職場恋愛は是か非か
——職場恋愛って、ありですか?
木下:いや、これは難しいけど、俺は肯定的ではないね。
——そうなんですね。
木下:まず、当事者の部分でいった時に、やはりどうしても恋愛感情が入ってくると、仕事はちょっとしづらいよね、という感じだし。やはり異性で魅力的な人はぜんぜんいたりするんだけども、恋愛対象として見ちゃうと、どうしても仕事の部分でちょっとやりづらかったりします。
というところでいくと、世の中にたくさん異性はいるので、わざわざ職場で選ぶ必要はないかなということです。もちろん、「それを乗り越えて好きになっちゃいました」みたいなのはあるのかもしれへんけども、なるべくそうならんようにしようと意識してはいたかな。
あとは、マネジメントする側からすると、どちらかと言えば「ちょっと勘弁してほしいな」っていうのが正直なところですよね。

——そうなんですね。確かに、部下同士が恋人関係だったら、ちょっと上司としてはやりづらいですね。
木下:やりづらい。何だかんだ言って、そういうものが出てきますしね。仕事と恋愛は、なるべく関わらせないほうがええんちゃうんかなと思っています。
小さな組織ほど面倒に?
——そうなんですね。じゃあ先ほどの質問にも通じますけど、恋愛の観点でいくと、分けたほうが高いパフォーマンスを発揮できると。
木下:そうそう。
——ちなみに木下社長は、奥さまとはどちらで出会われたんですか?
木下:知り合いの知り合いという感じ。
——そうなんですね。じゃあ、職場ではなかったと。
木下:職場ではない。
——(笑)。確かに、付き合っている時はいいけど、別れたりすると気まずいですしね。
木下:たぶん大きな組織だったらそこまで影響はないと思うんですけども、そんなに大きくない組織の中では、けっこうやりづらいんじゃないかなと思いますね。

——なるほど。湧き上がる気持ちは抑えつつ、どうしようもない時はあるかもしれないですけど、そこはちょっと考えたいところですね。
木下:うちの社員も、みんな僕に対して恋愛感情を持っていると思いますけど、みんな抑えていると思いますよ。
——(笑)。
飲み会は「絶対に必要じゃないけど有用」なインプットの場
——会社の飲み会は必要だと思いますか?
木下:リモートワークに近い部分があって、インプットの場としてそれなりに有効に働くことはあるよね。

リモートワークって、必要な情報のやりとりに関しては問題ないかもしれないけども、必要最低限の情報しか入ってこないよね。(けれども)職場に行くと、周りの人が話していることや周りで起きていることで、絶対に必要じゃないけど有用なものってめっちゃ入ってくるよね。
飲み会の席も、また職場を離れたかたちで、絶対に必要じゃないけど有用なことが入ってくる可能性があるよね。という感じでいくと、あったほうがいいよねと思う感じかな。
——どうしても「人脈のため」とか「上の人と仲良くしないといけない」と思うと、「どうしてもそこまでは……」という方もいると思うんですけど、「インプットの場」って割り切っちゃうと。
木下:逆に僕は、「上の人と仲良くなるため」という観点を持っていなかったので。
——そうなんですね。
木下:それは古くさい会社のイメージなのかな。あんまり僕はちょっと、そういう環境にいたことがないので。
Xで嫌いな人をフォローする理由
——中には、会社の飲み会がけっこう愚痴の大会になっちゃう人も、いるかもしれないですね。人の愚痴とかはインプットしたくないですね。
木下:俺が想像している飲み会が、ただ単に楽しい飲み会だったというだけかな(笑)。
——(笑)。
木下:僕は先輩や上司と飲みに行くのはすごく大好きだったんだけど、普通におもしろいだけでした。愚痴を言う人もあんまりいなかったし、上司から仕事を超えて学べるものもあるし。
例えば、嫌いな上司うんぬんというのも、結局トータルで人を見るとやはり(いろいろな面が)見えてきて、「こういうところがあるんだ」と思うと好きにもなっていくじゃないですか。世間で言うような、上司の接待をしないといけないとか、愚痴ばかり聞くような飲み会は要らんのちゃうかなって思います。

——そうですね。それこそ先ほどの、嫌いな上司や同僚との付き合い方で、「嫌いじゃなくする」という考え方がありましたけど、飲み会は使えるかもしれませんね。「どういう生き方をしてきたんだろう?」とか。
木下:そうそう。僕はXで嫌いな人をフォローするんですよ。自分と根本的に合わないタイプの人っているじゃないですか。いろんな人に絡むような人もあえてフォローして、「この人の思考回路はどないなってるのかな?」とか。
世の中のポジティブなことに(対して)反射的に全部ネガティブなことを言う人がどういう考えを持っているのか。そうすると、単に反射的(にネガティブなことを言うだけの)人もいれば、ものすごいトラウマがベースにあって物事をゆがめて見ている人もいたりするんだけど、後者の人は「なるほどな」と思ったりする。
「世代が違うから合わない」は単なる理解努力の不足
——Xでも研究しているんですね。
木下:Xは一番わかりやすいんです。例えばあんまりポジティブではない政党を支持している人たちを絶賛する投稿を見たら、「この人はどういう思考回路でこうなっているのかな?」と(過去の投稿も)見ていきます。(そうすると)なんとなく「あー、なるほどなぁ。自分もそういうふうに生まれ育っていたら、そうなっていてもおかしくないよな」とは思うよね。

