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3行要約】 ・社内の人材が研修を担当する「社内トレーナー」のメリットについて、社員研修体制の内製化を支援する中島豪氏が解説します。
・社内トレーナーを務める際の不安は自然なものですが、プレゼンや質問、傾聴、フィードバックの4つのスキルを磨くことで克服できます。
・効果的な研修には徹底した準備と参加者との双方向性が重要であり、「一緒に学ぶパートナー」という心構えで臨むことが成功への鍵となります。
前回の記事はこちら 社内トレーナーを務める人の3つの不安
中島豪氏:ではここからは、お話を「初めてガイド」に入らせていただきます。社内トレーナーの方々が感じる不安と、必要なスキルというところで整理をさせていただきます。

やはり、社内トレーナーをいきなりご指名されるケースも多いと思います。「中島さん、最近がんばっているよね。売上も好調だし、ふだんやっていることを研修会で話してくれないかな?」とか。
あとは研修を企画する部署の方々で社内トレーナーの方を養成して「研修をやってくれ」となった時に、やはり、みなさん最初は不安なんですよ。冒頭に挙げさせていただいたとおり、その不安は未知から来るところです。なので、社内トレーナーが感じていらっしゃる不安は、だいたい3つぐらいあります。

まず1つは、やはり緊張からくる不安があると思います。ただ、これは緊張して当たり前なんです。繰り返し練習してリハーサルを重ねていただくことによって、不安を和らげていただくことが重要です。私もこういったお話をさせていただくと、「中島さんって、ふだん緊張とかするの?」「どのぐらい練習しているの?」なんて言われるんですが。
私自身ももちろん緊張はするんですよ。今日も本当にたくさんのお客さまに(ウェビナーに)入っていただいて、顔は見えないですけれども、私が話していることがみなさんに伝わっていると思うと、ちょっと緊張感があります。やはり緊張しなくなるのは難しいですが、その緊張を乗りこなしていただくためには経験するしかないんですね。
実は私、小・中・高・大学でずっと生徒会長をやっていたこともあって、人前で話す経験があるんです。これもやはり最初は緊張しましたが、経験を積み重ねていくことによって、ようやく緊張を乗りこなしていけるようになったところもあります。
成功する研修は現場のリサーチから生まれる
そして当然、緊張だけではなくて、内容構成についても不安だと思います。「本当にこの内容の研修で大丈夫かな?」「理解してもらえるかな?」「正しい知識を持って帰ってもらえるかな?」。そのためにはやはり、事前調査とスライドの準備がもっとも重要です。受講生の方のニーズをしっかりと調査していただきながら、そこに合ったやり方で研修提供、内容を考えていただく。
なので、実際に現場を回って、若手の声を聞く。そして自分なりに実態を調査しながら「こういう能力が求められているよね」「こういう話し方をしたほうがいいよね」「スライドは、こういうふうにわかりやすく作っていこうか」なんていう準備を徹底的にしていただくのがカギです。
そしてもう1つ。感じる不安としては、参加者のエンゲージメントを得られるかどうかという不安です。ちょっと難しい言葉を使っていますが、要は「おもしろい研修ができるか?」というところ。不安ですよね。ここでカギになってくるのがインタラクション、双方向性ということです。
研修会となると、どうしても大学の講義のように一方的にお話しをして進めてしまうケースが多いんですが。それだけだと当然、受講生は飽きてしまいます。もしかすると「ちょっと眠くなっちゃったな」「お昼ご飯を食べたあとだから、ちょっとボーッとしちゃうな」とか。オンライン研修だと、画面外でスマホゲームをいじりながらやっているとか。
一方的に話し続ければ、当然そういったものは起こってしまいます。なので、インタラクション、双方向。講師が一方的に話し続けるだけではなくて、アイスブレイクのようなものや、参加型のアクティビティも取り入れることによって、双方向的にしっかりと研修を企画していくこともポイントです。
なので、今回初めて社内研修を実施されている、企画されているトレーナーの方もご参加されていらっしゃるかと思いますが、こういった不安はたくさんあると思います。それはもちろんですが、その不安が来るからちゃんと準備をする、というところになります。初心を忘れずに、しっかりやっていただくこともポイントです。
社内トレーナーに求められる4つのスキル
では、そういった社内トレーナーの方々には、具体的にどんなスキルが求められるのか? 大きく4つのスキルに整理してご案内させていただきます。プレゼンテーションスキル、質問スキル、リスニングスキル、フィードバックスキルという、この4つが求められます。

1つ目のプレゼンテーションスキルに関しては、今私がご案内させていただいているとおり、情報伝達を効果的にするためのスキルです。これを磨くためには当然、参加者の方々に対して安心感を与える態度や姿勢。そして、心に届く明瞭な発声や、理解を促進するための話のロジックをちゃんと作っていただくことが重要です。
やはり講師の方が、しどろもどろで不安な感じになっていて、「ボソボソ言っていて何を言っているかわからないな」「話があっちやこっちに飛んでいってしまっているな」となると、話の内容が入ってこなくなるケースが非常に多くあります。なので、プレゼンテーションスキルを磨いていただくためには、当然、外見・立ち振る舞いもそうですし、声の出し方、話の構成は求められるスキルです。
そして、2つ目は質問スキルです。受講生の理解を深めるための質問スキルということで、適宜、適切な質問を投げかけながら参加を促して、理解度を確認しながら実践力を高めていく。
研修の局面に応じて、参加者が答えやすい質問を投げかける。講師は、ただレクチャーをするだけが仕事ではありません。時には受講生の方々に自分なりに考えて気づいていただくコーチングスキルも求められますが、そのために適切な質問ができるかどうかも講師の腕の見せどころです。
成長を促すフィードバックの重要性
そして、3つ目のスキルは、リスニングスキルです。心理的安全性を高めるための傾聴力というとで、トレーナーが自分の話に興味・関心を持って聞いてくれているとわかれば、当然、参加者の方々も安心して自分の意見を発信できるようになります。

この心理的安全性は最近キーワードになっていますが、例えば、ここで自分が発言することによって、何かしらの不利益が起こってしまうとか。自分が発言した内容について、罵倒されてしまう、批判されてしまう。そういった空気が流れていると、受講生の方々は安心して話ができなくなってしまいますよね。なので、そういった空気感を作っていただくために、社内トレーナーにはリスニングスキル、要は傾聴力も求められてきます。
そして、最後の4つ目は、フィードバックスキルです。個人的には、これが一番重要かなと思っています。フィードバックの技法ということで、成長を促すために参加者の言動についてトレーナーから見解を提供し、気づきを与える。フィードバックは、相手に一方的に「こうだよ」と投げつけるものではなくて、相手の鏡となって成長を促すため(なので)、「私にはこのように見えたよ」と率直に伝えてあげましょう。
ちょっと高圧的な態度で自分自身が気持ち良くなって、偉そうに言うことがフィードバックではありません。その人たちの成長を願って、時には厳しいこともしっかりと伝えてあげることによって気づきを与え、成長を促すためのフィードバックスキルも、私は重要なスキルの1つだなと考えております。
なので、社内トレーナーの方々が今後、研修するにあたって「どんなスキルを磨いていったらいいのかな?」という時には、先ほど挙げさせていただいたプレゼンテーションスキル、伝えるためのスキル。そして相手の理解を深めるために、質問を投げかけてあげるスキル。そしてリスニングスキル、心理的に安全な場を作ってあげるための傾聴力。そして、相手の成長を促すためのフィードバックスキル。ぜひ、この4つのスキルを磨いてみていただければなと思っております。