そういうことは、確かに起こり得るかもしれない。そして、すごくスムーズで、すごく簡単に感じられるかもしれない。
でも私は先週、ハーバード・ビジネス・レビューに、AIが人間関係の仲介役になることのリスクについて書いた記事を出しました。このQRコードから飛べます。誤解しないでほしいのですが、私はAIが悪いと言いたいわけではありません。実際、難しい会話の練習相手としては、とてもいいツールになり得ます。使う言葉を探す助けにもなる。
相手の許可を得た上で、同僚のメールなどを学習させれば、そうした会話でどうすればもっと意図的に、丁寧に話せるかを考える手助けにもなるでしょう。
私が心配しているのは、人とのつながりを生み出す、その核心部分を私たちが外部委託してしまうことなんです。私は、それをしてほしくない。
つながりは、摩擦のない場所ではなく不格好な対話の中で生まれる
今のところ、希望もあります。サウス・バイ・サウスウエストのプログラムを見ると、「AI」と「human」が同じタイトルの中に並んでいるセッションが本当にたくさんあります。つまり、私たちはこのことを話題にしている。気にしている。それはとてもいいことです。
だから私は、先ほどのHBRの記事に加えて、AIと人間関係に関する文献のリーディングリストも最近まとめました。このQRコードを読み取れば、それらの無料のリーディングリストが手に入ります。感情知能、心理的安全性、難しい会話に関する別のリストもあります。

みなさんには、ぜひこの対話に参加してほしいんです。今日ここに来てくださったのは、きっとみなさんにも、向き合うべき難しい会話があるからだと思います。
だから、「どうやって外注するか」「どうやって簡単にするか」「どうやって滑らかに済ませるか」を考えないでほしい。そうではなく、そのグチャグチャした感じに踏み込んでほしいんです。
伝え方を間違えることの中に。言ってしまってから失敗したと気づいて、そこから立て直すことの中に。言い直しや補足の中に。人とやり取りする中で起こるミスや気まずさの中に。
そこにこそ、私たちが人とのつながりを築いていく瞬間がある。もし職場を「摩擦のない空間」にしようとしすぎたら、私たちはそのつながりを失ってしまいます。だから、その不格好さに踏み込みましょう。一緒にやってくれたらうれしいです。本日は本当にありがとうございました。