【3行要約】
・「手触り感のある仕事」は成長意欲を高めますが、現代では自分の仕事の価値が見えにくい「自己疎外」が問題になっています。
・大企業の間接部門など、アウトプットに対するフィードバックが得られない環境では、モチベーションが低下する傾向が。
・この状況を改善するには、積極的にフィードバックを求め、「1つ上」と「1つ隣」の視点で仕事を捉え直すことが重要です。
仕事で大事な“手触り感”
豊間根青地氏(以下、豊間根):仕事をもっと。
岩本紘佳氏(以下、岩本):おもしろく。
豊間根・岩本:しごおもTVです。お願いしまーす。
豊間根:手触り感、ね。
岩本:手触り感。
豊間根:仕事は手触り感が大事じゃないですか。今日はその話をします。
岩本:はい。
豊間根:手触り感のある仕事をしてますか、紘佳は。
岩本:営業なのでけっこう手触り感はある気がする。
豊間根:確かに。営業はあるね。営業みたいにね、お客さんが目の前にいる仕事って、やっぱり自分の仕事で誰がどう喜んでるかとか、自分のやったことが数字に即跳ね返るじゃないですか。だから手触り感が得やすいんですよね。
岩本:そうですね。
自分の仕事で誰が喜んでいるのかを知る
豊間根:手触り感のある仕事っていうのは、要は、自分の仕事で誰が喜んでいるか、実感できる仕事。営業とかカスタマーサクセスとかね。あとはコンサルタントみたいな仕事っていうのは、目の前の誰かに自分のアウトプットをするとフィードバックがあるわけですよ。
岩本:うん。
豊間根:だからうまくいくと「いいね」ってなるし、うまくいかないと「ちょっとダメ」。ブーってなるわけですよ。
岩本:ふふふ(笑)。
豊間根:私の仕事がなんか人の役に立っているなと。だからがんばろうってなるわけで。だから「もっと役に立ちたい」「がんばろう」って思いやすい。成長意欲が湧きやすい仕事というのが、手触り感のある仕事なんですよね。
岩本:はい。
豊間根:一方で、「手触り感のない仕事」ってあるんですよ。自分の仕事がどこの誰のためなのか、なんなのかがぜんぜんわからない。大きい会社の間接部門とかでけっこう発生しがちで。
岩本:はいはい。
豊間根:メーカーの生産管理とか、仕入れの管理みたいな。間接部門でオペレーションをやることが仕事だから。1回やるんだけど、自分の仕事によって誰がどうなっていくかわからないみたいな、なんのためのやってるのかがわからない仕事って、つらいんですよね。「この仕事、マジで何のためにやってんねん」と。
モチベーションが下がってしまう要因
豊間根:どうでもいいからもうこなすか、というふうになると、徐々に感性が死んでいくんですよね。紘佳さんはそういう経験ありますか。
岩本:私は幸いたぶんあんまりないんですけど、最近リモートワークとかも盛んになってきて、さらに「手触り感がなくなりそうだな」っていうのは思いました。
豊間根:確かに。間違いないですね。ちなみに私がこの内容を整理しようと思ったのが、岡本太郎の本(『今日の芸術』)に「自己疎外」っていう言葉が出てくるんですよ。
本来、我々人間は動物と一緒で、獲物を獲って食うとか、木の実を拾って食うとか。そういう自分の行動が自分に直接関係あるというのが、動物としての人間のもともとの状態じゃないですか。
岩本:はい。
豊間根:それが仕事をやっていると、例えば自分とは一切関係ない、お札を数える銀行員とか。自分はまったく使わない、買わないものを育てるとか、作るみたいな、自分と関係ない世界の営みが仕事になってくる。徐々にこう、自分と自分じゃない人格が生まれてくる、みたいな感覚が生まれて、どんどんモチベーションが下がってくると。
岩本:うんうん。
豊間根:心が死んでいくと。「やめろ!」みたいなことをね、岡本太郎はもう爆発だから言うんだけども。
岩本:(笑)。
顧客と直接関わりがない職種ですべきこと
豊間根:それを見て思ったことなんですよ。これが起きてる人はすごく多い。最初にも言ったとおり、営業とかカスタマーサクセスみたいな仕事だと、比較的手触りが得やすいんだけども。
岩本:そうですね。
豊間根:とはいえ、「そうじゃない職種の人はあきらめましょう」って言うと、それはそれで厳しいじゃないですか。どうしたらいいかって言うと……どうしたらいいと思いますか。
岩本:私はすごい、周りに求めるっていうのはアレですけど、例えば上司とかに常々報告をして、自分が今どういう状態になってるかを、他の人からフィードバックをいただくとかすると、もうちょっと手触り感があるのかなって思います。
豊間根:いいですね。お客さんじゃなくても、自分の仕事によって価値を感じてくれる人から、どう見てるかってフィードバックを貰いに行くっていうことですよね。
岩本:はい。
豊間根:まさにじゃないですか。
岩本:ふふふ(笑)。