——そうやって見ると、嫌いという感情よりかは、理解して研究して……本当に考え方がマーケターですよね。
木下:マーケターですね。好き嫌いはあんまりないんちゃうかな。今パッと嫌いな人を思いつくかといったら、パッとは思いつかないかな。
——飲み会も毎回行くのはつらいかもしれないけど、たまにはちょっと嫌いな人と行ってみて、理解(しようと)するという使い方もできるということですね。
世代が変わっても影響を受けるのは「真ん中の6割」
——上の世代と話がかみ合わない。下の世代が理解できない。そんな時、どうしたらいいですか?
木下:これはぜひ知っておいてほしいんですけども、生まれ育った環境によって、やはり人って違いがありますよね。環境や考え方、価値基準が変わってくるんですけども、絶対的に言えることがあります。
「2:6:2の法則」というのがありますよ。(どんな集団でも)めっちゃ優秀な人が2割、普通の人が6割、優秀じゃない人が2割(いるというものです)。実は世代を超えても、この上の2割と下の2割って変わらないんですよ。
上の2割の優秀な人は、世代を超えてもぜんぜん話が合います。価値観もぜんぜん変わらないです。「努力したほうがいいよね」とか、努力して成果を出していこうとするのは、昔の人も今の人も若い人もずっと変わらない。

逆に言うと、下の人たちも「努力って嫌だよね」と何十年も前から言っています。ここが変わらなくて、真ん中の6割の人が時代によって傾向があるということなんですね。
——時代によって変わらない人もいれば、変わる人もいるんですね。
木下:上と下は変わらないので、上の層の人たちは、別に仕事ができる人たちと付き合っていく中においては世代間格差ってほぼない。普通に対等でばーっとやっていけるというか、ぜんぜん気にしなくてもいいんです。(なので、)真ん中の6割をどうしていくかという部分なんだけども、いかにその世代の人たちを理解するかがすごく大事です。
まず、「上の世代から下の世代に向けて」に関しては、下の世代が理解できないのは、単なる努力不足なんですね。「下の世代の人たちが育ってきた環境を、あなたは見ていますよね?」という話なんですよ。「何年ぐらいにゆとり教育が始まって」とか「親の世代がこういう世代で、こういうふうになって」とか。
となってくると、「こういう環境で育ったら、こういう価値観や判断(基準)になるよね」というのがわかるよね、という話なんですね。共感しなくてもいいし、「弱っちいな」と思ってもいいんだけども。絶対的に知っておいてほしいのは、5,000年前から上の世代は必ず下の世代を「弱っちいな」と思っています。
——そんなに昔から。
木下:(一説によると)5,000年前のエジプトの壁画か何かに、「最近の若いもんは……」と書かれていたという話もあるんですね。なので、「でもこの世代は違う」と、5,000年の流れに逆らってまで言えるかという話になってくるんですね。
世代間の溝を埋める意外なヒント
木下:(下の世代は)弱いのではなく、違う。違う理由は、こういう環境で育ってきたからこうなっている。20年前、30年前のことは上の世代の人ならわかりますよねという話です。

そして、下の世代から上の世代をどう理解するかというと、ここは理解をがんばるしかないんですけど、一番参考にするべきなのはキャバクラの人たちなんですよ。
キャバクラの人たちって、20代の女性とかが、おっさん相手に(しゃべって)気持ち良くさせてお金を稼いでいるでしょう。あれって、自分の価値観だけでしゃべっていたら、絶対にできないですよねという話で、おじさんたちが喜ぶことって何なのかを、全部理解しています。
別に喜ばせなくてもいいです。例えば僕はゆうちゃみさんがすごく大好きなんですけども、おじさんがゆうちゃみさんをテレビで見ていても、ぜんぜん(価値観に)違和感がないんですね。どうやっているかわからないけども、たぶんおじさんの価値観を全部理解していると思うんですよ。
一方で、若い人にも人気がありますよね。となってくると、「世代が違うから相手がわからない」じゃなくて、世代がどうであろうと相手を理解しようとしていく。これがすごく大事で、「世代が合わないんです」じゃなくて、「理解の努力が足りないんです」と思ってください。

——ちなみに木下社長は、キャバクラはお好きなんですか?
木下:僕はまったく行かない。
——まったく行かないんですね。
木下:正直、僕は全部想像で言っているので、本当におじさんに合う話かどうかは知らないんだけど……僕は(キャバクラの人と)まったく話が合わないので。