目標を自分の想定の範囲外に置く
木下:それで目安自体が上がっていくんですけれども、そうなってくると、いかに自分の想定の範囲外に目標を置くかがすごく重要になってきます。
なので目安は、「フルでがんばったら、ここまでいける」。これの3倍、もしくは5倍に設定します。そうすると、もう明らかに今の延長線上では無理だよねっていうのがわかってきます。そうなると、まずは発想を変えます。ぜんぜん違うことを考えないといけない。
作戦とかも、今までの調べ方ではなくて、もっとたくさんのことを調べて、もっと新しい情報を入れて達成できる方法を探していきます。

それによって、3倍の成果がポンッと出る時は、たぶん今までのやり方から全部変えているんですね。ぜんぜん変えたりすると思います。例えば、北の達人コーポレーションは、(年商)20億円から4年で100億円にいっているんですよ。一気に4年間で5倍になっているんですけども。
北の達人コーポレーションを年商100億円にした考え方
木下:これ、20億円から100億円を目指した時にどう考えていたかというと、この20億円をやってきたやり方でいくと、20億円いくのに15年かかっているんですね。ということは、今から80億円の上乗せをしようとすると、今までのやり方だったら60年かかるんですね。
ということは、5倍の成果を出そうとすると、間違いなく言えるのは「今までのやり方を続けていってはいけない」ということなんですね。新しいやり方・新しい考え方を導入しないといけないというところで、今までの発想と切り替えたことによって、4年で100億円までいけたんですね。なので、目標を設定して、ギャップを生んで、そして数値化して、作戦を立てる。

「今のままではいけない」ということに気づいて、修正することをどんどん経験していって、これを体得したら、今度は一気に目安の3倍、5倍と設定してください。そうなってくると、ぜんぜん別の世界にステップアップできるので。ぜひ、やってみてください。
進捗は必ず可視化し、毎日確認する
――ありがとうございます。北の達人さんでは、個人の目標設定をする時に大切にしている考え方とか、目標を達成するために工夫していることって何かありますか?
木下:それはですね、見える化していることなんですね。先ほどみたいに日付で割ったりする場合に、必ず表にして毎朝ちゃんと確認をするようにしています。
例えば1ヶ月の予定も、先ほど言ったように20営業日とかになります。仮に1,000万円の目標を立てているとすると、20営業日で1日平均いくらずつ売っていかなきゃいけない(かがわかる)。
じゃあ、20日の段階ではいくら、いついつの段階ではいくらみたいな感じで、標準的な数値でいくと、これぐらいは到達していないといけないという目安を立てて、一日一日、この調子でうまくいっているかどうかを見えるようにしているんですね。
そのことによって、今も月間目標がありますけども、10日も経てば「この調子でいってても(目標に)いかないよな」「この調子だったら大丈夫だ」と、ハッキリしてきます。常に(経過を)見て軌道修正できるような仕組みを必ず作っています。
いかに改善の頻度を増やすのか
――毎朝見ていらっしゃるんですね。
木下:もちろん毎朝ですね。
――その時に「これはダメだ」と思ったら、次の作戦を考えられるようにされているんですね。それによって、実際に社員さんたちの目標達成が具体的に変わったところはありますか?
木下:もう、劇的に目標達成能力が上がりましたよ。それまでは、ちゃんと見ていない時って、月間目標っていくか、いかないかって最終日にしかわからなかったんです。なんとなく薄っすらと「いきそうだな」「いきそうじゃないかな」というのを、みんなけっこう祈っていたりとかして。それで30日になったら(目標に)いった、いかなかったみたいな感じなんですけど。
もうデイリーで見ていったら、「もうこのままのやり方をずっと続けても絶対に無理だよね」っていうのが、5日ぐらいでだいたいわかってくるんです。改善頻度が30回なんですね。まぁ、営業日で言えば20回、でもそうしていないと改善頻度が月1回になっちゃうみたいな。
目標は1つに絞り、たくさん失敗する
――やはり1つの目標にかける労力とか熱量もぜんぜん変わってきますよね。そうなると、やはり目標って、たくさん考えるよりも少ないほうが……。
木下:あ、1個、1個! 人間はそんなに器用じゃないので、これさえやっていればいいという目標を立てないと。「こういう方向性にいくんだ」みたいな数値化しないものは、もっと持ってもいいと思うんですけど、目標は基本的に1個にして、「これさえ達成すればいい」というかたちにしていく感じですね。

――(目標は)1つって考えると、66日って意外とあるのかなと思ったけど、10回失敗することを考えたら。
木下:6日、6日。
――むしろ9回を早く失敗したいですね。
木下:そうですね。仕事ができる人とできない人って、スピード感が違うっていうじゃないですか。そこなんですよ。打ち合わせをしたあとに、初動で達成できる、できないが、こっちはわかるんですね。
3ヶ月の目標に対して66日あって、まず6.6日である程度の成果が見れる状態で動き始める人と、66日かけて全部やろうとしている人で、最初の6日ぐらいで「あぁ、こいつは達成するな」「しないな」って、こっちはわかるんですけど、本人が気づいていないんですね。「いやー、この人は絶対に無理だろうな」と思いながら見てる(笑)。
――初動の勢いで、もうすべてが変わるわけですね。ありがとうございます。
目標達成のために重要な2つのエッセンス
木下:では、まとめますね。目標設定でまず大事なのは、自分の実力を正しく把握すること。そして自分の実力でがんばれば、どこまでいけるかという目安を立てること。目安の1.3倍を目標値に設定することをやってください。
目標達成のために必要なこと。まず1つ目というのが、目標を立てる際には、わかりやすい数値で見る。1ヶ月とかではなく20営業日とか、3ヶ月とかではなくて66日とか。もっと言うと、その時間をかけて四百何十時間というふうにしていきます。
そしてもう1つが、複数の作戦を立てておくこと。1つの作戦にかけてうまくいくか、いかないかを祈るのではなくて、うまくいかなかった時のために、次に移れるような作戦をちゃんと用意して、達成確率100パーセント分の作戦を用意してからスタートする。
ハードルの高い目標を達成するためにすべきこと
木下:この2つが目標達成のために必要なことです。実際に作戦を立てる時の方法というのは、まず1つ目というのが着眼法で、この目標に対して他社でうまくいっているやり方を探して、確認して、それを真似していくということですね。これが堅いやり方です。そしてもう1つが、前人未到の目標達成に対しては、まずいったんは予算とか権限とかの制限を外して考えます。
「いくらでもお金を使ってもいいです。何をやってもいいです」という状態だったとしたらどうしますか? と考えます。そこから予算とか権限に落とし込んで、現実的なプランにしていく。この2つの方法ですね。
こういうかたちで実際に動いていきながら、作戦Aが失敗して作戦Bになった。この段階で足りなくなったパーセンテージ分を新しい作戦で補充していきながら、常に100パーセント分を持っておく。
そしてこれが、途中の作戦Cの時に達成すると、残りのDとか、Eの作戦は次の時に使えるストックになります。ぜひ、必ず達成できる人になってください。
――木下社長、ありがとうございました。
木下:どうも、ありがとうございました。