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出版記念ウェビナー「新 問いかけの作法〜冒険するチームをつくる質問の技術〜」(全6記事)

良いアイデアのためにはあえて合意形成を遅らせる 『新 問いかけの作法』に学ぶ会議を盛り上げる質問術 [2/2]

再現性重視ではない働き方に合わせてアップデート

単純にトップダウンが悪いとか、ボトムアップがいいとかではなくてですね。人がネジや歯車のように、きれいに再現性を高めて仕様書どおりに作るとか、営業Aさん、Bさん、Cさんで同じ成果が求められる軍隊型のチームから、冒険型のチームへと切り替えていく。そんなところが文脈の変わったところです。

「ワークショップ型の話が好きだったのに」というコメントも来ていますけれども(笑)。ただ、基本的なエッセンスや本質、言っていることは変わりません。

『冒険する組織のつくりかた』と対比して読んでいただいた時に、非常に整合性が高い本として。そして、姉妹本としても機能を持つように、問いシリーズと冒険シリーズのハブになるような書籍として『問いかけの作法』をアップデートしました。『問いのデザイン』も、いまだに同じようなペースで売れ続けていて、いろいろな方に読んでいただいています。

『問いのデザイン』は、なかなか色あせない内容なんですけれども。いい質問によって冒険型のチームを作る本という、僕の代表作のハブになる実践書、技術書として改訂させていただいたかたちになります。

ファシリテーションの実践書として

この『冒険する組織のつくりかた』は「組織とは何なのか?」みたいな話をしているんですけれども、目標、チーム、会議、成長・人材系、そして組織変革の5つの要素を8章構成で展開しています。

このうち、チームと会議を変革するための、ファシリテーションの実践書が『新 問いかけの作法』だと思っていただくと、位置づけがわかりやすくなるんじゃないかなと思っております。そんなかたちで、『問いかけの作法』が、冒険シリーズの姉妹的技術書、実践書として生まれ変わった。それが改訂した理由ですよというお話でした。

あらためて、この『問いかけの作法』がどんな本なのか。「2021年に読んだんだけど、覚えてない!」という方もいらっしゃるかもしれませんので、ちょっと補足していきたいなと思います。

今、チャットでも「『冒険する組織のつくりかた』で、ここ(チームのレンズと会議のレンズ)を掘り下げたいなと思っていたところです」というコメントをいただいておりますけれども。そうなんですよね。

ここはいろいろと掘りがいがあるところです。そういう意味では冒険本を読んだあとに、実践技術書として『新 問いかけの作法』を読んでいただくと、だいぶ解像度が上がるんじゃないかなと思います。

『キングダム』から『ワンピース』へ?

(チャットを読んで)「『キングダム』から『ワンピース』へ』というのが、キャッチーでした。使わないのは、権利関係なのかしら?」。あぁ、あまりハッキリとは言っていないんですけども。『冒険する組織のつくりかた』の中では、『キングダム』の話と『ワンピース』の話が出てきます。

特に、ミーティング(の部分)では『キングダム』の王翦将軍が軍略会議をしているページを引用させていただいて「軍事的会議って、こうだったよね」っていう(笑)。そういうことはさせてもらっています。

ただ、「『キングダム』から『ワンピース』へ」って言うと、『キングダム』がダメみたいな感じになるのですが、そうは思っていません。僕、『キングダム』はめちゃくちゃ好きで、毎週読んでいます。なので、冒険本の中には出てきますが『新 問いかけの作法』の中では引用していないですね。

質問によって会議の空気やチームの関係性を変えられる

それで「どんな本なのか?」ということですけれども。これまで繰り返し話していますが、一言で言うと、質問によって会議の空気を変える。そして、チームの関係性を変えるということを体系的に示した技術書になっています。

シンプルにドン! ってタイトルがある新書って、よくありませんですか?(当初は)『新 問いかけの作法』っていうタイトルも「どうなんだろう?」って、ちょっと思うところがあったんですけど(笑)。表紙を見ると「あ、いいなぁ」と、気に入っています。

本を書くと帯をどうするか、出版社の方と議論して決めるんですが、僕は「帯は黄色がいいと思います!」と言ったんですけど、赤になって(笑)。必ずしも著者が好き勝手にできるわけではなくて、マーケティングの都合とか、出版社の都合とか、本屋さんに並んだ時の色合いとか、いろいろとあるんですね。

ここの帯コピーがいつもドキドキするんです。「噓偽りがないかしら? 大丈夫かしら?」って思うんですが、今回は「質問ひとつで劇劇に変わる」というコピーを付けていただきました。

一般的な本ではこうした表現が誇大広告になりがちで、「本当なんだろうか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。僕、実はこのコピーをめちゃくちゃ気に入っています。この「質問ひとつで劇的に変わる」っていうことは、僕が大学院でずっと研究してきたことなんです。

研究の原点になった論文

これは、自分が研究者としての「研究っておもしろいな」と思った最初のインサイトなんですよ。僕が大学院で最初に書いた論文は、2009年頃から始めた研究の『創発的コラボレーションを促すワークショップデザイン』という論文で、これが僕の査読付き論文としてのデビューなんですね。

