【3行要約】・目標達成に悩むビジネスパーソンは多いものの、具体的な方法論が 見えづらく、多くの人が途中で挫折してしまいます。
・北の達人コーポレーション木下社長は年商20億から4年で100億円を達成した経験から、目標達成の具体的な戦略を語ります。
・ 「着眼法」「10回の法則」「進捗の可視化」を実践し、目標達成率を劇的に向上させる思考法を身につけることが重要です。
前回の記事はこちら 目標達成のための作戦:着眼法
――(目標を達成するための)作戦を考える方法ってありますか?
木下勝寿氏(以下、木下):2つあります。まず1つは着眼法といいまして、他でうまくいっている方法を全部確認して取り込むものですね。これが一番手っ取り早いと思います。目標に対してうまくいった人、うまくいった話でもいいんですけど、「どういうやり方をしているんだろう?」というのを探していって、基本的にはそのとおりにやっていくというのが着眼法ですね。

そしてもう1つが、前人未到の目標を立てた時。今まで誰も達成したことがないことをやる時に作戦を立てるコツは、まずいったん予算とかを権限の枠組みから外すんですよ。
「あなたが社長で、予算を無限に使ってもいい時に、どんな方法を取りますか?」っていうのを、いったん考えます。例えば、そこの部分では採算が合っていなくても別にいいですとなると、けっこういろんなことが出てくると思います。
そして「これを具体的に、これぐらいの予算でできるようにすると、どういうふうにアレンジできますか?」とか「権限がこれぐらいしかないなら、どこまでできますか?」もしくは「権限を獲得することはできますか?」というふうに考えていきながら、現実的なところに抑えていく感じですね。この2つのやり方があります。
10回に1回しか成功しないと考えておく
――それを使いながら作戦A、B、C、D、Eと、100パーセントになるように作っていくんですね。それで足りなくなった時って、2つの方法で新しい作戦を考えていけばいいですか?
木下:そうですね。最初はA、B、Cを用意して、AがダメになってBに移っている間に、先ほどの2つの方法でDとかEを継ぎ足していく感じですね。

――なるほど。ありがとうございます。ただ、頭ではわかっていても、作戦がダメだった時が続くと、どうしても気持ちが落ち込んじゃったり、モチベーションが保てなくなることがあると思うんですけれども。そういう時って、どうしたらいいですか?
木下:これは先ほども言った話なんですけども、いわゆる10回に1回の法則というのがあります。世の中の仕組みとして、基本的に物事は10回やると、最初の9回は失敗して、最後の1回で成功するというふうになっているんですね。なので、多くの成果を出している人って、けっこうそれをわかっているので、最初の9回を淡々と失敗していくんですよ。
なので一回一回を言ったりしていなくて、「これはダメだね」「10回以内には成功するだろう」みたいな感じで、10回やって成功しなかった時に、初めて焦るんですね。
「これ、めちゃくちゃマズいぞ」
木下:でもまぁ、10回やって成功しないことは、ほぼないと思います。最初から一発でうまくいくことを目指すのではなくて、10回失敗できるようなバッファを持った計画とか、スケジュールを立ててやったほうがいいと思いますね。
先ほどの例えで言ったような、3ヶ月、66日あるとすると、みんなけっこう、66日かけて目標を達成しようとするんですよ。そうじゃなくて、最初の9回は失敗する前提だと、一発目の決着を6.6日以内につけるぐらいの感じでやるんですね。

――今、ちょっと鳥肌が立ったんですけど(笑)。
木下:どうしたの(笑)?
――失敗する前提で66日しかなかったら、作戦Aは本当にもう、最初のほうで短期間でやっておかないといけないですね。スピード感がぜんぜん変わってきますね。
木下:ぜんぜん違う、ぜんぜん違います。実際にうちの社内でもあったんです。10日間でやりますというスケジュールがあって、それぞれの「今日までにここ」「今日までにここ」という話をしていて。1日目に予定していた半分しかできなかったんですよ。僕は「これ、めちゃくちゃマズいぞ」と言ったんですよ。
3ヶ月の計画は“分単位”の世界
木下:そしたら本人は「え?」という感じになって「1日遅れるだけじゃないですか」って言ったんですけど。いや、そうじゃなくて「1日でできると思っていたものが半分しかできていないから、もともと1日でやろうと思っていたやつが2日かかるってことだよね? ということは今10日でやろうとしていることは、たぶん20日かかるよ」というふうに言って。
でも、その人は11日でできると思っていたんですね。「なんで明日以降だけ、できるようになると思っているんだ」みたいな。ここの認識があるので、目標を立ててすぐに動きが変わらない人って、そこをあまり理解できていないんですよ。
――一分一分の単位の時間で動きが変わってきますね。
木下:そうです。ぜんぜん変わってきます。3ヶ月なんてぜんぜん分単位の世界だと思います。今までお話しさせてもらった話というのは、実は初級編なんですね。
――まだ上級があるんですね?
木下:上級編があります! 今の話は本当にね、初めて目標を設定して、ちゃんと達成できるようになる(ための話です)。
目標を達成できるようになった場合
木下:多くの人はまだ、達成できたりできなかったりするので、初級編の方が多いと思うんですけども。先ほど「目標設定というのは、目安の1.3倍がいい」って言いました。キッチリ達成できるような上級者になってくると、目安の3倍とか、5倍というふうに設定していきます。
先ほど言ったようなやり方は、足りていない部分をまず把握することが一番重要なんですね。1.3倍の0.3倍分というのは、今の延長線上では無理だよねというのがわかります。
日付で期日を決めたり作戦を用意していると、今の状況のままだったら無理だよねということに気づいて、それを修正することを学んでいくのが初級編ですね。
そして、これによって(達成速度が)1.3倍になっていきます。そうやってどんどん腕が上がってくると、1.3倍程度だとすぐに達成できるようになってくるんですね。