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出版記念ウェビナー「新 問いかけの作法〜冒険するチームをつくる質問の技術〜」(全6記事)

チームが一丸となれない時の「3つのズレ」 “組織の合意を作る技術”はAI時代こそ必要に [2/2]

AIが組織のメンバーになると起こること

これがなんでこれからの時代で大事になるかというと、やはり生成AI時代って、適応課題がむちゃくちゃ増幅すると思っているんですよ。今、ただでさえ組織の問題の大半が適応課題に悩まされている中で、AIがこれ以上職場に普及して……。

「これ以上」というと、もうしないでほしいというふうに見えたかもしれませんが、僕は生成AIがどんどん普及してほしいと思っているし、仕事をやる上でAIを使わない日はないくらい当たり前になっていますよね。というぐらい、どんどん発展して普及してほしいんですけども。

でも、これから普及すると、AI役員みたいなことをやっている会社さんも出ていますし、たぶんチームメンバーの中に、AIが普通に仲間として入り込んでくるわけですよね。

そうした時に、技術課題はAIがどんどん解いてくれるんですよ。だけど、適応課題は残るどころか増幅するんですよ。AIがむっちゃ増やしてくると思います。

なぜかと言うと、まず、一緒に仕事をする人がAIエージェントのような、人格を持ったAIだったり。かつ、働き方の変化によって、たぶん雇用形態は今後、どんどん柔軟になってくると思うんです。

「週5日間、フルタイムで1つの会社で働く意味って、なんでだったっけ? 昔、そんな時代もあったよね」みたいなことが起こるわけですよ。今だと「雇用される」ということが当たり前ですが、昔は違ったわけですからね。普通に「雇用される」が当たり前だよねというのが、たぶん、そうじゃなくなっていくわけですよ。

組織のカルチャー作りが難しくなる

「そういう人もいるし、そうじゃない人もいるし、AIもいるし」みたいになる。なおかつ、社内外のネットワークの垣根がめちゃくちゃ曖昧になっていった時に、MIMIGURIみたいに、「全社総会をバンバンやって、みんなで同じ釜の飯を食って、共通言語を作って」みたいなカルチャー作り・組織作りって、会社によってはすごくしづらくなると思うんですよね。

住んでいる場所が違ったりとか。「え? 週2日勤務なんですけど。全社会は出れないですね」「正社員じゃないので出ません」とかね。やはりカルチャーとか共通言語を作りづらくなって、信頼関係を構築するコストが、これまで以上にむちゃくちゃ膨らむわけですよ。

さらに、いろいろな業務を部分的にAIがやってくれるようになるわけですよね。議事録を取ってくれるとか、データを整理してくれるとか。面倒くさいことをやってくれるだけならいいんですけど、これからどんどんおもしろい仕事も奪っていくと思うんですよ。企画の仕事とか、アイデアを出すとか、物事を決めるとか、コミュニケーションとか。やりがいがある仕事もAIがやってくれるようになる。

“楽しい仕事”をAIに代替されるようになる

先ほども言ったとおり、AIってむちゃくちゃ暴力的なお節介じゃないですか。頼んでいないのに「画像にしましょうか?」「このプランを3案ご提案しましょう」とか。「いや、いいから。やめてくれ」みたいな(笑)。それぐらいやってくれるわけですよ。こっちの気持ちは関係ないじゃないですか。

そうすると、たぶん今後は極端な話、「新作のドラクエを代わりにプレイしておきましょうか? 時間がないですよね」みたいなことを言ってくるわけですよ。「いや、ドラクエは俺にやらせて。これは楽しみにしていて。忙しくてやれていないんじゃなくて、来月に時間ができたらやろうと思っていただけだから」。

「代わりにやっておきましょうか? 2時間で終わりますよ」「俺、50時間かけたいから」みたいな(笑)。こういうことが起こるわけですよ。これはプライベートなら、「いや、やめてくれ」で終わるんですけど、社内でそういうことが起きるわけです。

だって、僕からするとこの仕事はドラクエと同じぐらい楽しみにしていて、自分がやらせてほしいんだけれども、上司からしたら成果を出すために、「こいつにドラクエを頼んだら50時間かかるのか。AIに頼んだら2時間で終わるのか。AI、よろしく」ってなるわけじゃないですか。楽しい仕事なんて知らないわけですから。

となっていると、「あれ? 今週のミーティングまでの間に、俺の知らないところでドラクエが終わっているだと?」みたいに報告だけされて、要は「置いてかれている」感がめちゃくちゃ増えると思うんですよ。こうやって部分的にね。

なので、物事がスムーズに決まっていっているように見えるんだけれども、微妙に納得度が低いとか、誰かがモヤモヤしているとか、「本当は俺がやりたかったけど言えてない」とか。そういう目に見えないところでの感情的なモヤモヤが爆上がりしてくると思うんです。そして、AIはこれをまったく察知しない。スルーしていくわけなんですよ。

納得感や共感を作る過程が重要になってくる

みんなで気持ち良く仕事をするには、誰かがこれに気づいてあげなきゃいけないわけです。結局、出来上がったプランを最後に実行するのは人間なので、人間に衝動が残っていないといけない。冒頭の合意形成の問題ですよ。あっさり合意形成されても、人は納得できないわけですよ。

「ああでもない、こうでもない」と、コネコネして合意形成されたアイデアって魂がこもるんだけれども、ミーティングが始まる前に、「なんか良さそうな結論がもう出ている」みたいな時に、むっちゃモヤモヤすると思うんですよね。

だけどやり切るのは人間で、大事なのは衝動、内発的動機です。先ほどのような混成した(メンバーの)プロジェクトで、信頼関係構築のコストが高まり、いろいろなプロセスの中で人間が置いていかれつつも「俺たちが実行しないといけない」みたいな中では、納得度・共感度・モヤモヤのケアがめちゃくちゃ大事になってくるんですよね。

そうやって考えると、やはり人の目に見えていない部分。それこそ先ほどお見せした、氷山の見えていない部分にあるこだわりをちゃんと深掘りするとか、固着化したものを揺さぶること。

問いかけの技術で組織の一体感を作る

(資生堂の事例の)なんとなく8つあったものの中で、「でも、これは要らなくない?」「いや、それは要るでしょ」みたいな、一見すると非合理な時間が、納得度や共感度を作ってくる。それを回復させるのは、僕は問いかけ、ファシリテーションだと思っているんですよね。

なので、これからの時代に備えて、チームで何かをやっていく、自分たちの興味関心を活かしていく、興味を深めていく。興味を深めるって、すごく大事だと思うんですよね。

やはりAI時代には、処理能力じゃもう勝てないです。人間がどうやって個性を発揮するかといったら、「何に興味があるのか」しかないじゃないですか。この人はこれに興味はないんだけど、これにめちゃくちゃ興味があるんだと。AさんとBさんの興味は違うんだと。これが多様性なわけですよね。

こういうものを眠らせないで、回復させて、チームの中でコラボレーションの土台にしていく。これが僕は、生成AI時代にめちゃくちゃ必要なコミュニケーション技術になると思っています。

なので、AIの壁打ちのプロンプトとして、問いかけを使ってほしいんですけれども、この時代だからこそ、人間の内面にちゃんと迫る問いかけを、みんなで磨こうよと。そういうことがあって、今のタイミングで『問いかけの作法』をもう1回広げたい、もう1回読み直していただきたい、もう1回手に取ってほしいということで、この本をリニューアルしました。

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