【3行要約】 ・社内の人材が研修を担当する「社内トレーナー」のメリットについて、社員研修体制の内製化を支援する中島豪氏が解説します。
・研修は内容が充実していても、進行方法次第で効果に大きな差が生じるという課題があります。
・研修担当者は「準備が8割」という意識を持ち、参加者の行動変容を促す実践的な研修設計を心がけましょう。
前回の記事はこちら 研修を盛り上げる8つの工夫
中島豪氏:では、ここまで研修のテーマ設定をして、カリキュラムを作って、それぞれの実施の際における準備のあり方についてお話ししました。ここからは実際に当日、研修会を盛り上げていただく8つの工夫をお話ししてまいります。

研修会を盛り上げる工夫の1つ目は、ぜひアイスブレイクを入れてください。最初にいきなりドンッと研修が始まるんじゃなくて、「じゃあ、お互いに自己紹介をしてみてください。その時に、今の気持ちを天気で表して話してみてください」と、ちょっと取っつきやすいような、簡単な自己紹介やゲームみたいなものを入れていただきながら、アイスブレイク。緊張をほぐしていただくところは、ぜひ使っていただきたいなと思っております。

そして2つ目は、ビジュアル要素を使ってください。プレゼンテーションのスライドを作るにあたっては、アニメーションを入れたり、イラストや図表を使いながら、内容をわかりやすく伝えていただく。やはり社内資料は、それを回覧させて読むことが目的ですけれども、研修に使っていただくスライドは、見ることで視覚的に理解を促進させるものになります。講師からのレクチャーを補助するために必要なものを落とし込んでいただくところもポイントです。
そして3つ目は、インタラクティブな活動を取り入れていきましょう。ディスカッションやグループワークを入れることによって、積極的に参加していただく。講師からの問いかけを多くすることによって、参加者同士や講師との対話を活発にする。このインタラクティブ(な要素)を入れていただくかどうかで、研修の効果や満足度は大いに変わっていきます。
何十回も言いますが、一方的に話を聞いているだけの研修は、やはり退屈ですよね。お互いに関わるかたちの活動をうまく取り入れていただくところが、3つ目のポイントです。
エネルギッシュな話し方で研修をより効果的に
そして4つ目のポイントは、講師の方々はぜひエネルギッシュに話してください。私も「今日、これを言うんだ」というところを意識しているので、けっこう意図してエネルギッシュに話している部分もあったりします。声のトーンや抑揚、間の取り方は非常に重要です。もちろん、一方的に講義をするような場面も必要なんですが、大事なことを言う時、しっかりと間をうまく使っていただくと、参加者の関心をグッと引くことができます。
例えば、「……」というように、私が今一瞬黙ったら、みなさん「ん?」と、ちょっと意識されたのかなと思います。このようなかたちで、うまくトーンや間を使い分けていただく。そして、エネルギッシュに話していただくところが4つ目の工夫です。意外とここが疎かにしがちなポイントだったりしますね。
そして、5つ目は「ポジティブなフィードバック」をあげてください。参加者の意見や質問、「こうだと思います」なんていうことが出たら、ぜひポジティブなフィードバックを積極的にあげてください。感謝や賞賛の言葉。「中島さん、その観点はいいですね」「そういったものの見方をする方は、なかなかいらっしゃらないですよ」とか。

