カリキュラム作成は余裕ある時間設計がポイント
では、研修のテーマが決まれば、次に考えていただくのは、そのテーマについて、どう学ばせるか? のカリキュラム作成です。このカリキュラム設計をしていく上での、まずは基本手順をご案内させていただきます。研修の内容、目的、対象者、場所などを考慮し、効果的かつ効率的なカリキュラムを設定するにあたって、まずはステップ1、時間を決めるところです。

「じゃあ、このテーマにおいて、研修にはどのぐらいの時間が必要かな?」「これだったら1日でやれそうだな」「いや、1日も時間が取れないから数時間でやっていきましょう」「まぁ、1日で終わらせるんじゃなくて定期的に時間を空けながらやっていこうか」とか。まずは、やっていただく大枠の時間を決めるところです。
その大枠の時間が決まれば、次に主要なセッションをリストアップしてください。まず冒頭、研修の目的を説明して、実際に本論に入っていきます。ただ話を聞くだけではなくて、そのテーマについてお互いにグループワークをさせて、ここで休憩を挟んでいきましょう、なんていうところをリストアップしていきながら、それぞれのセッションごとの時間配分をしてください。
ここで出てくるのが、先ほど挙げさせていただいた「あまりガチガチに決めすぎないほうがいい」です。「何時何分までに、これをやっていないと次は間に合わないよ」というかたちでやっていくのではなくて、大枠の時間を取っていただきながら、前後で調整をしていただきつつ、少し余裕を持って作っていただくところもポイントです。

時間配分まで決まりましたら、次にもちろん休憩時間も設定してあげてください。人間の集中力(がもつの)は、だいたい90分と言われています。なので、90分に1回トイレ休憩、10分や15分の休憩を挟んでいただきながら、実際にカリキュラムの仮案を作っていきます。ここで先ほど入れたような全体のセッションの流れや、それぞれの時間配分。「じゃあ、休憩はここね」という仮案を作った上で、他の人にも意見をもらってみてください。
自分1人で検討すると、どうしてもギュッと視野が狭まってしまうケースがあります。それを関係者や同僚に見ていただきながらコメントをもらって、最終版を作っていくことがカリキュラム設定のポイントです。
なので、先ほど決めたテーマに基づいて、どういうふうにやっていこうかな? この手順でカリキュラムを設定していただくところがポイントですが、この研修の準備をするにあたってもポイントが5つあります。
受講生の不安を軽減するための工夫
カリキュラムを作っていただくにあたって、まずは冒頭にオリエンテーションを必ず入れてください。要は、入り口で「今回みなさんに集まっていただいたのは、こういう目的で、こういうスキルを身につけてもらいたくて、それは実務でこういうふうに使えるから、今日はこの研修を行うんです」というところを示しておく。そうしないと受講生の方々も「忙しいのに呼び出されて、何をやるかもわからないし」とモヤモヤした状態で学習を始めていただくことになります。

まず冒頭に必ず研修の目的、あとはスケジュールも事前に提示していただくと、受講生の方々も先が見えない中でやっていただくよりは安心感がありますので。受講者の方向性、目指すべき先を統一していただくところが、1つ目のポイントです。
そして2つ目のポイントは、「多様な活動のバランス」です。先ほどから繰り返しお伝えしていますが、話を聞いているだけの研修は、あまり効果はありません。だったらeラーニングでいいですからね。なので、せっかく集まって、ないしはオンラインで研修をやっていただくにあたっては、いろいろなセッションを組み込んであげてください。
もちろん講義を受けるのも大事ですが、ワークショップやディスカッション、実践をやってみる。いろいろなバリエーションを作っていただくことが、受講者の関心や集中力を保つことにもつながります。
重要セッションは午前中に配置して効果を最大化
そして3つ目のポイントは、先ほどから繰り返しお伝えしている「柔軟性の確保」です。私は、今日これを一番言っている気がしますが(笑)、不測の事態というのはどうしても起こりがちです。思ったとおりに進まない、受講生の方々の理解がなかなか進んでいない。あとはパソコンが急に落ちてしまうとか。いろいろな想定外の事態が起こりますので、時間配分や気持ちを、少し余裕を持って確保していただくことが、3つ目のポイントです。
そして、4つ目のポイントは、「重要なセッションは午前中」に入れてください。やはり午後になってお昼ご飯を食べたあとだと、どうしても血糖値がグンッと上がって眠くなってしまう、疲れてきてしまうことがあります。重要な内容や難しい内容、難しいグループワークは、ぜひ午前中にやってあげてください。
そして最後、5つ目は「最後は必ず、まとめとリフレクション」を入れてください。研修の最後に講師から「今日の研修では、冒頭にこういったところからスタートしましたよね。そしてみなさんには、こういったテーマについて議論していただいて、こういう意見が出ました。そのことによって実務や業務に、こういうことを活かしていきましょうというところを、みなさんで話しましたよね」というかたちで、その日に行った内容を総括的に整理していただく。
そして「じゃあ、みなさん、その研修を受けてどうでしたか?」「何か気づいたこと、学んだことがあれば最後に振り返りをしてください」。その振り返りも個人でやるのではなくて、ぜひグループで共有させるような時間も作ってください。研修会で重要なのは、人の気づきや学びから学ぶ点も非常に多くあります。
なので、最後。その研修を受けてお互いに気づいたこと、学んだことをすり合わせることが、受講生自身も学びをしっかりと定着させることにつながっていきます。研修の準備をしていただくにあたっては、ぜひ、ここに挙げさせていただいた5つのポイントを意識しながら(行ってみてください)。この準備が、やはり8割すべてです。
理想的なタイムスケジュールの例
この準備に全力を尽くしていただくことが、研修テーマ設定とカリキュラム作成の基本手順です。なので、私が今、ワッとお伝えした手順、ポイントを踏まえると、(スライドを示して)だいたいこんな感じでタイムスケジュールを作れるんじゃないかなと思っています。

最初にオリエンテーションとアイスブレイクからスタートして、ここで講義を入れて、90分経ったら1回休憩を挟む。
休憩を挟んだらセッション2の実践演習をやってみましょう。お昼ご飯を挟んだあとは、ちょっと眠くなっちゃうから、いきなりグループワークからスタートしていきましょう。そのあとグループでディスカッションをして、最後にまとめとフィードバックをやっていただく。
こういったものをザッと考えていただいて、タイムスケジュールに落とし込んでいただければ、これをベースに進めていただける。もちろん、そもそもタイムスケジュールを作らずに、いきなりドンッと臨むことが一番難しく、一番ダメなことです。タイムスケジュールをしっかりと作ることを意識していただければと思います。