世の中には「問題解決もどき」があふれている
世の中に「あげよう」がちゃんと定義されていない、「問題解決もどき」にあふれています。

「この業務改善ツールがなんか良さげなので導入しましょう」というように、打ち手の決め打ちが一番多いです。あとは短絡的な発想。「採用の申し込み数が少ないので、採用サイトをリニューアルしてかっこよくしましょう」「いや、サイトがかっこよくなったら申し込みが増えるんか?」とかね。
あと独りよがり分析。「弊社は全体的にDXが弱い感じがするので、DX推進部を作りましょう」。これはいろいろな会社に刺さっちゃうかもしれないからアレなんだけど、ふわっとした分析。
あと、ふわふわ解決策。「定例会議を導入してPDCAサイクルを回していきましょう」「いや、定例会議で誰が何のアジェンダで何を決めて、PDCAサイクルを回すって、具体的にどういうことやねん」みたいに打ち手がふわっとしている。
このような「あげよう」がちゃんと整理されていない「問題解決もどき」によって、我々は日々、非常に右往左往しております。

先ほどの営業の人が何をしなきゃいけなかったかといったら、まず、いつまでにどういう状態になったらいいのかを定義するわけですよ。

「目標はここだよね。今このくらい足りていないよね」と定義します。現状をなるべく客観的・具体的に把握するわけですね。今自分がやっている提案数を受注率と受注単価に分けて、「受注率の部分はちょっと改善できるんじゃないかな」というふうに考えるわけですね。

じゃあ受注率がなぜ低いのかと考えた時に、「なるほど。他のうまい人やハイパフォーマーの人を見ると、商談前の仮説設計の部分にすげぇ時間を使っているんだな。俺、ここがあんまりできていないな」と考えて。

「じゃあまずは、今月の商談で事前の仮説立てを15分でも取る。これを必ずやってみよう」というふうに打ち手を設計して実行するという流れを取るべきなわけです。この例もけっこうざっくりです。
打ち手からいくのではなく「あげよう」を言語化する
この「あげよう」をめちゃくちゃ突き詰めているのが、いわゆる戦略コンサルの人なわけですね。ちゃんと考え始めるとめちゃくちゃ深い話で、超むずいんですよ。これだけで5年ぐらい語れるぐらい超むずいし、僕もまだまだ研究中なんですけど。
いろいろあるんだけど、一番やりやすいのは、まず「あげよう」を書きましょうと。「何か動くぞ」という時に、打ち手からいくんじゃなくて、「『あ』は何? 『げ』は何? 『よ』は何なの?」ということをまず言語化する。誰かとディスカッションするというところを、まずちゃんとやりましょうということです。
これをする・しないだけでもけっこう違うので、まずやるというのが大前提にあった上で、書き出す時に一番わかりやすいのは、「あ」と「げ」がちゃんと1対1対応しているか。「よ」と「う」がちゃんと対応しているか。ここの対応関係をちゃんと作ることがけっこう大事です。これが一番やりやすくてわかりやすい。
これを冷静に指差し確認していくと、「あれ? これつながってなくね?」となることがけっこうあります。

例えば「顧客満足度○パーセント、リピート率○パーセントを達成できている状態をやりたいです」と。「現状は、期初想定よりも新規顧客獲得が伸び悩んでいます。要因は、営業部の教育体制が整っていないことです。だから新しい広告キャンペーンをやって顧客数を増やします」。
意味がわからないのがわかりますかね? あるべき姿で「顧客満足度・リピート」という話をしているのに、現状は「新規」の話をしていて、要因は「教育体制」と言っているのに、打ち手は「広告キャンペーン」で、何もつながっとらんやんけと。

意味がわからないですけど、「あげよう」を書くと、みんなけっこうこのように書きます。アホみたいなんですけど、書いちゃうんですよ。意外とむずかしいんです。何度も書いてフィードバックして、議論してまた書いて、議論してということを繰り返していくことがすごく大事なんですね。
それをするためには、「あげよう」というフレームワークが、部とかチームの中で共通言語化していることが大事なので、まずはこれを頭の中でそろえてくださいということですね。
「あげよう」というフレームワークを習慣化する
他にもけっこうありがちなのが、ただの裏返し。「たくさん売れている状態にしたいです。現状はあまり売れていないです。要因は、売上が伸びていないからです。だから、打ち手は売上を伸ばします」「何も言っていないね。売上を伸ばすことを、言い方を変えているだけじゃないか」となったり。

打ち手先行。「すべての営業メンバーが営業研修を受けている状態にしたいんです。現状は各営業メンバーが自己流で営業をしています。要因はここ3年間、営業研修を実施していないからです。だから、営業研修をやります」「いや、お前それ、営業研修をやるってことが先に決まっていて、やる前提で考えているだろう」といったような、打ち手先行の「あげよう」もけっこうありがちです。

これは1個の例ですが、よくあるパターンなので、こういうことにならないように言語化しましょうという話ですね。何はともあれ、「あげよう」は深掘りするとまだまだ掘れる・語れる、一生噛んでも味が出続ける非常に重要なフレームワークです。
まずは「あげよう」というフレームワークが頭の中にあるということがすごく大事なので、この動画を見た今日から、仕事をする時に「今、俺のこの仕事の『あげよう』は何だっけ?」ということを考える・アウトプットする・議論する。これを習慣化することがすごく大事なので、ぜひ「あげよう」を使ってみてください。

まとめます。我々がやるすべての仕事は、問題解決です。問題解決をちゃんとするためには、「あげよう(あるべき姿・現状・要因・打ち手)」の4要素が必要になります。我々はついつい打ち手思考、目で見える打ち手に気を取られてしまうので、必ずあるべき姿から「あ・げ・よ・う」の順番に考えて、打ち手は最後にしましょうということですね。
いろいろあるんだけれども、まずは「あ」と「げ」を対応させる。「よ」と「う」を対応させるということから、指差し確認をするだけでもけっこう成果が出るので、まずはここをやってみてください。

ということで、今日は「あげよう」の紹介をしてみました。