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基調講演(全3記事)

なぜ説明しても相手が動かないのか 「説得」を手放す“パス型”コミュニケーション [2/2]

対策は「一時しのぎ」だけじゃない

たくま:僕はトラブルシューティング部門にいて、「なぜなぜ分析」とかいろんな分析手法をやっていたので、これはけっこう得意ですが、事実と主観を分けるのは難しいです。

「私が忘れたんだ」というのは主観なんです。例えば、「リモコンを忘れちゃった」が主観だったら、対策はどうしますか?

参加者4:リモコンを取りに戻るか、代わりのものを買ってくる。

たくま:そうでしょ? でもそれは、一時しのぎなんですよね。次にまた忘れるかもしれない。それは予防措置とは言いません。

何かミスが発生して「それを起こさないようにする」のと、「とりあえず今なんとかしなきゃいけない」というのは、話が違うんですよ。

「繰り返し起こさないようにする」のと、「それが起こっても大丈夫なようにする」のと、「今起こったから、なんとかしよう」の3つがあります。

「物の視点」になると、事実と解釈が分けやすい

たくま:「忘れちゃったからなんとかしよう」というのは、みなさんがよくやりがちです。そうじゃなくて、「次にもう1回忘れないようにするにはどうしたらいいかな?」と考える。そしてそれを考えた時に、みんながだいたいやるのが、「自分が忘れないようにすればいいんだ」という、自分主観なんですよ。

でも、自分が主観だと絶対に忘れます。また忘れるんですよ。僕は何回も忘れていて、その度に奥さんに若干怒られています(笑)。

そのように、主観と事実を分けるのは非常に難しいです。なので、この時のポイントだけ伝えます。「物の視点」になってください。「物の視点」です。

「リモコンを忘れちゃいました」ではなくて、「リモコンという私が、ここに置かれたままになってしまいました。主はそのまま行ってしまいました」みたいに、こっち(リモコン)の主観になってください。事実と解釈を分ける時は、こっち(リモコン)の主観になるのが一番楽です。

これはプロの分析をしていた方に教えてもらったやり方なので、非常に理にかなっているなと思います。本当にそのままの意味で、自分視点で物を見ないでください。じゃあ、何視点で見るのかというと、物視点で自分を見るということです。ぜひ物視点で自分を見るようにしてください。

「なんで?」を「どうすれば?」に変えると、悩みが課題になる

たくま:次のページ、お願いします。あとは、「なんで?」を「どうすれば?」に変えましょう。言葉を変えてください。これもよくありますね。「なんでなんだろうなぁ」というのは、ただ悩んでいる状態なんですね。ただ悩んでいるだけです。

ただ悩んでいるだけだと、自分の気持ちと対話し始めちゃうんですね。「私はあの時、何をすればよかったと思う? 私、なんか悪かったかな?」って、ウジウジしちゃう感じになってしまいます。

そうじゃなくて、「どうすればいいかな?」というふうに、ぜひ言葉を変えてください。人とコミュニケーションする時も、ぜひこのようにしてほしいと思います。

子どもを育てていると、「なんでそうやっちゃったの?」って、つい出ちゃうんですよね。僕もつい言っちゃう時がありますが、そういう時は、すぐに「次はどうすればいいと思う?」という言葉に変えます。

横に並ぶ問いにすると前に進む

たくま:やっぱり「Why」は、相手から情報を奪うコミュニケーションになっちゃうんですよ。「なぜ?」は、上から下に物を言って、情報を吸い上げられるようなイメージになるんですね。

これは言語学上の問題なんですけど、上下になるんじゃなくて横に並んであげる、というのがすごく大事です。「どうすればいいんだろうね。一緒に考えてみようか?」って、僕は子どもにめちゃくちゃ言います。

そうすると、悩みが課題に変わります。基本的に悩みは問題か課題に分けられるので、ぜひそのようにしてみてください。

「なんで?」は(相手が)責められていると感じるのでやめましょう。「どうすればうまくいきますか?」「どのようにしたらいいと思いますか?」と、日本語が通じる宇宙人だと思ってくださいね。繰り返し言いますけど、日本語が通じる宇宙人です(笑)。

そういう人に対して、宇宙人はとってもいい人になってくれます。だいたいみなさんいい人なので、これを覚えておいてほしいですね。


わかり合おうとしすぎない

たくま:じゃあ、次のページです。基本的にわかり合おうと思わなくても大丈夫です。わかり合おうと思うと、「あっちの星からこっちの星に来てもらって、こっちの星のルールに染まってもらって」みたいに大変なんですよ。相手からするとコストがかかるんですね。

なので、あっちの星にいてもいいし、こっちの星にいてもいい。基本的には「通う」イメージですね。無理にわかり合おうとする必要はぜんぜんないです。だから、「仲良くなる」のと「わかり合う」のをこんがらがらせない、ぐちゃぐちゃにしないというのは、とってもポイントですね。

ただ、日本人は世間をすごく大事にするので、ここが混線しやすいです。そういう時は、「あなたはそう思うんですね。僕はこう思います」と、ちゃんと切り分けます。これは、悪いことを言っているわけではありません。相手の受け取り方もいろいろで、今日言ったことが全部理想的にできるわけではありませんが、ちょっとでもやれるようになると、すごくいいなと思います。境界線が曖昧な感じになっているので、境界線を入れてもらえると大変いいかなと思います。


平和=「無」は退屈

たくま:ということで、次のスライドをお願いします。「レアキャラ」探しを楽しもうということで、みなさんぜひ、今日はレアキャラを探して帰っていってください。

究極の平和って何かというと、何も起こらないことなんですね。「何も起こらない」というのがどういう状態かというと、みんな同じ性別で、みんな同じ顔して、みんな同じ思考で、みんな同じようなことしか考えない、「無」の状態が基本的には平和です。

何も起こらないから平和ですね。でも、それっておもしろいですか? ってなるんですよ。人間って本当に贅沢ですよね。

「なんかつまらないな」と思ったら、すぐに「刺激がないかな」と言い出す。本当に人類は贅沢なんですよ(笑)。みなさん、覚えておいてくださいね。人類はマジで贅沢です。なので、「話が通じないからおもしろいんだよね」と思っておくといいと思います。本当の平和は「無」なので、基本的には何もありません。

みんなが「休眠カプセル」みたいなものに入って、自分の脳みそで妄想している時間のほうが、もしかしたら世の中的、環境的には平和かもしれません。誰がなんと言おうと平和だと思うんですけど、「で?」って感じですよね(笑)。

だから人間って、生きる意味を探してしまうんですよ。そういうのを探すから、ラグとか面倒くさいことが発生したりするわけです。なので、「自分たちは基本的にそういうことを根源的に求めている生物なんだな」というのを問い直しておくといいんじゃないかなと思います。

基本的に、暇すぎると人は死んじゃうんですよ。1人になりすぎても死ぬ。人類って本当にわがままなんですよ(笑)。だったら、おもしろい旅のほうが絶対いいですから。こっちのほうが死ぬほど楽しそうだもん(笑)。



このあと、いろいろ話をしていきますが、AIが発展したあとは、彼らのようなスタイルを取れる人たちが活躍すると思います。ということで、ぜひ覚えておいてほしいと思います。みなさん、ありがとうございました。

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