PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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横山信弘氏(以下、横山):結果に何らかの影響を直接的に与える因子というのは、だいたい「行動」なんです。テストの結果を上げるということもそうで、だから勉強しなきゃしょうがないんです。勉強しているんだけどそれでもうまくいかないんだったら、勉強のやり方とか勉強の量、方向性を変えなきゃいけない。
方向性というのは戦略的なものなんですが、営業活動も一緒です。「今の営業活動では十分な結果が出ない。目標を達成しない」というんだったら、システムを導入しようが、上司と部下とのコミュニケーションや対話を変えようが関係がなくて。営業活動している人の行動の中身、行動の量、行動の方向性を変えない限りは何にもならないんですよ。
つまり、E(結果)を変えるためには直前のD(行動)がないと変わらないんですよ。Dを変えるためにC(話すこと)があって、Cを変えるためにB(原因)があるんです。
ですから、BをやることによってEになるかというと、CとDが明らかに変わっているということを見ないといけないんです。これは、アドラーが言う「課題の分離」みたいなものですよね。
例えば馬に水を飲ませたい場合、水辺に馬は連れていけるんだけど、そこから馬が水を飲むかどうかは馬の課題だということなんですね。「馬が水を飲まずに死んでしまった。私の責任だ」と言っても、水辺に連れていったんだったらそれ以上何ともならない。馬の首根っこをつかんで水を飲ませるのかって、それはできないじゃないですか。
これは上司と部下もそうで、「部下の行動が変わらない」と言っても、「ここまでしてそれでもやらないんだったら、それは部下の課題でしょう?」という話ですよね。お客さまに対してここまでやってご契約いただけないんだったら、それはしょうがない。でも、そこまでやりましたか? という話なんです。だから、原因と結果が離れているとうまくいかないんですね。
間にCがあるんですが、これは何か。D(行動を起こす人)が自分だったらまだいいんですが、自分じゃなくて誰かだったら「話す」以外ないんですよ。話さずに、見える化したボードとかを持って、部下に「おい、おい、気づけ」ってやるのはおかしいじゃないですか。
「これはどうなっているんだ?」「いつまでこれをやっているの? こうなっているよ」と言っても、話し方がいまいちだったりすると行動を変えたくないので、(部下は)「はぁ……」ってなるわけでしょう。
お客さんもそうですよね。法人営業だったりすると、窓口の方が「確かにわかりました。社内で調整します」と言っておきながら調整しない人っていっぱいいるんです。1ヶ月ぐらい経って「どうです?」って聞いたら、「いやぁ。いろいろ忙しくて」と。やってねぇのかっていう話になるわけですよ(笑)。
そうしたら何ともならないですよ。だって、その前の「行動」が起きていないから。「自分の提案が悪かったのかな?」とか、そんなことは関係ないです。その人が社内調整すると言ったにもかかわらず調整してくれていないんですよ。1回や2回調整してくれたからといってうまくいくはずがないわけで、何回もやってくれなくちゃいけないんです。
じゃあ、その窓口の方をどう動かすのか。話すしかないんですよ。メールでもいいかもしれないですが、とにかくコミュニケーションを取らない限りはどうにもならないです。
上司が部下を、親が子どもをどう動かすのか。とにかく結果を出してほしいわけですね。目標を達成したい。営業だったらお客さまを動かさなきゃいけない。これがBtoCだったら直接的につながるから、意外とそうでもないんですよ。
例えば保険を売る、車を売る、住宅を売るとします。住宅で施主さんに直接話ができるんだったら、その人を動かさなきゃいけない。そうしたら後でご紹介する7つのタイプに分けて、その相手に合わせればいいわけです。ただ、その人が動いてまた誰かに影響を与えていかなきゃいけないんだったら、いろんな人の動きを考えないといけない。
