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「因数分解! 売れない理由は、“売り方”じゃなく “見方”にある」 ~マーケティング×ビジネス数学で、売上を動かす本質をつかむ~(全3記事)

若手世代が不満に思う上司の指示の例 部下を納得させる“数字で人を動かす”マネジメント術 [1/2]

【3行要約】
・35年のマーケティング経験を持つ理央周氏と「ビジネス数学・教育家」深沢真太郎氏が、「因数分解」という切り口で売上の本質に迫るセミナーを開催しました。
・深沢氏は、若手社員はコスパ・タイパを重視し、理由が明確でない指示を嫌う傾向があると指摘します。
・ビジネスパーソンは売上や顧客価値を構成要素に分解して分析し、“数字と数字の間”に隠れたビジネスチャンスを見出すことが重要です。

前回の記事はこちら 

ビジネスに欠かせない構造化思考

理央周氏(以下、理央):ありがとうございます。じゃあみなさん、拍手お願いします。ありがとうございました。スタンプとかでもね。

深沢真太郎氏(以下、深沢):(笑)。ありがとうございます。

理央:途中で、「それ、そうだよね」っていうようなことを、いっぱい質問したいぐらいおもしろかったですね。ちょっと、これ見えるかな? (画面にメモを写す)これぐらい、いっぱい書き留めたので、いくつか質問していこうかなと思います。

深沢:はい! わかりました(笑)。なんだろう。

理央:なんていうのかな? 「構造を明らかにすること」みたいなものがあったじゃないですか。例えば、片付けは「捨てると残す」。さらにその「残す」を見える化というか、構造化すると整理と収納になるっていう。これはやはりね、しっかりと見える化ができるというわけですよね。

深沢:そうですね。 

理央:みなさんに持って帰ってもらいたいものがたくさんあるんですけど。そもそもビジネス論とマーケティングって、めちゃくちゃ親和性が高いと思っているんです。

今日の話の中でも特に親和性が高いのは、「構造化して因数分解するといいですよね」ってところだと思うんですよ。

例えばみなさんが部下の方に指導をする時とか。なんでかというと、先ほど深沢さんが言っていた、売上の因数分解があったじゃないですか。もしよかったら、そのスライドをもう1回出してもらってもいいですか?

深沢:わかりました。

ベテラン営業社員でも、指導が上手なわけではない


理央
:売上の定数と変数の話。結局ね、深沢さんとの打ち合わせとか、飲み会の席とかで一番言っているのって、この話だと思うんです。これね、僕なんかはやはり「営業組織にマーケティング(思考)を入れたい」みたいな課題感のあるところにいくわけですよね。

そうすると、めちゃくちゃスーパー営業社員とかがいて。そういう人が部下にどういうふうに指導するかっていうと、売上が上がったら褒めるわけですよね。例えば100万円の目標で120万円いきました。「よくやったじゃん! この調子でがんばれよ」みたいな。

それは100歩譲って良いとして、落ちていくとどうするかっていうと、因数分解しないから「お前、もっと回れよ!」とか言うわけですよ。それが正しいことも稀にあるんですけど、ほぼ間違えていたりするんですよね(笑)。

例えば「100万円の目標が80万円しかいきませんでした」みたいな時。因数分解がちゃんとできていると……深沢さん、僕の場合はBtoBのところに入る(ケースが多い)ので、単価は変えられないことが多いんですね。

深沢:あ、そうなんですか。

問題点がわかれば指導も変わる

理央:例えば自動車部品をトヨタに収めている会社があって「すみません! ちょっとうちも苦しいので、来月から2割上げていいですか?」って、できないんですよ(笑)。これは、変わりません。

逆に言ったら、この変数のどれかを上げれば上がるわけだし。僕も解釈が違っているかもしれないけど、計画を立てた時に変数と定数、対象者、接触率、商談率、受注率、単価っていう、分解したやつのどれかが間違っていたから、100万円にいかなかったわけじゃないですか。

深沢:はい、そうですね。

理央:しかも単価が変えられないなら、残りの4つが間違っていたわけでしょ? そうすると、どれが良くなかったのか。だいたいは商談率が下がっていることが一番の問題だったりするわけですけど。そうなると、指導の仕方も「もっと回れ!」とか「もっとがんばれ」じゃないところになったりするので。

