【3行要約】・研修実施で満足する企業は多いが、実は研修効果の60パーセントは「研修後フォロー」にかかっているという現実があります。
・多くの企業で研修投資が成果に結びつかない中、職場での行動変容を実現するための5つの仕組みが注目されています。
・企業は外部講師に頼るだけでなく、社内トレーナーを育成し、継続的なフォローアップ体制を構築すべきです。
前回の記事はこちら 研修後にはフォローアップも不可欠
中島豪氏:では、研修が終わりましたと。そのままにしていたらもったいないです。残りの40パーセントは研修後のフォローでございます。研修で学んだ内容を、職場で継続的に実践し、習慣化するためには、やはり研修後のフォローアップが不可欠です。
私はフォローアップが何よりも最も重要だなと思っていて。やはり人間、一度上がったモチベーションはどんどん下がっていくものです。私もそうなんですけれども、いい映画を見たりとか、いいドキュメンタリーとかを見たりすると、「よっしゃ。俺、明日からがんばろうかな」なんて思うんですが、2、3日すると元に戻っていくんですね。そこで定期的にちゃんとフォローアップをしていってあげることで、やる気をしっかりと保っていく。
効果的なフォローアップのためには、5つの仕組みがあります。この5つの仕組みについても、この後、一つひとつご案内をしてまいりましょう。
職場での受講報告と行動宣言
まず1つ目に、「職場での受講報告と行動宣言」はぜひ取り入れてください。受講者自身のコミットメントの強化と、周囲からの支援体制を構築するということで、研修会が終わって帰ってきた次の日の朝、言い方はさまざまあると思いますけれども、「昨日は研修会に参加させていただいてありがとうございました。こういう学習をさせていただいて、こういうことに気づきました。今回こういうことを学んできたので、こういうような行動を新しく取っていこうと思います」と、宣言をさせてあげることがポイントです。
先ほどの行動宣言にもつながっていますが、受講者が、具体的にどんな行動変容を目指すのかを宣言するということを、職場に戻って行っていただく。そして同僚や上司にも、「こういう新しいことをやっていこうと思います。」と宣言してしまう。
急に新しいことをやろうと思うと、気恥ずかしかったりとか、「なんか新しいことをやってる」なんていじられてしまったりするので、ちゃんとこういう場所を作って、「自分はこういうことをやっていきます」と言えば、「お、がんばっているな」(となります)。職場全体で、行動変容を支援する仕組みをちゃんと作ってあげてください。
上司にアクションプランの実現をしてもらう
そして、そこにコミットメントして、フォローをしてあげるのは上司です。この上司が、期待を伝えてスムーズに送り出した、良い上司だったと仮定します。その上司に対して、アクションプラン、行動宣言をした上で、上司からそこに合わせて「中島さんはこういうことを言っていたよね。じゃあちょっとそれを指標にして見ていくから、日々活動してがんばっていきましょう」と、定期的な1on1で進捗を確認したり、良いこと・良い行動を取れているならちゃんと褒めてあげたりする。
なかなか行動が取れていないところはフィードバックをしてあげるなんていうことで、同じ目的を持って、アクションプランという共通の指標を設けながら、二人三脚で一緒に支援をしてあげるというところは、上長がしっかりと関わってあげる必要があります。
定期的なアンケートで行動変容を促進
そして3つ目は、定期的なアンケートで行動変容を促進させていきましょう。アンケートは、受講者の振り返りと改善を促進するために重要な仕組みです。
冒頭の「研修の満足度だけに固執していませんか?」というのは、研修のアンケートを否定しているわけではございません。行動の実践状況や成果を正しく把握をするためには、こういったアンケートを使っていただくと実態が見えるようになります。そういったものを定期的に行うことによって、「職場に戻ってからも、ちゃんとそういう行動が取れているのかな?」というところを、事務局側でちゃんと押さえてあげる。
押さえた結果、もしかすると、「ちょっとプラスアルファでこういうことをしてみようかな」なんていう施策も見えてきますので、こういった定期的なアンケートを採って、実態を把握していただくのも重要です。
そしてそれだけではなくて、研修参加者同士、受講者同士の学習グループで活動共有をして、お互いに関わり合う仕組みを作ってあげてください。(スライドを示して)「相互学習と動機維持の効果」と書かせていただいていますが、同じ課題に取り組む仲間からの刺激や助言は、1人では得られないような学習効果をもたらします。
そして、時にはうまくいったことだけじゃなくて、「こういうことで今つまずいていてさ。やはり難しいところがあるよね」なんてお互いに支え合っていく、活動状況の共有の場をいかに作れるのか。これはデジタルツールを使っていただくとうまく活用できるので、この後、ご案内もさせていただこうと思います。
定期的な振り返りで継続的な改善を支援していく
