ChatGPTなど生成AIの時代にこそ必要な目線
(スライドを示して)最近、こんなツールも出てきましたね。そう、みなさんもご存じのとおり(Chat)GPTです。2022年の11月から登場して、多くの仕事に変革を与えてきました。
知っている人がほとんどですよね。1回は入力したことがあるんじゃないかなと個人的には思います。それぐらい多くの方が今使用しているツールです。月間の利用者数が20億人を超えたというのも大きなニュースとなっています。
こんな場面に使うといいよ、というシチュエーション3選を出したいと思います。例えばブログ執筆。そう、執筆してくれるんですよ。大変ありがたい。そしてブレスト(ブレインストーミング)、案出しですね。「どういうふうに考えたらいいですか? 案を出して」と言うと、たくさん案を出してくれます。ほかにもアドバイザー。そう、アドバイスをくれるんですよ。めちゃくちゃありがたい。

そういったChatGPTを活用されている方も多いんじゃないかなと思うんですが、けっこう特徴があります。それが何かというと、主にテキストデータから学習しているということ。
あとは知識に意味や経験が若干伴っていません。実際に、体があるわけではないんですよね。「これをやると怖いですか? 怖くないですか?」と言っても、人間ではないので体感したことはありません。ただ、世の中のテキストデータを学習しているので、「こういう時はこういう経験になるかもね」みたいなことは想像はできます。ただGPTさんが体感しているわけではないということですね。
あとは一貫性がありません。これも比較的ですが、長文を理解するのがちょっと苦手な部分があったり、矛盾する答えをたまに生成してしまいます。
生成AIが間違える例から見える「限界」と付き合い方
(スライドを示して)私がある質問をしたんですよ。「1から100までの中で『3』が付く数の合計値を求めてください」という質問をしたところ、こんなふうに計算してくれたんです。すごいですね。しかもこれ、合っていますね。3、13、23、30、31……こういうふうに計算して、最後に798という答えを出したんですよ。はい、間違いです。正解は792です。

ショックを受けました。「792なのに、なんで798って出したの?」と、だいぶショックを受けました。もちろんこれはいろいろな理由があって、当時のChatGPTの性能かもしれませんが、確率的に答えを出すというところも、この生成AIの特徴なんですね。
おそらくこの問題の周りに、798というキーワードが一部あって、この答えを確率的に生成した可能性があるなと思います。つまり、間違える可能性があるということです。
実際、「この答えは合っていますか?」と質問したら、「誤りがありました。正しい合計値は792です」と返してきました(笑)。初めからこの答えを出してくれよっていう話で、この質問をしたら、一応検算してくれたんですけど、ただ毎回この質問をするわけじゃないじゃないですか。非常に不安なわけです。しかもこの質問をしたとしても、間違っていることが多々あります。
AI任せにせず「原典にあたる」ことで鍛えられたクリティカルシンキング
実際、私はこの本(※『
目で見て体感できる 確率ピクト図鑑』)を2025年9月に出しました。確率がたくさん載っている本ですね。隕石に当たる確率。飛行機が落ちる確率。同じクラスの中で同じ誕生日がいる人の確率など、いろいろな確率を集めた本を出しました。

ChatGPTを使ったらめっちゃ簡単に書けるじゃんというのが、この本を書くきっかけです(笑)。「めっちゃ簡単だな」と思ったんです。「やった、Deep Researchという機能が出たぞ。これで徹底的に調べよう」と思って、月額3万円課金して、それでたくさん案を出してもらいました。
ところが、ほとんど使えませんでした。嘘まみれです。実際に本当かどうか、原論文に当たって徹底的に調べました。だからこの本は、一応相当合っているんですよ。なんでかというと、めちゃくちゃチェックしたからです。過去一番大変な本でした。めちゃくちゃきつかった。ChatGPTが出してきた資料が嘘まみれだったからです。だから原論文を大量に当たって、大量に調べました。おかげさまで確率にめちゃくちゃ詳しくなりました。「AIを使ったら楽に書けるかな?」と思った私が間違いだったわけです。
生成AIが「できること」「できないこと」
つまり、ChatGPTは全部はやってくれないんですよ。例えば、このクリティカルシンキングの部分であれば、明確化や推論の土台の検討、推論のごく一部のみかなと思います。
できないことがいっぱいある。問題点がいくつかあります。今のところ行動は自らしてくれません。あとは、結果に責任を持ってくれません。「あなた、間違っていましたよ。どうしてくれるんですか?」と言っても責任を持ってくれるわけではありません。
あとは、絶対に合っているとは限りません。間違っていることも多々あります。倫理的判断も無理です。人としてどうあるべきかとか、こういうのは判断できません。当たり前っちゃ当たり前なんですが、そういった生成AIの特徴を見た上で利用していかなきゃいけません。

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