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【仕事選びで陥りがちな7つの幻想】「好きを仕事に」はなぜ危ういのか / 給料で幸福度は変わるのか / 性格診断で適職は見つかるのか / 適性にあった仕事も危ない!?(全2記事)

仕事選びで陥りがちな7つの幻想 「適性に合った仕事」も危ない理由 [1/2]

【3行要約】
・「好きなことを仕事に」「高収入を目指せ」という仕事選びの常識が、実は幸福な働き方につながらないケースが多いことが心理学の知見から明らかになっています。
・鈴木祐氏によれば、年収500万円までは幸福度が急上昇するものの1,000万円を超えると伸びが緩やかになり、MBTIなどの性格テストも適職選びには科学的根拠が不足しています。
・適性に合った仕事を求めるよりも、自分が属するコミュニティの中で何ができるかを考え、その環境に適応する柔軟性を持つことが幸せな仕事選びにつながるといえます。

前回の記事はこちら

「年収が高いほど幸福度が高い」は間違い

入江美寿々氏(以下、入江):これもけっこう衝撃なんですけど、「給料の多さで選ぶ」。やはり年収が高いほうが幸福度が高いんじゃないかなと思っていて。

鈴木祐氏(以下、鈴木):もちろんお金があって悪いことではないですけど(笑)。それで幸せになるかといったら、やはりたいていの研究を見ていると、そうでもないなというのは一致していますよね。

昔から行動経済学の研究でもよく言われることですが、だいたい(年収)900万円〜1,000万円ぐらいが幸福度のリミットで、それ以上は上昇の傾きが一気にフラットになるんですよ。

入江:変わらなくなるんですか?

鈴木:一応右肩上がりに上がってはいるんです。昔は完全にフラットになると言われていたんですけど、最近のデータを見ると微妙に上がっていくというのはわかってきた。でも幸福度を高めようと思ったら、たぶん年収5億円とかね。

入江:(笑)。そうか、そこまで上がらないと。

鈴木:それぐらいのレベルまでいかないと、実感できるほど幸福レベルを得られないというのがあるので。それだったら、とりあえず1,000万円ぐらいを目標にするのは悪くないとは思うんですけども。

とはいえ、1,000万円のレベルでも、だいぶカーブが緩やかなんですよね。500万円ぐらいまでは、わりと右肩上がりというかガーッと上がっていって、そこからだんだん緩やかになっていって、変わらなくなる感じなので。そう考えると、給料を求めて仕事を選ぶのは、意外とコスパが悪いなと思います。

入江:500万円から700万円くらいで満足しているのも、けっこう幸せな生き方?

鈴木:主張としてね。そういう生き方もありだよなと思います。「金だ、金だ」といつも言って、それでプレッシャーを感じて自分をハードワークに追い込んで、体を壊すとか心身を病むとか、そういうのに比べればね(笑)。

入江:確かに、確かに。

鈴木:基本的な生活を満たせるだけのお金を持って幸せに暮らすというのも、1つの選択ではありますよね。

入江:給料だけで仕事選びをするのは、ちょっと幻想に陥ってしまう罠みたいな。

鈴木:そうですね。もちろんお金があれば不幸には強くなるので、そのために稼ぐという考え方はありだと思いますけどね。ただ、それで「金さえあれば幸福だ。俺は勝ち組だ」と思ってやっちゃうと、だいたい詰みますよね。

「MBTI」で適職は見つかるのか?

入江:他にも、これはけっこう「マジか」みたいな気持ちになったんですけど、MBTIだったり、他にいろいろな性格テストがあるじゃないですか。これに基づいて選ぶこと。

鈴木:ありますよね。流行っていますもんね(笑)。

入江:なんか一時期流行って、また少し前にブームが来たじゃないですか。

鈴木:MBTIね。なんで定期的に来るんだろうな、これ? みんな好きだよなぁ。

入江:なんか不安になるんですかね? 自分の性格を「知りたい」みたいな。

鈴木:性格テストは、血液型とかもそうですけど、永遠に人気のテーマではあるんですけど。その度に私のようなうるさい人たちが、「ここには何の根拠もないんだよ」とずっと言い続けているから(笑)。

