「キメヘン」の精度を高めるためのポイント
あらためて、目に見えるものに囚われがちな我々人間という生き物が、そのコミュニケーションの目的を明確にするために、引き戻すために使うフレームワークが「キメヘン」です。
ぜひみなさんに「キメヘン」をボンボコ書いていただきたいんですけども、書き方にけっこうコツがあるんですね。書けばいいっていうものじゃないです。けっこう質が変わってきます。ルールを守ると精度が高まるので、いくつかポイントをお話しします。
聴き手の状態を定義する
1個目が「聴き手」の話です。「どんな状態か」まで定義するということですね。知識・興味・姿勢の「CKS」を考えるといいです。
知識というのは、何を知っていて、何を知らないか。興味というのは、何に興味を持っているか・知りたがっているか。姿勢というのは、こっちの話にポジティブなのか、ネガティブなのか。賛成なのか、反対なのか。これによって、伝えるべき内容が変わってくるわけです。

例えば、この動画の「キメヘン」を考える時に、「動画の視聴者のみなさん」と定義する。これだけでも別に悪くはないんだけれども、例えば興味を考える。
「『自分の話がなかなか相手に伝わらないな』と悩んでいる視聴者のみなさん」という要素を足してあげると、解像度が上がって、この後の「メ」と「ヘン」が考えやすくなります。その人が知識・興味・姿勢のCKSをどう思っているかというところも常に考えてあげると、思考が深まりやすいのでオススメです。
話の内容を最も重要な人に絞る
次は、「最も重要な人に絞る」ということです。仕事で資料のこととかプレゼンのこととかを考えていると、「今は部長に話しているつもりなんだけど、横に課長もいて、何ならこの後社長にも話すし、その前にいったんリーダーに話すんだよな」みたいに、いろいろな人に話すシーンがあると思うんですね。
対象を広げすぎると内容がぼやけてしまうので、まずは立場が同じ1人の人ないしイチ集団を対象に置くことをしてあげたほうがいいです。
例えば研修だとしたら、「自分の話がなかなか相手に伝わらない」と悩んでいる参加者のみなさんと、オブザーブで参加されている人事部の担当者さん。両方を定義すると話が変わっちゃうので、「いったん今は研修参加者のみなさんにフォーカスをします」というふうに絞ってあげたほうが、精度は上がりやすくなります。
否定に開いたメッセージを選ぶ
次に「メッセージ」の話ですね。これはむずかしいんですけど、「否定に開く」という考え方ですね。要は相手が「YES」「NO」で答えられる、意志を込めた意味のある主張にするということです。
これは例がないとわかりづらいんですけど、例えば「コミュニケーションにはさまざまな考え方があります」。これって、メッセージになってないんですね。なぜかっていうと、そりゃそうじゃないですか。これは否定しようがないわけです。
「コミュニケーションっていろいろ広いから、さまざまな考え方がそりゃあるよね。以上」となっちゃうわけですね。そこに対しての主張になってないです。これを「否定に開いていない」と言います。要は否定できないわけです。絶対にさまざまあるから、「いや、それ違うでしょ」と言えないわけです。
一方で、これを「コミュニケーションでは常に『キメヘン』を意識するべきなんです」というふうに言うと、「いやいや、キメヘン? ほんまか? 『常に』って言いすぎじゃない? そうじゃないでしょう。違います」と否定できるじゃないですか。これが「否定に開かれている」という状態です。

というふうに、それに対して「一般論としてそれはそうだよね」じゃなくて、「いや、それは違うと思う」という主張をぶつけられる主張に必ずしてください。
逆に、「NO」と言えないものは主張じゃないです。「NO」と言われ得るものをちゃんと中に込めるというのが大事です。ちょっと怖いんですけどね。スタンスを取るということなので怖いんだけれども、これがけっこう大事なわけですね。
文末は必ず「ほしい」で終わらせる
次に「変化」ですね。これはけっこうテクニカルなんだけれども、「ほしい」で終わらせるということですね。文末は必ず「ほしい」で終わらせてください。例えば「今日の仕事での使用」。これは悪くないんだけれど、文章にしたほうが意志が入りやすいんですよ。「『さっそく今日の仕事から使ってみるぞ!』という気持ちになってほしい」と書いたほうが意志が乗りやすいので。

「使用」みたいに名詞で終わらせる体言止めでも駄目じゃないんですが、慣れてきたらしばらくは「ほしい」で終わらせるということをやったほうが、意志を込めやすいのでオススメです。「○○してほしい」とか「○○になってほしい」みたいに、「ほしい」で終わらせるということをやってみてください。
その瞬間の行動にする
次はけっこう大事なんですけど、「その瞬間の行動にする」ということですね。そのコミュニケーションが発生した瞬間に、実現し得る行動にするということです。
例えばですけど、「最終報告プレゼンで『キメヘン』を使ってみてほしい」。これ、願望としてはいいんですよ。視聴者のみなさんが、何かの仕事の報告プレゼンで「キメヘン」を使う。これはやってほしいわけですよ。でもこれって、この動画を見たその瞬間には物理的に絶対できないじゃないですか。今はプレゼンを作ってないから。
なので、それを見た瞬間にできることであれば、「『さっそく今日の仕事から使ってみるぞ!』という気持ちになってほしい」。これまでだったらいったん達成できますよね。

