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【超有料級】西野亮廣氏が絶賛した「戦わずして売る技術」を著者自らが解説(全3記事)

競合と戦わず売上を伸ばす「すみ分け」の極意 上場企業社長が語るマーケティング思考の本質 [2/2]

マーケティングとは「戦わない技術」

木下:まず、Webマーケティングの技術とは、「戦わない技術である」がベースになっています。本来マーケティングというものは、多くの人が「競合と戦う武器だ」と思っている人が多いと思うんですけども、実際にはそうではありません。そもそもマーケティングとは戦わない技術なんですね。

どういうことかというと、理想のマーケティングはすみ分けなんですよ。競合と戦って取り合うんじゃなくて、すみ分けましょうというところが、一番大事なマーケティングの役割です。

これに気づいたのが、僕自身がもともとリクルートという会社で働いていた時です。農協、JAさんの採用のお手伝いをさせていただいていました。JAはいろいろなことをやっていますけども、結局は何なのかと言ったら、金融機関なんですよね。

要は、農家さんが共同出資で参画して、農家さんにお金を貸して、そのお金で農家さんが農機具を買ったり、金融サービスを提供することで利益を上げることがメインになっています。JAは肥料を売ったりするイメージが強いかもしれませんが、実際にはそっちよりも金融のほうがメインになります。

JAが人を採用する時には、やはり金融機関なので、「金融機関なんですよ」ということをアピールしているんですよね。「実はJAって、最新の金融機関なんです」みたいな感じで言うんです。それをアピールするとどうなるかというと、金融機関志望の人が受けにくるんです。

金融機関志望の人は、まず都銀を受けるんですよ。都銀を受けて、落ちたら地銀に行くんですね。地銀に落ちたら、今度は信金とかに行きますね。そこに落ちたら信用組合とかです。全部落ちた人が、最後の滑り止めでJAに行く構造になってしまうんですね。

「金融機関なんですよ」とアピールすると、金融機関を志望している人で全部落ちた人がやってくる構造になっていました。要は金融の市場では、そういう競合と戦っていかないといけないわけですね。

ということは、競合の相手が都銀とかになります。自社の社員が全部落ちた人なので、人材自体で負けている状態になるので、なかなか難しいところはあったんですけども。

“おばあちゃんと仲良くなれる人”を採用した成功例

木下:当時、私が営業担当をしたんですけども、「御社で活躍している人ってどんな人なんですか?」と聞いたんですね。そうすると、バリバリの金融志望の人ではなくて、人懐っこい人だったんですよ。

こういう人たちがヘルメットを被って原付のカブで、農家を一軒一軒回り、農家のおばあちゃんとかと縁側で一緒にお茶を飲みながら、「今度、お孫さんが小学校に入られたそうですね。おめでとうございます」「ありがとう」みたいな感じで、世間話をするんですね。

世間話をして仲良くなっていって、金融の金利がどうこうっていう話をほとんどしないんですけども、「今度、新しいトラクターを買いたいのでお金を借りたいわ」という時に、「いつもお世話になっている、あの人にお願いしよう」みたいな感じで仕事をもらうという。

実はJAでトップの成績を出している人は、バリバリの金融志望の人じゃなくて、人懐っこくておばあちゃんと仲良くするのが好きな人だったんですね。ということで、「金融志望の人を採るんじゃなくて、おばあちゃんと一緒に縁側でお茶を飲むのが好きな人を採用していこう」みたいな話になって、求人広告の中身を全部変えたんですよ。

「うちは金融機関です」と出すんじゃなくて、「おばあちゃんと縁側で仲良くなる仕事です」というふうに出して、写真も原付に乗って田んぼのあぜ道を走っているような写真を載せたんです。そうすると、地域に根付いて仕事をしたい人とか、人が好きな人がたくさん応募してくるようになりました。その人たちの中から、一番優秀な人を採用するようになったんですけども。

すみ分けることで第1志望の人材が集まる

木下:これによって、採用で他社の金融機関とまったくバッティングしなくなったんです。金融機関志望の人を採っていた時は第5志望になっていたんですが、別のタイプの人を採ると、第1志望の人ばかりが来るようになって、その中から選んで採用するようになりました。

そして、実際にそういう人たちが現場で営業をしていく中においては、競合が大手の金融機関だったとしても、おばあちゃんとか家族にガッチリ食い込んでいるので、ぜんぜん勝てるようになってきたんです。

というふうに、競合と戦っていかに勝つかではなくて、すみ分けをすることによって、JAは人材面でも営業面でも勝てるようになりました。これが本当にマーケティングの基礎なんですね。

マーケティングの基礎というのは、自社と競合を比べながら、「どうすみ分けていくのが一番ベストなのか」「どうすれば争いがなく、自分たちにドンピシャのターゲットの方にアプローチできるのか」を考えていくことです。そして、マーケティング(手法)がWebになったことによって、このすみ分けの技術がものすごく進化しています。

例えば、マスマーケティング(手法)がテレビとかだったら、すべての人にバンッと同じ内容を送っていますけども、Webマーケティングはドンピシャのターゲットだけにアプローチできます。みなさんも日常でスマホを見ていると、1回どこかのページを見ると、それに関連するものばかり出てきますよね。あなたが興味のあるものばかり出てきます。

競争を避けるための戦略こそがWebマーケティング

木下:例えばあなたが見ているスマホと、家族や異性が見ているスマホに出ている広告は、たぶんぜんぜん違います。要はWebマーケティングというのは、ドンピシャのターゲットだけにアプローチしていくことができます。つまりマーケターの仕事とは、その商品の特性に鑑みて、「誰にこの広告を見せるか」「誰に見せないか」というすみ分けのルールを作ることなんですね。

そして、そのすみ分けのルールによって、「Aという商品は、Aという商品に合う人だけに広告を出す」「Bという商品は、Bという商品に合う人だけに広告を出す」ということをやっていきます。それによって、他社の商品と競合して争うことはなくて、本当に合う人だけに(マーケティングを)やっていくのがWebマーケターの仕事になってきます。

なので、「Webマーケティングで競争を仕掛ける」というのは、完全に時代遅れの戦略なんですね。Webマーケティングは競争を仕掛けない、競争を避けるための戦略になります。Webマーケティングの登場によって、競争がない平和な市場になっていくと思っています。

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