深沢:今、理央さんがおっしゃったことは大事ですよ、すごく。

理央:なるほど、ありがとうございます。ポイントだと思うんですよね。

若手世代のマネジメントに対する不満

深沢:なんだろうな。最近よく新人さんとか、若手の方としゃべると、必ず彼らがおっしゃるのは「上司や先輩からの指示が、はっきり言うと気に入らない」。

理央:(笑)。

深沢:もう、こういう場なので、ダイレクトに言いますね。「気に入らない」って言うんですよ。それで「何が気に入らないの?」って聞くと、もうみんなこう言うんですね。「何を、どれだけ、やったらいいのか」っていうのを、明確に、できれば数字ではっきり示してほしいんです」と。

理央:なるほど、なるほど。

深沢:「じゃあ、なんでなのかっていうのも、ちゃんと説明してほしいんです」ということを、みんな言うわけです。

理央:大事ですね。

深沢:まぁ、やはり世代論。あまり決めつけて言うわけにはいかないけど、でも、やはりコスパ、タイパがお好みの方々が多いから。とにかく無駄なこと、本来はしなくて良かったのにやっちゃったみたいなことを、言葉を選ばずに言えば、死ぬほど嫌うんですよ。

若手世代を動かすために数字で語る

深沢:だから「いくらやったらいいんですか?」「どこまでやったらいいんですか?」「それ、なんでなんですか?」というのを、はっきりと示してほしい、説明してほしいという欲求がすごく強いんですね。でも、先ほども理央さんがおっしゃったように、マネジメント層が……。別にマネジメント層を悪く言うつもりはないんですけど、マネジメント層は、つい、ついね。

「がんばれや!」とか「いい感じで!」とかね「もうちょっと回れ!」(という指示)に、やはりなると。

理央:Z世代とかじゃなくても、「『いい感じで』って言われてもね……」。みたいなところは、ありますよね。

深沢:私もその(マネジメント層の)世代だから、気持ちはもうすごくわかるんですよ。

理央:(笑)。

深沢:とてもよくわかるんですけど、でもマネジメントクラスの、私と同じくらいの世代のみなさんは、ちょっとがんばっていただいて。まぁ、こういう仕事をちょっとだけして、具体的にその数字で「商談率アップが必要だよね、っていう説明ができるようになってほしいかな」っていうのは、最近すごく思います。

勝利の女神は準備をした人に微笑む

理央:そうですね。特に営業の仕事。マーケティングって、全体がどうなっているかを考えるので、目の前にお客さんがいるわけではないんですですよ。 「たぶんこうだろうな」「いやいや、ちょっと待って。こういう傾向だから、こっちのほうがいいだろうな」「こんな広告が刺さるだろうな」と、こう考えるわけですけど。

営業って、ここ(目の前)にお客さんがいるので、どれだけがんばってもお客さんから「それは違うよ」って言われたら、次の手を考えなきゃダメなんですよね。なので新人でも、ベテラン営業マンでも、その状況は全部同じなんですよ。そうなった時に「いい感じでやろう」と思って商談に行った時に課題感がはっきりしていないと、次の一手がその営業の方に任されちゃっているわけじゃないですか。

あのね、勝利の女神っていうのは、準備力がある人が好きなんです。商談に行く前に、例えばこの話をしていて、「商談率アップが改善策だよね」みたいな。そうすると「じゃあ、商談率アップのために何をしていったらいいんだろう」って。

商談を具体化していくことが大事ってなった時に、「じゃあさ、商談の中身をこうしたらいいんじゃないの?」って考えてから行くほうが、絶対に成約率が上がりますよね。見える化して、往々にしてその先輩営業マンが言うよりも、上司とか、情報を持っているのは営業担当者だったりするから。

「いや、部長はそういうふうに言いますけど、実はこの間ちょっと社内の状況が変わったみたいで……」みたいな情報は、彼らが持っているわけですよ。そうなった時に、こうやって分解して、どことどこを直していったらいいのかなみたいなところは、やはり把握できていたほうが絶対にいいですよね。

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