【3行要約】 ・マイクロアグレッション(無意識の差別的言動)で、日常の些細な言葉や態度が相手に深い傷を与え、職場環境や個人の健康に悪影響を及ぼします。
・「マイクロインサルト」「マイクロアサルト」「マイクロインバリデーション」の3つのパターンが存在し、現代社会で問題視されています。
・特にマジョリティの立場にある人は自分の言動の影響力を自覚し、互いを尊重できる職場環境づくりに取り組むことが求められています。
前回の記事はこちら マイクロアグレッションの3つのパターン
荒金雅子氏:このマイクロアグレッションは、実はいくつかのパターンに分かれています。言葉や会話の中で起こる侮辱的な言動。無意識に相手を軽視する言動。これを「マイクロインサルト」と言います。「インサルト」というのは、侮辱とか失礼な言動のことを言います。
そして2つ目は、言語的メッセージに加えて、態度・しぐさ・表情など、非言語メッセージの中にも生まれてくる意図的な攻撃ですね。これを「マイクロアサルト」と言います。露骨な差別であったり攻撃的な、暴力的な行為で、ヘイトスピーチに代表されるように、直接的な差別の1つと見なされています。
そして、組織文化を背景にその言動の中で発生する、経験や感情を否定する「マイクロインバリデーション」ですね。「インバリデーション」は、「無効化する」というような意味合いがあります。
この内容について少し詳しくご説明をしていきます。この分野は、人種の問題を出発点として、アメリカをはじめとした外国で研究されているもので、日本ではまだまだこれから事例や内容についてどんどん研究が進んでいくものと思われます。
今お伝えしている事例だけではなく、あるいは分類もだんだん細かくなるとは思いますけれども、今の時点で明らかになっているものということでご理解ください。
相手の能力・価値を軽視する発言の例
このマイクロインサルトの特徴です。相手の能力・価値を軽視する侮辱的なニュアンスを含む発言や態度と言われています。たいていは無意識で行われますが、相手に対して「あなたは劣っている」とか、「この場に不適切だ」といったメッセージを送る内容になります。
例えば、能力を疑問視するような発言ですね。「まだ若いからこのプロジェクトは無理じゃない?」「女性にはこの仕事は荷が重過ぎる」というような発言ですね。そして、貢献を過小評価するような、「運が良かっただけじゃない?」「君にしてはよくやった」「誰でもこれぐらいはできるよ」といった表現です。
そして、不適切なジョーク。「女性は話が長いから会議が長くなる」。いつだったか、元政治家の方がこういう発言をされていたような気もしますけれども、相手にジョークのつもりではあっても不快な気持ちを抱かせる言動かなと思います。
「外国人はすぐ文句を言うから困るよね」とか、「年齢の割には派手な服が好きだよね」と、相手を侮蔑するような、そういったニュアンスが少なからず含まれている内容です。
“避けられている”と感じた外国人社員の経験
そして、マイクロアサルトですね。これは、マイクロアグレッションの中でも最も露骨で攻撃的な言動と言われています。意図的でわかりやすい差別的な言動でもありますので、相手に対しては、たちどころにそれが大きなダメージとなっていくものです。
例えば、会議や情報共有から特定の人を意図的に外すとか、会議の席で両隣に誰も座らず、いつまでも空いているとか。実際に数年前、私がある企業さまで研修をさせてもらった時に、アフリカから来ている2人の女性の方が参加されていました。休み時間にお話を聞くと、まさにこの状態。
「会議室がガラガラで座るところがたくさんあるならまだしも、どんどん席が埋まっていくのに、自分の両隣だけがいつまでも埋まらなくて、なんとなく避けられているような疎外感がありました」ということを言っていました。
性別や人種、障がいなどに関わる冗談を言うとか、相手と目線を合わせない、無視するといった、特定の属性がそこにいないかのように振る舞う、避けるような態度を取る。社内チャットなどで特定の属性を揶揄するような、そういった表現を使う。
みなさんの職場では、こういった行為をする人は少ないかもしれませんが、自分の職場にいない、自分が見えていないからといって決していないわけではなく、時と場合によってはこういったことが起こり得ることをぜひ意識していただきたいなと思います。