「なかなかいい指摘をしてくれますね」というかたちで、ポジティブに盛り上げていっていただく。バラエティ番組のMCのように、しっかりと引き出してあげるところも必要です。ポジティブなフィードバックをぜひ取り入れてみていただければと思います。
そして6つ目は、「コンテンツを多様化」してください。実例やケーススタディ、特に社内トレーナーの方々にやっていただく研修であれば、いわゆる社内の内輪ネタを盛り込んでいただくと親近感が生まれる。
やはり一般的な概論を聞いているんだと思われてしまうともったいないので、実際に「うちの会社のもの」として捉えて話していただくことによって、研修の理解度や盛り上がりにも大きく作用していきます。このケーススタディや実例、事例は、うまく取り入れていただきたいなと思っております。
テクノロジーを活用して全員参加型の研修に
そして7つ目は、「エクササイズ」をちょっと入れてみてください。もう数分間の簡単なものです。「じゃあ、ちょっとみなさん立ち上がって、グーッと背伸びをしてみましょう」。私も長い研修の時は入れるんです。やはり座りっぱなしだと、ちょっとお尻が痛くなったり、集中力が下がったりしてしまうこともありますので。
時間を見ながら簡単なエクササイズを取り入れていただくと、そのあとの集中力にも関わっていきます。ぜひ、これも使ってみていただきたいなと思っております。
そして、最後の8つ目は「テクノロジーを活用」してみてください。オンライン研修もちろん、集合研修の場においてもそうですが、「みなさん、何か意見はありますか?」「これについて、どう思いますか?」という時に、手を上げて、ミュートを外して発言できるのは、けっこう度胸が据わった方だけです。
みなさん思っていることはあるけれども、だいたいの方は、それを発信するのはどうしても「恥ずかしいな」「憚られるな」という方もいらっしゃると思います。ただ、そういった方々にオンラインツールで投票機能やチャット機能を使っていただくことによって、リアルタイムで参加者の意見を反映させることにつながってきますし。
ラジオのDJのようなかたちで、「みなさん、こういうことを思っているんですね」ということを拾い上げていくことによって、研修会に一体感を作っていただけるようになります。
なので、今挙げさせていただいた8つの工夫、すべて簡単に取り入れられるようなものだと思いますし、意外と一つひとつが強力なツールになりますので、ご活用いただきたいなと考えております。
行動変容につながる学びの場を作れるか
では、残りの6分程度で、最後のまとめに入らせていただければと思います。私は時間の柔軟性を持たせていても、最後にカツカツになってしまう部分もあるんですが。まとめとして、社内トレーナーが研修を行うことの重要性(について)。今日、冒頭にオリエンテーションで話したところからです。
社内トレーナーとは、組織のエース的存在です。そのような方々が教えることによって、そういった方を増やしていくことが期待できます。
なので社内トレーナー、教育のトレンドがどんどん変化をしていったりとか。オンボーディングが必要ですよ、結果につながる教育が求められているんですよ、というところが注目されているからこそ、社内でトレーナーを養成していきながら、自分たちの会社に必要なことは自分たちで変えていくんだ(という意識が必要です)。

やはり(研修を)外注すると、外注された業者の人たちは、研修をやることが目的になっています。そうなってくると、研修の満足度しか見ないんですね。終わったあとのアンケートで5点満点中、みんな4点をつけてくれました。「あ、じゃあ、みんな満足しているんだ」「今回の研修は成功だったね」じゃないんですよ。
何度も言いますが、研修の目的は行動を変えることです。行動が変わって、ようやくその研修は「成功だった」と言えますよね。外部講師は、そこまでは追わないんです。まぁ「追えない」と言ったほうが正しいですが。そこにコミットできるのは、社内トレーナーの方々だけです。こういったものをぜひ社内で取り入れていくのが、冒頭でお話ししたところです。
では、そのあとにどういうお話をしたかというと、社内トレーナーの方はどんなところを意識する必要があるか。やはり社内トレーナーの方が不安に感じるところは非常に多いです。なので、しっかりと準備をしていきましょう。事前調査とポイントを押さえて、しっかりテーマ設定をして、カリキュラム設計をしていただく。
初心者は基本に立ち返ることが大切
準備が8割です。もう、ここに成功のすべてがかかっていると言っても過言ではございません。その不安から来るエネルギーを、準備に向けていただくところがポイントでした。そして、研修テーマを設定する時には、課題が明確な場合と不明確な場合で必要な工程が異なりましたよね。
なので、それぞれに応じてしっかりとテーマ設定をしていただいた上で、カリキュラムを設計し、基本手順を押さえていただきながら、その研修をどういうスタイルでやるか。最初は、集合研修かオンライン研修からスタートしてみてください。ただ、オンライン研修ができるからと言って、集合研修がうまいか。その逆も、またしかりです。
それぞれのスタイルに応じて適切な準備をしっかり行っていただくことが、今日お伝えしたかったポイントでした。なので(今回の資料は)それぞれの項目において、かなり量も多くポイントが整理されております。ぜひみなさん、研修会を行う際には今日の資料をペラペラと見ていただきながら、「準備をするにあたって、どこを押さえていく必要があるかな?」(と、確認していただく)。
その手順でしっかりと押さえていただければ、抜け漏れなく準備できますが、今日お伝えした内容はあくまでも「初めての社内トレーナー向け」です。実際に社内トレーナーとして、社内で活動していっていただくと、ご自身の経験値がどんどん増えて、この基本から脱却していくフェーズも来るかと思います。
まず、初めての方はここを意識していただきたいです。すでに社内トレーナーとして活躍されている方も、今一度基本に立ち返っていただく時には、我々からお伝えさせていただいた、この情報をご活用いただきたいなと考えております。