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出版記念ウェビナー「新 問いかけの作法〜冒険するチームをつくる質問の技術〜」(全6記事)

AIの答えに満足できない時のアフターフォロー “質問術のプロ”が語る、AIを優秀な壁打ち相手にする方法 [2/2]

ファシリテーションの再定義

MIMIGURIという会社は、もともとはファシリテーションとかを大事にしながらワークショップを使って、先ほどお見せした資生堂さんの事例みたいなプロジェクトをやってきたわけなんですけれども。

評価制度とか理念浸透もまさにそうですけれども、組織作りの仕事をするようになって、いろいろな組織を多面的にご支援をさせていただいていますが、一周回って「ファシリテーション、マジで大事だよね」と、あらためて思っているわけなんですよ。

ちょうど先日の全社総会でも、ファシリテーションをもう1回、2025年版で再定義しました。『問いのデザイン』の本から定義をしていたんですけれども、我々はファシリテーションにもう1回注力し直そうということで、社内のファシリテーションのナレッジをまとめ直したりとか。

ワークショップをやる人だけじゃなくて、人事もエンジニアもデザイナーも、「全員が自分もファシリテーターだというつもりでやるならどうなるだろうね」みたいな議論を社内で始めているぐらい、「ファシリテーションってマジで大事だよな」と思っているんですよね。

そんな中で、どんなふうに定義したかというと……。ちょっとこれ、ぱっと見てわからないかもしれないですけど、残りの時間で定義の解説をしたいなと思います。

我々は今回、ファシリテーションを「適応課題に起因するズレを解消することで、共同的な探究を支援する方法論の総称」と定義したんですよ。ちょっぴりややこしいんですけれど、これがどういう意味を持っているのかを解説してみたいと思います。

まず大前提なんですけれども、我々は「軍事的な世界から冒険的な世界へ」というお話しをして、このパラダイムシフトをどうやって社会・組織全体でやっていくのかを話しているわけです。

好奇心という資源を活用する

あらためて「『冒険的世界観』って何なのか?」を考えると、我々MIMIGURIは「創造性の土壌を耕す」という言葉も使っています。

結局、軍事的世界観というのは、人間を兵隊、ネジや歯車のように扱うような世界観だとした時に、「そうではない世界を作るってどういうことなんだろう?」と。

我々は今、こうやって言語化しているんですね。誰もが子どもの頃から持っている資源である「好奇心」。「これ、気になるなぁ。どうなっているんだろうな?」という好奇心を活かして、物事を長く楽しめる社会を作っていく。そういう世界観のことを、冒険的な世界観だよなと、最近は考えているんです。

そう考えた時に、この「物事」というのは、自分の人生、キャリアもそうですし、自分自身の仕事、生活、衣食住、趣味、そして会社を経営すること、事業を作っていくこと、いろいろなものですね。こういうものって本来は楽しいはずなんですよね。

時間というプレッシャー

家作り、事業作り、キャリア作り。自分の仕事って、本来はもっと楽しめる部分がたくさんあるはずなんだけれども、世の中の物事の評価スパンがものすごく慌ただしい。3ヶ月に1回、成果を出さないと株主に怒られるみたいなプレッシャーの中で、それに怯えた上司は、自分を1ヶ月ごとに評価してくる。

そうやって週次で管理されて、人生100年と言われるぐらい寿命は伸びているはずなのに、どんどん慌ただしくなっていく。タイパがどうで、コンテンツをなるべく倍速で見て、土曜日の午前中にこれをやって。プライベートも全部埋め尽くして、なんだかずっと焦っていて慌ただしいみたいな。

そういった中で、ちょっと評価スパンを緩めて、自分の興味や好奇心に基づいて、自分の仕事とか人生とか、会社を経営することとか、マネジメントすることとか、チームを作ることとか。そういうことを楽しんでいける社会になっていくことが冒険的世界観の本質だよなと。

むやみやたらにチャレンジしてリスクを冒すことが冒険じゃなくて、未踏の地に踏み込んでいく。まさに今「人生の舵取り」という言葉をチャット欄でいただきましたけど、自分の手綱を自分で握る。自分で自分を操縦するというか。そうしていくことが冒険的世界観。

これを見失わせるのが、軍事的な人を道具化するマネジメントだよなって思っているんですよ。だけれども、「一人ひとりの好奇心を活かす」というところから、「みんなで物事を楽しめるようにしていく」って、けっこう距離があると思っていて。

これを社会レベルで実装していくのはもちろん大変なんだけど、やはり自分の半径5メートルの、職場やチームの中でやっていくことすら、なかなか大変なわけですよね。


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