自分がどんなに努力したって、結局は自分の部下の動きが変わったり、さらにその向こう側にお客さまがいて、担当窓口の向こう側に決裁権がある人がいたりする。決裁権がある人がもっと深いところにいるんだったらなかなか変わらないですよ。だけど、それをやっていかないと仕事は取れないんですよね。
先ほど古瀬さんがS1グランプリの話をしていたんですが、何千人もの人が毎年集まるんですね。それは、多くの仲間たちがものすごく動き回っていろんな人に話をするから、「じゃあS1グランプリに行ってみようか」といって毎年集まるわけですよ。
誰かに何かを話して、そこから動いて集客につながる。何か結果を出すためには、だいたい誰かを動かさなきゃいけない。動かすには話さなきゃいけないということなんですね。
もうちょっと因果関係がある話をしたいと思うんですが、直接的につながっているのはB(原因)とE(結果)ですね。なので、間にCとDがあるんだったら必ず見なくちゃいけない。ただ、BをすることによってだいたいC(話すこと)が起きて、D(行動)も起きるから結果になるというんだったら、けっこうつながっているんですね。
統計的に見ると、BをすることによってEになる可能性が高い。そういう傾向があるというのが、いわゆる調査結果になるんです。明日のラジオでしゃべる話をしたいと思うんですが、例えば経済的に余裕のある家庭のお子さんは学校の成績が高い傾向にある。残酷な話ですけどね。でも、データからするとそうなんです。
経済的に困窮している家庭のお子さんの犯罪率は高い傾向にある。もちろんそうなるとは限らないですが、データで見るとそうなる可能性が高まってしまう。これは「確率的因果」の関係なんですよね。
「人に感謝をする習慣がある人は仕事の成果が高い傾向にある」「本をたくさん読む人のほうが仕事の成果を生みやすい傾向がある」とか、聞いたことありますよね。「誰だって本を読めば仕事の成果が上がるんですか?」と言う人がいるんですが、そうとは限らない(笑)。だけど、統計的に見るとそう。確率的因果の関係なのでこれは無視できないんですよ。
コンサルタントとして「社長、こういうことをやっていきましょうよ」と言っても、「いや、それをやれば本当にそうなるの?」と言われるんですが、そういうことじゃなくて。
例えば組織風土サーベイもそうですが、そういったサーベイのスコアが低い会社のほうが業績が落ちていく傾向があったり、離職率が高い傾向にあるんですよ。直接的につながっているかというとそうでもないかもしれないんだけど、無視できないんですよね。
「机の上が整理されていないと、その人の頭も整理されていない傾向がある」とか言われちゃうとドキッとしますよね(笑)。そんなの関係あるのか? っていう。机の上はぐっちゃぐちゃだけど、頭はめっちゃめちゃすっきりしている人も世の中にいるわけです。だけど、統計的に見るとそうなる。こういうものは無視できないですね。
もちろんこれは、誰に調査したかというのもちゃんと気をつけないといけないんですよね。私が見ているのはこれなんですが、「逆因果」というものです。ちなみに逆因果を前提とするこの2つ(スライド右側の図)は書籍のネタにすると売れるんですよ(笑)。私はなかなかしっくりこないから、逆因果のことはどうしてもポリシーとして書けないんだよなと思っちゃうんですね。
私もよく使うネタですが、モチベーションの話です。「モチベーションが高いと仕事の成果が出る」というのは違っていて逆なんです。これは逆因果で、仕事の成果が出るからモチベーションが高まるんです。間違いないですよ。これはハーズバーグの二要因理論の動機付け要因で昔から言われている話なんです。
ですから、社長が「いやぁ。うちのメンバーはモチベーションが低い。どうやったらモチベーションが高まるかね?」と言うなら結果を出せばいいんですよ。
私は「目標を絶対に達成させろ」と言いますよ。「モチベーションが低いんだから達成できないんじゃないですか? というか絶対達成なんて言っちゃダメでしょう。もっとやる気がなくなるわ」とか言われるんですが、「ふざけてんのか? おめぇがやる気ねぇんだろう」って社長に対して言いたくなるわけですよ(笑)。当たり前じゃないですか。
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