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成人発達理論を応用した人材育成のカギは「思考の抽象化と複雑性の向上」 ~本質的な成長を促す「深く考える力」を育む経験学習のヒント~(全3記事)

成長する人・しない人の“考え方のクセ”の違い 同じ経験をしても差が生まれる仮説思考の積み重ね

【3行要約】
・研修で学んだことを実践に活かせない悩みは多くのビジネスパーソンが抱える課題であり、「抽象と具体の往復」能力の差が成長の差につながっています。
・グローセンパートナーの島森俊央氏は、成人発達理論の視点から「1往復半の抽象と具体の行き来」が学びを実践に変える鍵だと指摘します。
・ビジネスパーソンは日々の経験を単なる出来事で終わらせず、原理や法則を見出し、自分なりの「持論」として蓄積していくことが重要です。

学びを実践につなげる「抽象と具体の往復」スキルとは

島森俊央氏:こんにちは。グローセンパートナーの島森です。本日は、成人発達理論の観点から「思考の抽象化と複雑性の向上」というところを少しお話ししていきたいと思っています。「なぜ、これが必要なのか?」と、それを経験学習を使って上げていくというお話をしていきます。

まず、「具体と抽象の行き来が思考の質の差ではないか?」という話から、少し成人発達理論に触れます。そして、やはり経験学習が人材育成にとってとても大切なので、そのあたりに触れます。最後は、「気づきがふくらむトレーニング」で第2期の公開型グルリ(グループリフレクション)のご案内をしていきたいと思います。

まず、「はじめに」ですけども、弊社の紹介です。人事制度のコンサルティングからスタートをしまして、その後、(スライドには)教育研修とありますけども、評価者研修を軸に、戦略・マネジメント・組織の活性化・社員の育成をテーマに進めてきました。近年は、能力と心の両方から成長を促す研修を提供しています。今日は「心の成長」をメインにお話をしていきます。

私は出光興産という会社で(社会人として)スタートしまして、コンサルティング会社に転職して、今はマネジメント研修をメインにやっています。ここ7、8年ぐらいで成人発達理論を学んで、それを伝えております。今も、成人発達理論の第一人者である加藤洋平さんの下で、ゼミというかたちで週1回の勉強会に参加をしております。今日はみなさんにその知見を届けていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

研修で得た知識を自分で再構築できるか

まず、「具体と抽象の行き来が“思考の質”の差!?」というところからご説明をしていきます。

最近感じていることがあります。研修で同じ内容を聞いても、「とはいえ研修は抽象的・概念的なことを話している」と思っていて、抽象レベルの言葉をそのまま受け取って終わりの人と、抽象を実務に照らし合わせて自分の持論として再構築できる人がいます。

「深層理解」と表現をしていますけども、「(これができるかできないかは)概念(抽象)と具体を往復する力の差によって起きているんじゃないかな?」と思っています。特に、研修の学びを実行に移すためには1往復半の抽象と具体の行き来が必要なんじゃないかと思っています。

例えば、研修で「対話は人を成長させる」とお伝えするとします。その時に、「あれ? うちの職場は深い話ができず、部下の自己認識が弱いな」。そこから、「対話は一人ひとりの個性が見える場なのか。じゃあ、お互いの強み・弱みを次回の会議で発表してみよう」(となります)。

そのように、受け取った概念と実行する具体はかなり離れる場合があると思っていて、それを、「気づきの深さ」というかたちでいつも私は見ておりました。つまり、人材育成においては抽象と具体を往復する力を鍛えることが最優先課題になるんじゃないかなと思っています。

「ミカンとリンゴ」から「果物」へ抽象度を上げると

少し具体的に抽象と具体の例をお伝えしていきます。まず具体は、五感で捉えられる出来事や事実です。今日は「目で見えるのか?」という基準でお伝えをしていきます。抽象とは、「それら複数の具体をまとめ、共通点や原理・概念として捉えるもの」になります。

これは具体的な話をしたほうがわかりやすいです。具体とはミカンやリンゴで、この抽象度を上げると果物になる。果物は2,000種類ぐらいあると言われていますけれども、果物は目に見えなくて、それをまとめた概念だというところはご理解いただけるかなと思っています。今度はお肉が入ると、抽象度が上がって食べ物になりますし、もう1個抽象度を上げていくと自然の恵みになります。

