【3行要約】・営業の属人化が課題視される中、経験豊富な上司でも部下への効果的なフィードバックができないケースが多発しています。
・元キーエンス営業の森氏が、AIを活用した営業力育成の具体的ステップを提案。
・商談の文字起こし、AI壁打ちでの振り返り、チーム共有の3段階で、組織の営業力を体系的に向上させる仕組みづくりが必要です。
前回の記事はこちら 営業力を「AI×人」で育てる具体ステップ
澤田隼氏(以下、澤田):では、ここからは澤田も話しつつ、結局営業力をどう育てていくのか、というお話をしていきたいと思います。自分もロープレも含めて、こういうところはAIでけっこういろいろ解決できるんじゃないかな、というものを事前に考えてきました。
森さんとディスカッションしつつ、「企業はこういうステップで営業の組織づくりや仕組みづくりをしていったらいいんじゃない?」とか、あと15分ぐらいお話ししていければなと思っています。
キーエンス流の本質って、顧客理解、ヒアリング・提案力、決裁などのタイミングも含めて、組織をどう攻略していくか、というお話だったと思うんです。これは理解として、合っていますよね?
森賢弘氏(以下、森):合っています。
澤田:ありがとうございます。
上司側の壁:言語化できないとフィードバックが機能しない
澤田:この力をどう育てていくかという話で、森さんは、テーマ的には「AIって営業でどう使えるの?」みたいな方向から入ることもできたと思うんですけど、あえてそうではなく、構造的に分解して「こことここと、ここの要素に分けると、必要なのはこれだよね」という整理をしてくださったと思っています。
その流れで、気合いやOJT、経験が積めるまで待つ、となった時に、話を聞いていて感じたのが、さっきの森さんの「ロープレしましょう」とか「同行してフィードバックしましょう」って、上司側が思考を構造化できる前提の話な気がするんですよね。森さんみたいに、経験を通じて思考を構造化できている人が上司である前提というか。
でも実際には、営業経験が浅かったり、勢いだけで営業してきた人だと、そもそもフィードバックをちゃんとできない、というケースもけっこうあると思っています。そういうのって、実際どうですかね。他社だとどうなんでしょう? 森さんが入り込んで支援しているケースもあると思うんですけど。
森:めちゃくちゃおっしゃるとおりだと思っています。キーエンスの中でも、できる人とできない人が正直います。
澤田:あぁ、そうなんですね。
森:はい、ぶっちゃけ。構造化したり、わかりやすく伝えたり教えたりするのって、特殊なスキルじゃないですけど、難しかったりするじゃないですか。
澤田:うんうん。確かにそうですね。
森:僕もわりと感覚でやっているところもありました。最近、起業したこともあって、いろいろ棚卸ししてこんな話をできるようになっているんですけど、たぶんけっこう難しい。言語化して若手に伝えて体系化で教えるのは、すごく難しいところかなとは思いますね。
矛盾するフィードバックと市場変化
澤田:そうですよね。視聴している方も、森さんの言っていることはめっちゃわかるし響くと思うんですけど、「実際、難しくない?」みたいな。「結局、属人に頼るしかなくない?」みたいな話になってくると思います。
そもそも、本人が自分のやっていることを言語化できていなかったり、フィードバックが感覚論に寄りがちだったり、ノウハウがブラックボックス化していたりすることって多いですよね。さらに、1人や2人からフィードバックを受けても内容が矛盾していて、「結局、何が良くて何が悪いのかわからない」という状態にもなりがちです。
しかも、試しながら改善していくしかないとはいえ、市場もどんどん変わるし、求められる役割も変わっていく。そう考えると、「経験を積めば自然にできるようになる」という話だけでは、なかなか追いつかない現実があると思っています。
言語化を補完し「AI×人」に落とす
澤田:そこで、このあたりを生成AIでどう解決していけるか、という話になります。もちろん「言語化する力」そのものも能力の1つではあるんですが、いま在籍している組織の中で、その部分をどうAIで補完・代替していくのか。つまり「AI vs 人」ではなく、「AI × 人」というかたちにどう持っていけるのか、という具体的なステップに落とし込んできました。

なので、まずはそのステップを実践していただきたいですし、実践の途中で悩みや引っかかりが出てきた場合、AI活用の部分であれば弊社にご相談いただければと思います。また、営業の仕組み化や言語化といった領域であれば、森さんにご相談いただくことで、より掛け算でうまくいくのではないかと思っています。
最初にやるべきは「文字起こし」
澤田:ここまで「生成AIだったら」という話もいろいろしてきましたが、今日一番お伝えしたいのは、実はそんなに難しいことではありません。「AIエージェントを作りましょう」とか、「高度な自動化をしましょう」といった話ではないんです。
まずやってほしいのは、すごくシンプルで、「文字起こしを取りましょう」ということです。
このあと構造的なステップもご紹介しますが、森さん、これって本当に重要ですよね。商談や打ち合わせのトランスクリプトを取る、ログを残す、というところからすべてが始まる、という話だと思っています。
森:超重要ですね。さっきも言ったとおり、結局、部下からのフィードバックって部下のフィルターを通しちゃっているので、その人が言っている感覚とお客さんが思っている感覚は実際違うと思うんですよね。
上司も商談で何を話しているか知らないので、正しくフィードバックできなかったり、結局わからなかったり、ということが起きると思います。文字起こしは超重要だと思いますね。
振り返りがチームの資産になる
澤田:そうですよね。弊社も共催でご一緒しているのでイメージがつきやすいと思いますが、営業支援をお願いしたり、自社でも営業組織を拡大しようとしたりする中で、報告の観点でも文字起こしや録音があると、「あ、こういうやり方をしているんだ」と具体的にわかるんですよね。
それに、あとからチームのメンバー同士で「この場面、こういう打ち手があったよね」と振り返ることもできます。「自分ではこう考えていました」とか「相手がこう思っていそうだったので」と言われてしまうと、それ以上踏み込めないこともありますが、ログが残っていれば「この流れなら、こういう提案もできたよね」と、より合理的に伝えられます。
本人にとっても感覚論ではなく事実ベースの話になるので、変に言い訳をする余地が少なくなりますし、それで関係が悪くなるケースもあまりない印象です。むしろ、受け入れてもらいやすい状態をつくれるという意味でも、文字起こしは本当に重要だと感じています。