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トークセッション1・AIと人と呪術性(全6記事)

AI時代に鍛えるべきは「人間にしかない思考プロセス」 体験から始まる“問い”が武器になる

【3行要約】
・AIの進歩により人間の思考力が問われる中、身体性を持たないAIとの差別化が課題となっています。
・門拓馬氏は、AIには欠けている身体的感覚から生まれる直感的思考プロセスに注目。
・人間は感覚→問い→思考の流れを研ぎ澄まし、AI時代における独自の価値を高めるべきです。

前回の記事はこちら

AIに欠けている思考の起点

門拓馬氏(以下、門):スライドを送り忘れていました。そうそう、なんかグレート・リグレッションみたいな。とりあえず今のところは、AIはメタ認知はできない。僕も含めて人間でも上手じゃない人のほうが多いと思います。メタ認知を極めたら、仏陀とかになりますから(笑)。



宇野礼於氏(以下、宇野):そうですね。

門:そこまで行けている人は、やはり人類で今まで1人しかいない、みたいな感じだと思うんですけど。でも、そういうところを目指していくと、今の自分の思考の枠が外れますよね。

今の使い方ってたぶんAIに「ここからここまでの文脈知の中の話で、こういうことをする」みたいな感じですよね。でも、その切り取った文脈知の中だと、そこを縦軸で見た時に、クリエイティビティみたいなものがすごく狭くなるじゃないですか。

でも、AIはもっとどんどん賢くなると思うので、それを考えた時に、やはり人間が鍛えておいたほうがいいのって、身体性を重視した直感、感覚という、人間にしかない思考プロセスだと思うんですよね。

例えば、冷たい雪を触って「あっ、すごく冷たいな」「なんで冷たいんだろう?」って思う。この問いの出し方みたいな、感覚が来て、問いが来て、思考が来るというフローは、AIは絶対持っていません。

なんでかというと、体がないから。電気信号的にそういうものを流すことはできるとは思うんですけど、でも絶対的に違うところがあるなと思っています。

端的に言うと「この思考プロセスを自分たち(人間)は持っているんだよ。だからその思考プロセスを研ぎ澄ますと、めっちゃいいよ」と、僕は思っているんですよね。

身体性は「後付け」できるのか

宇野:そうですね。確かに今の生成AIの技術ベースでいくと、身体性は、おそらくまったく持っていません。そこも後付けでトレーニングをすることで、知識として教える、みたいなことはやっていますけれども、そこは今AIが持っていないところです。

これはたぶん15年か20年ぐらい前からやられているんですけど、ちょっとおもしろい研究があって、身体性をいかに機械に持たせるか。身体性や概念、物の概念みたいなことを、いかに持たせるかという研究があります。

人間って生まれた時からいろんなものを触ってきているので、言葉で「リンゴは赤い」とか、(リンゴの)質感とか、そういうものを教えなくても、なんとなく概念ができてくるじゃないですか。それをAIに、機械に教えさせようという研究があるんです。

門:すごいですね。

宇野:けっこう昔なんですけど、本当にロボットに、質感とか、強度とか、そういうのを計算できるようなセンサーを与えて、いろんなものを触らせていくんですね。

そこで、たくさんトレーニングをしていくと、機械学習のディープラーニングの空間の中で、あくまで数学的な表現なんですけれども、概念の集合というものができていくということが見えているんです。

門:へぇ。

宇野:だから、そういう身体や感覚を与えた上で、さらに今の技術と組み合わせて情報入力をさせると、もしかするとまた変わっていくのかな。

門:はぁ、超おもしろい(笑)。すごいですね、それ。

宇野:その研究自体はけっこう以前からやられているので、おそらく今、生成AIも使いながらやっているんだろうとは思うんですけれども。

次は、フィジカルAIって言われたりもしますけど、やはりこれからそっちが本当に来るかもしれないですね。

AIに「透明」の概念は教えられるか

門:めっちゃおもしろいな。例えばこのペットボトルは透明です。でも、透明じゃないじゃないですか?

宇野:はい……。

門:(笑)。わかります? 透明性って難しいですよね。

宇野:確かにそうですね。

門:だって、透明って見えないじゃないですか。でも、これは透明ですよね。これがわかるのかな。これ、僕の中でめちゃくちゃ身体性があるんですよね。

宇野:確かにそうですね。そしてたぶんその概念は、言葉をうまく話せない子どもでも、概念としてはおそらくわかる。

門:そう、わかる。

宇野:そうですね。

門:結局、物を相対化しないとわからないじゃないですか。何が透明性で、何が不透明性でというグラデーションの中での、「あっ、今、ペットボトルなんだな」みたいな。この物の理解の構造フローを学ばせただけで、地でいけるのか、というのはめっちゃ気になりますね。