修士論文の内容なんですけど、2009年から2010年にかけてやっていた研究なので、今から15年前に書いたものです。これは問いかけの効果測定の論文だったんですよ。当時はブロックを使ったワークショップをやるのにはまっていたのと、僕はカフェがすごく好きだったので、「ブロックで未来のカフェを作る」というものをやりました。

パリのカフェ文化とかを調べるとすごくおもしろくて、そこでいろいろな天才が育ったり、発明が生まれたり、当時の創造やイノベーションの装置だったんですよ。そういう歴史を読み解きながら「3人組で、未来のカフェをブロックで作る」っていうワークショップをやっていました。

ワークショップで奇抜なカフェのアイデアが生まれた

そうすると、いろいろな作品が生まれるんですよね。(スライドを示して)下が全部足湯になっていて、すべてが手の届くところにある足湯カフェとか。

これは1人専用、真っ暗闇の音もないところで壁に向き合ってコーヒーを飲むところ。すごく怖くて「こぼさないのかな?」みたいなカフェなんですけど(笑)。

これはTAIJI喫茶。押し入れ好きな人にはたまらないんですけど。お母さんのお腹の中にいた時の感覚が呼び覚まして、自分自身と対峙するというのをかけて、TAIJI喫茶。すごいな、みたいな(笑)。

こういう作品が出てくるワークショップをやっていたんですね。見ての通り、全グループにビデオカメラを設置して、本データじゃない、プレデータも含めて(記録しました)。

全国行脚して京都や福岡、名古屋など20回ぐらいワークショップをやったんですが、回ごとにメインの問いかけを変えて、A/Bテストを行っていたんです。「居心地がいいカフェとは?」っていう問いかけで作品を作ってもらうパターンと、「危険なんだけど、居心地がいいカフェってどんなものだと思いますか?」というパターンとか。

カフェといったら居心地がいいものだと思うんですけど、反するようなエッセンスを含めて、問いかけだけを変える。(そのほかの)アイスブレイクとか、素材とかは全部一緒なんですよ。

当時のTwitterで告知していたんですが、告知段階では問いかけの内容を伝えずに、来た時にランダムで変えた結果、どうなったかというデータを何十グループも取りました。文字起こしだけで何百時間もかかりましたね。

早い合意形成ほど非想像的なものはない

そうやった結果、「居心地がいいカフェとは?」と問うたよりも「危険だけど、居心地がいいカフェとは?」と問うたほうが、グループの中のアイデアの触発がまったく違うものになりました。

誰かが何かを言って、それに誰かが乗っかっていってという、アイデアの連鎖による双発が、統計的にも優位に差が出たんです。僕は最初に仮説を持っていたんですけど「こんなに違うんだ」みたいな。

映像で見ていても衝撃で。やはり「居心地がいいカフェとは?」という問いでは、すぐに合意形成しちゃうんですよ。世の中的には合意形成って、いいものだとされています。僕はこの修論を読んだ時、早い合意形成ほど非想像的なものはないと痛感しました。想像性は、合意形成を遅延させるんだなと思ったんですよ。

「居心地がいいカフェとは?」という問いだと、「ここにソファを置きたいよね」「ちょっと暗くしたい」「こうしたいよね」「うん」「じゃあ、このカフェを作ろうか」って、黙々と作業をするようになるんです。合意形成が超早いんですよ。だけど「危険だけど、居心地がいいカフェとは?」と問うた時、ぜんぜん合意形成ができないんです。

「じゃあ、こうしない?」「それって危険過ぎるでしょ?」「だったらさ、こうすれば良くない?」「それじゃ、ちょっと物足りないなぁ」「危険が足りない気がする」みたいな感じで、みんなの価値観がすごく出るんですよね。

質問ひとつで劇的に変わる

「うーん……。TAIJI喫茶だね」「ちょっと壁を分厚くさせてもらってもいい?」みたいなことを言いながら(笑)。なかなか合意形成しないんだけど、最後にはするんです。まったく合意形成しなくても困っちゃうんだけど、早く合意形成しても困ってしまう。持てるリソース・時間の中で、いかに合意形成を遅延させるのか。

そして、みんなが納得するものを作るのか。これがファシリテーションの醍醐味だなっていうことを、この15年前に書いた論文で痛感したんです。

当然、こういう場に主体的に来る参加者の方々って、みんな本当にやりたくて来ている。大学生限定だったんですけど、いわゆる優秀な大学生なんですね。優秀で主体的な大学生が集まっているので、問いかけ1つで一瞬で合意形成して作業になることもあれば、すごくクリエイティブな作品が生まれたりするんです。

僕はこのことをすごく痛感したので、ディスカヴァー・トゥエンティワンさんが付けてくれた「質問ひとつで劇的に変わる」って、ガチなんですよ(笑)。これが実は僕の大学院の研究の出発点になっているので(笑)。

これが僕の、組織づくりとかをやるよりも前の、ファシリテーターとしての最初の直感なんですよね。なので、ある種の原点回帰的な本でもあるわけです。


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