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「英語OS」を身につけよ! −思考プロセスをアップデートし、英語学習の遠回りを終わらせよう!(全6記事)

間違いを怖れて「英会話」ができない人へ 英語学習の遠回りを終わらせるヒント

【3行要約】
・日本人と英語ネイティブの間には認知の違いがあり、これが英語コミュニケーションの障壁になっています。
・大西徳昭氏は、英語を話す際には別人格になるような気持ちの切り替えが効果的だと説明します。
・英語学習では完璧さより楽しさを重視し、間違いを恐れず意思疎通を図ることで、コミュニケーションの壁を乗り越えることができるでしょう。

前回の記事はこちら

“ざっくり全体”を見る日本人と“大事な一部”だけ見る英語ネイティブ

落合絵美(エイミー) 氏(以下、エイミー):これも聞こうと思ったんですが、外国の方はそもそも認知していないから、「お前の英語は、下手だな」と思われているかどうかすら気にしていないでしゃべっているってことですか?

オールライト千栄美氏(以下、オールライト):「あ、いたの?」ぐらいの感覚ですね。

エイミー:マジか。そうなんだ。

オールライト:さっきのネコちゃんクッキングの絵を思い出してほしいんですよ。「あー、これがなかなかできないな」「これで悩んじゃうな」と思った時、「あ、こう見ているんだ。でも、それは言語的に埋め込まれたものであり、違う枠にしちゃえばいいんだ」と思ってほしい。

さっきのネコちゃんクッキングは違う絵できちんとした実験結果があって。例えばあれを5秒ぐらい見せるじゃないですか。日本人は「背景に窓がありました」「フライ返しがありました」とか覚えているんだけど。英語話者に見せても、背景に何があったかを答えられない。見てないんですよ。なぜなら、知らないから。

大西徳昭氏(以下、大西):それが文化です。それがOSなんですよ。逆にいうと、日本で僕らは、いろいろなものが全部見えてないと生きていけないOSの中で毎日生きている。だから一部しか見ていないと、「あいつ、ぜんぜん他のことを見てねぇな」「わかってねぇな」「空気が読めないやつだ」と言われるわけです。だけど、空気が読めなくていいところだったら、空気なんか読まないんです。

だからOSの入れ替えが大事。日本人として生きている、日本語をしゃべって生きている時、「大西」で生きている時は、日本人で日本語をしゃべっているんだけど。英語をしゃべる時は「Nick」になる。

そうすると人間が変わるんです。言葉も変わるし、人間も変わる。僕は「スイッチが入る」という言い方をしています。OSを変えるからちょっと違う人間になるという楽しさ。

僕の場合はスイッチが入って、人間が入れ替わる感覚。僕は日本人としてちょっと物を言い過ぎなところがあるんだけど、英語になると、もっとストレートトーカーになる。実はこれが楽しいんですね。

「失敗への恐れ」を乗り越えるには

大西:最後にもう1つ。さっきの話に戻ると、僕が怖さを脱却できたのは、違う外国の人と仲良くなって話をすると、とにかくよくわからないけど楽しいんですね。楽しむことが何より大切。

これからAIに取って代わられるところはいっぱい出てくるけど、たぶん人間が人間として生きている間で変わらないのは、人と人とのコミュニケーションの楽しさを感じられること。怖いけど楽しいほうが上回ったら、「怖いけど、ちょっとやってみようか」という気持ちになるじゃないですか。

ただつらかったり、面倒くさかったり、楽しくなかったりすると、乗り越えられない壁になってしまう。だから、ぜひ楽しさを味わっていただきたいなという感じがしますね。

オールライト:本当にそうなんです。スリルがないと、楽しくないんですよね。

(会場笑)

安全が確保されていることだけやったら、たぶんおもしろくないんですよ。スリルがあって、そこにフラストレーションがあるからこそ、おもしろいんだと思います。


大西:そうですね。僕と千栄美さんが仲良くなったのは、ホフステード理論という異文化理解のところだったんです。コロナの頃でオンラインだったよね。ホフステードの理論で言うと、日本人は一番間違いたくない文化を持っている民族。でも(中には)「スリルを味わいたい」という、あまり日本人っぽくないこういう人も……。