抽象度を上げていくと厄介なことが1個あります。「冷蔵庫から果物を取ってきて」と言うと、(果物を)取ってくることができる可能性はあります。けれども、「冷蔵庫の中から自然の恵みを取ってきて」と言われたら、何を取ったらいいのかわからない。というかたちで、抽象度が上がるといっぱいの物が指せるんですが、指示が曖昧になるというデメリットがあります。

そういった意味で、研修は抽象度が高いものをお伝えしていくので、これをやはり具体に落とし込む力が必要になります。同様に、会社の方針って抽象度が高いので、これを具体に落とし込んでいかないと、実行が起きないと思っています。ビジネスの世界でも抽象と具体を行き来する力はやはり大切だと考えています。そして、具体と抽象を行き来する力こそ成長なんじゃないかなと思っています。

クレームを事実で終わらせるか「持論」に昇華させるか

お客さまからクレームが入った事例でお伝えをしていきたいと思います。見える事象としては、上司から「すぐにクレーム対応して!」と言われた。それでお客さまのところに行ったら「今度からは気をつけて」と許してくれた。

というところなんですけれども、具体しか見えていない人にとっては「お客さまに謝ったら、許してくれた」という事実関係で終わるんです。けれども、抽象化ができる人は「まずは第一報が大切なのかな?」と考えて、「じゃあ、すぐにお客さまに謝ろう! 『後で対応策を検討します』と伝えよう」というかたちで行くと、お客さまも心を開いてくれた。

ここに「かも」という仮説と「こうしたらうまくいくんだ」という持論が構築されていく。というところで、仮説や持論をまずは大切にしていきたいと思っています。

この持論なんですけれども、持論を蓄積する人としない人では成長ってかなり変わってくると思っています。表面的な経験だけを重ねて、持論化せずに体験を重ねている人と、経験に意味づけをしている人がいらっしゃって、この差は大きいんじゃないかなと思っています。

持論化ができると、日々持論が溜まっていくことによって、仮説の精度が上がっていく。つまり、営業でいうと受注率が上がる。生産でいうと改善ができる。というかたちで、仕事のパフォーマンスが上がっていくので、やはり意味づけはとても大切だと思っています。つまり、経験を意味づけできるかどうかは、大きな差になります。

成人発達理論から見る「思考の質」とは

続きまして「思考の質の差とは何か?」ということで、成人発達理論の観点から解説をしていきたいと思っています。

成人発達理論は、私たちの知性や能力が一生をかけて成長を遂げていくという考え方の下、人の発達プロセスや発達メカニズムを解明する学問です。

成人発達理論にはさまざまな領域があるよということだけ、今日はお伝えしていきたいと思います。認知や感情、道徳、内省など、いろいろ(な切り口が)ありますよという中で、今日は特に認知の話をしていきたいと思っています。

その前にスザンヌ・クック=グロイターさんの『自我発達理論』(という論文)を少しだけ参照して、水平方向と垂直方向の概念だけお伝えをしていきたいと思います。「水平方向の拡張」と呼ばれるのは、同じ発達段階でどちらかというと円柱が広がっていくみたいな、新しいスキルや知識の習得のことを言っています。私たちはこれを「能力の成長」と呼んでいます。

思考における「水平方向」と「垂直方向」

もう1個あるのが「垂直方向の向上」です。これは行動の変容・意識の器の拡大・認識の枠組みの変化(のことです)。これを「心の成長」と呼んでいるんですけれども、イメージでいうと、1階、2階、3階と、1段ずつ5年から10年かけて階が上がっていき、上がれば上がるほど視点が広がっていき、視座が高まっていく。そんなイメージで捉えていただければなと思います。

1階のコミュニケーションと3階のコミュニケーションでは、おのずと見ている視点が違う、もしくは抽象的な概念が扱えるということでコミュニケーション力が上がっていく。そんなふうに捉えていただければと思っています。

この成人発達理論が扱うのは認知構造の領域です。(スライドの)この三角形は深さを扱っていると考えていただければなと思っています。(一番上は)表面的な能力で、真ん中は役割認識、一番下にあるのが認知構造です。

一番上は、知識・スキルなど、型の習得ができるもののイメージになります。領域を明確にして、実践と振り返りを繰り返すことで習得できます。

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