宇野:そうですね。そこってどうなんでしょうね。実世界と触れ合える身体性を獲得させることで学んでいくものと、あと、そういった概念ということでいくと、ある程度人間同士のコミュニケーションを通じて、自分の感覚とをすり合わせていく、みたいな。

門:いやぁ、そうなんですよね。やはりそうやって、超相対化しているんですよね。

宇野:これもちょっと今どういう考え方になっているかわからないんですけど。以前のAI研究では「本当に人間と同じように学習させていく」という発想であることを考えると、AIも何年もかけて育てていく、ということにやがてなっていくんじゃないかという考えもあったりして。

門:めっちゃそう思います。育てる、みたいな、本当にそうだと思います。AIって結局、アルゴリズムと演算の速度や回数と、もともとのデータ量の3つの掛け合わせじゃないですか。

アルゴリズムや演算速度の領域は、量子コンピューターのような技術が実用化されればまた大きく変わると思います。ただ、よほど上流の研究開発に関わっていない限り、そこに私たちが直接寄与できる余地は大きくないのが正直なところです。

そうなると、私たちが関われるのはやはり「データ」の部分です。自分たちが持っているデータを、いかにAIに提供し、学習させていくか。そこが勝負になってくる。

その意味では、感覚的には「AIBO」みたいなものだなと思うんです(笑)。AIBO、すごくはやりましたよね。あるいはドラえもんのような存在というか。関わり方次第で成長していくパートナー、みたいな感覚に近いなと感じています。おもしろいですよね。

宇野:そうですね。AIBOは、私が最初に勤めていた会社のオフィスにいました。朝、会社に来るとバッテリー切れで、床の上に脚を全部乗せて、グデーッて寝そべっている状態で、誰かが電源のところに持っていってあげるというのを、毎日やっていましたね。

門:(笑)。でも、そういうほうがいとおしいじゃないですか。

宇野:そうですね。ある意味、ちょっと愛情が湧くというか。

門:すごくおもしろいなって思っているんですよね。

劣化に愛情が湧く日本人の「育てる」センスとAIの相性

門:これもちょっと違う話になるんですけど、日本人の劣化に対する愛情って、すごいじゃないですか?

宇野:何でしょう? それは、はかなさとか、そういう……。

門:あっ、そうです、そうです。だから花火とかが好きなんだと思うんです。その瞬間にしか会えないんだよな、みたいな。

これ、子育てしている人は、めっちゃわかると思うんですけど、「0歳の時のあの子はもういないんだよな」みたいな感覚って、ありませんか? 僕、めっちゃあるんですよ。子どもを見ていると「あっ、0歳の時のあの子は、もう今この瞬間にはいないんだ」とか。

お風呂に一緒に入るんですけど、ある日突然一緒に入るのは終わるんですよ。ある日突然卒業する。そこから2、3ヶ月とか半年ぐらい経った時に、ふと、「あっ、もう頭を洗ってあげるとか、その瞬間はないんだ」みたいな……これはちょっと劣化とは違いますけど。

本で読んだんですけど、日本人はおもしろくて、AIBOを「育てる」というか、一緒にやるじゃないですか。5年、10年やったAIBOを「そのAIBOがいい」と、もう1回欲しがる。

これ、海外の人はすごくびっくりするらしいです。そこからメンテナンス費用とかで倍稼げる、というのもあって。ちょっと、ビジネスパーソン的にはウハウハみたいなのがあるんですけど(笑)。

宇野:(笑)。

門:そういう劣化性とか、はかなさみたいなのも、たぶんセンスの1つに入ってくると思っているんですよね。

宇野:確かに身体性を持つようになると、脳みそのところは一緒でも、「これ」みたいに、唯一のものになっていったりもしますよね。

門:そうなんですよ。日本人は本当にそれが得意じゃないですか。だって、ご自身でChatGPTに名前を付けている人って、どのぐらいいますか?

(会場挙手)

ほら(笑)。「チャッピー」とか言い出すじゃないですか。マジ、日本人ってすげぇなって思うんですよね。

宇野:いや、でもチャッピーは、言いやすくて私もけっこう好きですよ。

門:(笑)。

宇野:私もチャッピーって言いたいんですけど、仕事上の場面で真剣な会議をしている時にチャッピーと言うのはちょっとなと思って、とりあえずChatGPTって言っています。

門:いやぁ、すごい。だからそういうのが日本人たるセンスなんだよなって、めっちゃ思うんですよ。

宇野:そうですね。

門:『ドラえもん』とか『鉄腕アトム』とかも作っているし、あれはセンスの塊以外の何物でもないですよね。

宇野:そうですね。そこはけっこう言われますよね。西洋的な考え方なのか、キリスト教なのかはわからないですけど、AIに対して、脅威というか、支配すべきもの、みたいな考え方がけっこうあるらしいですね。

一方で日本の場合だと、友だちになっちゃう。一緒に仲間になって何かしていく、みたいな発想になるので、けっこう違うとはよく言われますよね。

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