(会場笑)

もちろん個人差はあるんですよ。だけど総体としては、僕らはなるべく間違いたくない。もっと言うと、間違うことをめちゃくちゃ恐れる。

例えば同じアジア人でも、この対極にいるのがシンガポールの人です。だからシンガポール人と仕事をすると、「日本人はいつまでも議論していて、何も決めない」と。僕らからシンガポール人を見ると「何も聞かないで勝手にやっちゃう」と。

どっちも良かれと思ってやっている。文化が違うだけなんですよ。日本人は間違いたくない人種、そういう文化の中で生きているから、ちょっと背中を押してあげないといけない。その自覚がけっこう必要だよね。

オールライト:そうですね。

大西:あなたは違うかもしれないけど(笑)。

臆せず日本語のメールを送ってくる外国人

オールライト:でもUFOキャッチャーとか絶対に取れるんだったら「やらないでしょう」と思いません? あれは取れるか取れないかわからないから、やりたいわけで。

エイミー:そうね。とはいえ「間違いたくない」というDNAが染みついているんだと思う。私は「あ、間違ってもいいんだ」と思った瞬間があって。今、EMC GLOBALという、日本人の学生たちを海外に連れて行って、グローバルアントレプレナーにしようというのをやっているんですね。

だから、いろいろな国の人からメールが来るわけです。おもしろいのが、今はGmailもご丁寧に勝手に日本語に訳してくれるんですね。日本人はそういう設定になっている人が多いと思うんですけど。

シンガポールやフィリピンの方から来たメールは、普通の日本語に翻訳される。インド人からのメールは、なんかよくわからない日本語になって、むしろ英語を表示して、そっちを見たほうがわかりやすかったりする。国によって若干違いがあったり、学生か社会人か、どこかの先生かで違いがあったり。

私は英語というだけで間違えたくないから、「こわー。間違ったらどうしよう」が先だったけど、英語が母国語じゃない人が果敢にメールをしてくる。たぶん、何も気にしないでバーッと書いているんだろうなと思った時に、「私もこれでいいじゃん」と思えた。

メールの時は一生懸命AIを入れて、きれいな英語っぽいのを作るけど、最近はWhatsAppで来るわけですよ。そうしたらパーンと返さなきゃいけないじゃないですか。でもどう読んでも明らかに私がやり取りしているインド人のWhatsAppは、よくわからないことを言っているんですね。

オールライト:(笑)。

エイミー:でもいいや! とこっちも「とりあえずこんな感じで!」と返すと、なんか話が通じていくんですよね。

大西:わからなかったら聞くよね。

落合:そうそう、それは間違いない。

「ネイティブの間違い探し」で英語学習のモチベも上がる

オールライト:だから英語が問題なんじゃなくて、コミュニケーションするという、そこに2人のコンセンサス(合意)が合っているわけですよね。

エイミー:そうそう、そうね。わからなかったら聞くし、わかっていれば別に英文法がちょっと違おうが……。目的はコミュニケーションしていくことなので、お互いに「君と話したいんだ」という思いがあれば、くみ取って、ちゃんとかたちになっていく。もちろん、きれいにしゃべれたほうがいいけどね。あとは現場で磨かれていくものなんだなと思いますね。

オールライト:そういう間違いもおもしろがっていいんですよ。私の場合、家族みんなが英語母語者。もちろん夫はそうだけど、子どもたち3人もファーストランゲージは英語なわけです。

子どもたちが話している時、次の単語がなかなか見つからず、ちょっと詰まることがあって。たまたま私のほうが先に彼らの言いたい単語を言ってあげて「そうそう、それそれ」と言われた時、本当にやってやった感があります(笑)。

(会場笑)

そんな「勝った」という経験の繰り返し。人間はホルモンとかドーパミンで動かされますからね。そういうものを体験したら、もうやめられなくなる。ネイティブの間違い探しみたいなね。

エイミー:やばい(笑)。ありがとうございます。じゃあ、会場からも質問があったらどんどん混ぜこぜにしていきたいなと思います。いったんここまで、ありがとうございました。

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