入江:書籍の中でも、「根拠がない」となっていましたよね。

鈴木:そう、「ただの思いつきなんだよ」というのをずっと言ってはいるんですけど。

入江:確かにその時によって、結果が変わってしまう人もいますもんね。

鈴木:そうですね。状況とかその時の気分とかでも変わってくるので、性格テストとしては、だいぶ設計が緩いんですよね。診断の中で同じ要素が被っているし、どこをどう分けているんだ? というのがよくわからないので。だからこそ、当たったような気になるんだと思うんですけど。何をやっても当たったような気分になるのはそれだと思うんです。これに関しては、なんで流行っているのか謎ですけどね。

つまらないことをコツコツ続けられる人は、どの業界でも成功する

鈴木:性格テストは、そもそもちゃんとしたものが少ないので、心理学の中だと、やはり「ビッグファイブ」が、人間の性格をつかむ上では一番正しいと言われているんですよ。5つの特性に分けて人間を判断する。収入とか、将来の幸福度とか、そういったものがある程度予想できる。だから、ビッグファイブというのは予測可能性が高いんです。

それは使えるんですけど。ただし、それがなぜ適職選びには使えないかというと、ビッグファイブの中に「誠実性」という項目があるんですね。それは何かと言ったら、性格特性として、つまらないことでもコツコツとやっていける性質のことなんです。それを持っている人は、だいたいどの業界でも成功するんですよ。

入江:確かに(笑)。

鈴木:だからあんまり関係ないんです。適職選びの参考にならない。それが高ければどこでも成功しちゃうから。もう1個は「神経症傾向」という特性があって、それは不安になりやすいとか、イライラしやすいとか、そういう傾向ですけど。当然それが高い人は不安になりやすいから、やはり年収的には不利になるんですね。

それで全部決まっちゃうから、業界選びの参考にはまったくならないし。「自分は精神性が高いから、どんな仕事に就けばいいか」という参考にはまったくならないので、難しいところですよね。

入江:ビッグファイブは何の項目があるんですか?

鈴木:「誠実性」、これはさっき言ったコツコツやること。あと「開放性」、好奇心。「神経症」、不安になる。「外向性」、要するに人と付き合うのが好きとかそういうことですね。あと、「協調性」。人付き合いでうまくやっていくのが好き。

この5つですかね。それぞれ高いか低いかで、わりと収入とかを予測できたりするんです。相関するので。それを知ったところで、自分がどういう働き方をしていけばいいかはまったくわからない。

入江:確かに。適職選びとなると、少し弱い感じですね。

鈴木:そうですね。だから自分の生き方を決める指針にはなるんですけど。

入江:「自分の性格を客観的に見たい」くらいだったら、いいのかもしれないですね。

鈴木:そうそう、人生の指針、生き方とか暮らし方みたいなものにはいいと思うんですけど、仕事選びにはなかなか向かないなというのが、今の正直なところですかね。

「適正に合った仕事を求める」こと自体が間違っている?

入江:最後に、7個の中で私が気になったのが、「適性に合った仕事を求める」。「え? これ、みんなやるじゃん」と思ったんですよね(笑)。

鈴木:ははは(笑)。

入江:だって、面接とかでも「強みは何ですか?」って絶対聞かれますし。新卒の時も自己PRを準備してみたいな。

鈴木:さんざん自己分析して、自分の強みを書き出してみたいなね。

入江:人間にはいろんな面がありますから、難しいなと思っていたんですけど。

鈴木:おっしゃるとおりだと思います。これがいけないというのは、今おっしゃったとおりなんですよ。自分の適性は場面で変わるじゃないですか。

入江:変わります(笑)。しかも、その時代時代というか、自分も変化していくじゃないですか。

鈴木:そうですね、求められるものも変わってくるし。単純に言えば、「自分は英語がペラペラで強みです」と言ったところで、周りがそれ以上にペラペラの人がいっぱいだったら活かせないという、それだけの話なんですけど。

入江:確かに、そうですね。

鈴木:人生ってそういうことじゃないですか。どのコミュニティに属するかによって、自分の強みは変わってくるから。それを考えたら、自分(の強み)が例えば「しゃべりがうまいです」だって、ぜんぜん通用しないかもしれないし。要するに、今から自分がどのコミュニティに行くのかを分析しないとわからないということですね。

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