そして最後は、「定期的な振り返りで継続的な改善を支援していく」ということです。いろいろと書かせていただいていましたが、今まで挙げさせていただいた4つの項目を総評して、それが継続的にできているのかは、しっかりと追っていってあげてください。節目で振り返りの場を設けていただきながら、成長過程をちゃんと確認していきましょう。
例えば研修後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月など、節目節目でやってみてどうだったのか。「あなたはこういう目標を立てていましたけど、どうでしたか?」をベースにしながら振り返りを行っていきます。振り返りのポイントは、全部を定量的に測っていただくだけではなく、自分自身どうだったか、どういう変化があったか。
1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月経てば、それぞれ目線や考え方も変わってくるかと思いますので、そういった変化も加味していきながら、継続的に支援し続けることが、このフォローアップにおいては何よりも重要でございます。
ここに関しては、みなさん新しい気づきはないと思います。当たり前のことを当たり前にやり続けるというところだけなんですが、やろうと思うと、ものすごく大変ですよね。当然デジタルツールなんかも活用しながらというふうになると思うんですが。
これを例えば、研修提供会社から派遣される講師でやる場合、「フォローアップするために毎回講師を派遣するんですか?」とか。毎回これをやっていくのは非常に困難です。大変です。ということで、それをどこが主管をして、どういった方々が関わっていくのか。
行動変容を起こす上で社内トレーナーの存在は欠かせない
行動変容を起こしていただく上で欠かせない要素は、社内トレーナーです。要は研修を内製化する。全部を全部、外注して講師派遣をしてもらうのではなくて、自分たちの会社を自分たちの手で変えるために、社内に研修講師を擁立しながら、その人たちが行動変容に対して責任を持っていくということです。
これには大きな違いがあるんです。外部講師というのは、先ほど挙げさせていただいたとおり「研修をやること」が目的です。研修会を実施したことに対してお金をいただいている。これがビジネスとして成立しています。
これが社内講師になった場合、社内講師の場合は、「研修の目的を果たすこと」が仕事ですよね。「研修をやること」が目的じゃなくて、「こういう課題があるんだ。こういうカリキュラムがあるんだ。それをちゃんと教えて、理解して、行動が変わるようにする。そのためにあなたは講師としてがんばってくれよ」ということで任命されている。ここが大きな違いなんです。
社内講師と社内トレーナーは、行動変容に向けてさまざまな活動ができるんです。外部講師は、研修会をやってから6ヶ月後のフォローまでしかやってくれないところが多いと思います。なので何を申し上げたいかというと、社内講師こそが研修の効果を追求し、行動変容を実現することができる存在でございます。
研修をすべて外注していることに対して否定するわけではないですが、真に効果のある、行動変容を促すための研修運営をするのであれば、自社で賄う、内製化するという選択肢も、ぜひご検討に入れていただきたいなと思っています。
会社の人だからこそ組織文化・経営課題を理解している
講師育成とか内製化に関しても、また別でお話しをしているんですが、かいつまんでご案内をさせていただくと、やはり社内トレーナーは、組織文化とか経営課題とかをちゃんと理解しています。もちろんその会社にいる人ですから。
外部から来た人たちは、やはり外から来た人たちです。外から来たことによって、良い効果が生まれる教育や気づきももちろんあるとは思いますが、行動変容をするその前段となるのは、やはり経営目標だと書かせていただきましたよね。
「こういう目標を達成するために行動変容をしたいんだ。じゃあ、その行動変容のためにはどんな知識が必要なのかな?」と、内部にいる人間だからこそわかることもたくさんあります。なので、クリティカルな研修を提供する。特に会社で売上を上げる、生産性を高めるための研修会は細かく外注できるものではありませんので、内部でやっていただくのが最も効果的です。
そしてもう1つのメリットは、タイムリーな支援ができるということです。日時や時間など、機動力高くフォローできます。何かあった時、受講生が困っている時、何か不測の事態があった時に、毎回連絡を取って細かくやるということは現実的ではありません。
行動変容を促すためには、やはりタイムリーな支援をしていただく必要がありますので、研修講師、社内トレーナーを内部で抱えていることが最も重要でございます。なので、ぜひ内製化支援も、1つの選択肢に入れていただきたいなと思います。
ここまでの流れで、「こういうようなことをしていただくと、行動変容につながる研修運営ができますよ」という4つの要素がありましたよね。研修の前、研修の終わり方、そして研修後には、こういうフォローを入れていただくと効果的ですよと。それを全部が全部外注するのは大変だから、社内トレーナーを作って、内製化で細やかにフォローできるようにしていきましょう。