あるいは、「『キメヘン』という言葉を左手の甲にマジックで書いてください」とか、「『キメヘン』という言葉で1回検索してください」とかでもいいんですけど。
とにかく、その瞬間に達成し得るものにしないと、「メッセージ」と「変化」がずれます。なので、その瞬間にできること。理解なのか、承認なのか、あるいは何かの行動なのか。何でもいいんですけど、その瞬間にできることにするということを必ず守ってください。
てにをはを省略したり、矢印や記号で書いたりすることはやめる
最後。これは「キメヘン」で全部共通なんですけど、意味が曖昧になっちゃうので、てにをはを省略したり、矢印とか記号で書くというのはやめてください。慣れてきたらいいです。ただ、慣れていない人はちゃんと文章にしないと、日本語から逃げるんですよ。コミュニケーションって国語なので、国語から逃げないでください。
文章をきちんと意味が通ったかたちで書き切ることはめちゃくちゃ大事なので、「コミュニケーション→キメヘン」「聴き手、メッセージ、起こしたい変化」みたいな感じで矢印でつなぐとか、ただ単語を羅列するみたいに、別の人が読んでも意味がわからないみたいなことを書くのは絶対やめてください。国語力が減るので。
「コミュニケーションでは常に『キメヘン』を意識するべき」。これは意味が通じていますよね。(画面を示して)誤字っていますけども、こういう誤字をしないように、ちゃんと日本語にこだわりましょうということです。

ということで、この動画での「キメヘン」はこんな感じですね。興味を深掘りした視聴者のみなさんと、「『キメヘン』を意識するべき」と否定できる、「いや、そんなことないでしょ」と否定されるものと、この瞬間にできる「ほしい」で終わる変化というふうに定義をしています。
「キメヘン」がない人はAIに仕事を取られる
ここまでプレゼン資料っぽい話をしてきたんですけども、仕事のコミュニケーション。雑談なら(気にしなくて)いいですけれども、ビジネス上のコミュニケーションは、全部必ず「キメヘン」を持ってください。
「キメヘン」がないコミュニケーションって、相手にめちゃくちゃ負荷をかけるんですね。例えば、「先輩、課長から新しいセミナーを企画してほしいという依頼が来ましたね」「そうだね。けっこう大変そうだよね」「私がリーダーを務めるらしいですけど、大変そうですよね」「そうだね。どう進めるつもりなの?」「どうしましょうかぁ。ほんと大変そうですよね」「ふざけんな。お前は何が言いたいんだ」と。

これ、「キメヘン」がないんです。察してちゃんなんですよね。自分がどういうアクションを取るべきかとか(を明らかにせず)、相手に察してほしい・指示してほしいというスタンスを取っていると、いつまで経っても成長しない。駄目です。これはけっこう顕著な例です。
そうじゃなくて、例えば「とりあえず仮で企画書を書いてみましたよ。ただ、構成がしっくりこなくて、このあたりがちょっと気になるのでアドバイスをもらってもいいですか?」「OK。この後ディスカッションしようか。他に何か迷っていることはある?」「集客方法は、前回の踏襲でmixiメインでいいのかちょっと悩んでいます」「それはちょっとどうかなと思うけど、まぁまぁそうか」というふうに。
これはすでにアクションに起こしているわけですけども、「こういうふうにしようと思っています」とか、「ここがこういうふうに困っているから、ここに関してアドバイスが欲しいです」とか、「この日までにこういう承認をしてください」みたいに、自分でどんどん進めて決めて、スタンスを取って、そこに対して「ここにこういうアクションを取ってほしい」というふうに示す癖をつけないと、これからの時代、本当に厳しいです。「キメヘン」がない人はAIに仕事を取られます。

最近マジでAIがすごいので、ガチです。必ず「キメヘン」を意識してください。「あらゆるコミュニケーションに『キメヘン』を持つ」「自分のスタンスを持つ」「相手を動かす意識を持つ」ということを必ずやってください。
ビジネスコミュニケーションをする時は「キメヘン」を意識する
まとめます。何かを伝えることの目的というのは、相手に変化を起こすことなんですね。伝えることはあくまで手段です。伝える内容に気を取られがちだけども、そうじゃなくて、「誰に何を伝えて、どんな変化を起こしたいのか・起こしてほしいのか」をちゃんと定義しておかないと迷子になる。自分でも何が言いたいかわからなくなるから、ちゃんと言語化しましょう。その時の型が「キメヘン」です。
ということで、資料を作る時、プレゼンを考える時、長いメールを書く時、あるいはいつも心に太陽を、唇に「キメヘン」をということで、常にビジネスコミュニケーションをする時は、「キメヘン」を意識することをやってみていただければと思います。