「英語OS」を身につけよ! −思考プロセスをアップデートし、英語学習の遠回りを終わらせよう!(全6記事)
「どうしたら英語が上達するか」は日本人特有の悩み 中国人・韓国人との“学ぶ姿勢”の違い [2/2]
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中国人・韓国人と日本人の“学ぶ姿勢”の違い
オールライト:そうなんですよ。だから、教科書を1冊ずつ持っているのはすごく珍しい。物理的に豊かだからできるんですけど、ただ、あれがあることで、そこ(教科書)だけになっちゃうんですよね。
かつて韓国人や中国人の生徒さんがいらっしゃった時、ぜんぜんアプローチの仕方が違って。日本人だと「今日は何をすればいいですか?」「答えますから、聞いてください」というアプローチ。でも韓国人や中国人の生徒さんは、英語力に関係なく「今日はこれをやりますので」とプレゼンを作って発表してくるんですね。
英語母語話者で日本語を勉強している人はたくさんいる。私の周りにもけっこういます。日本ブームですよね。あと漫画・アニメブームなので、若い子たちがすごく日本語に興味を持っていて、Duolingoをやっている子も多いです。
実は朝の散歩で(日本語を学んでいる)子どもたちと会うんですが、私が日本人だとバレて、めちゃめちゃ練習台にされていて。知らない子から「先輩、おはようございます」と言われるという。
(会場笑)
だいたい(日本語を勉強している子たちは)『ONE PIECE』を見ているので、使う言葉が『ONE PIECE』なんですよ。「これは危険だ!」とか、そういう口調なんですね。そんな知らない子どもに練習台にされるという。日本人が英語を勉強する時、子どもたちも含めて、こんなことはあまりやらないですよね。
でも、うちの夫が日本語を勉強していた時は、まだネットが発展してなくて電話の時代だったんですね。(夫は)片っ端からイエローページでホテルに電話をして、架空の日時で予約ができるか、いくらか、2人だったらいくらか、シングルかダブルかと聞いて、(会話が)わからなくなったら切っていました。
切られたほうは嫌だけど、ただ向こうも仕事なので、ちょっと練習台にさせてもらうという。
英語習得のためにはとにかく「言葉を交わすこと」
エイミー:おもしろい。OSを身につけるのとは別で、文法や単語も必要じゃないですか。今の「電話をかけまくる」というやり方はOSのアップデートにも通じるんですか?
オールライト:えーとね、パターンをつかむ力がある人は……。素質にもよるわけじゃないですか。英語に関してだけ、みんなが同じことをやったら英語を話せる、ネイティブみたいになれるわけじゃない。「そんなのになりたくないわ」ぐらいに思っていても別にいいんですよ。
マーケティングの問題もあり、英語にだけ通用しないこともあって。「ピアノがうまくならないんだけど、どうしたらいいかな?」と言えば、「1ヶ月に1回弾いています」なら「弾けよ」という話じゃないですか。それとまったく一緒なんですよね。
ただその人その人の持っている素質や言語直感によっては、具体を重ねて自分の中でデータベースを作り、「あ、こういう時はこうなんだ」と抽象化して、自分のものにできる人もいる。それを誰かの力を借りないとできない人もいる。だからいずれにしても、言葉は交わしていかないといけない。
エイミー:私は正確に千栄美さんのご経歴を知らないんですけど、英語に興味を持ったのは中学時代と聞いたんですが、その頃は日本にいたんですよね。
オールライト:そうですね。うん、私は石巻市出身ですから。石巻は外国人だらけなんですよ。
エイミー:あ、逆にね。
オールライト:ロシアとかバングラデシュから船が入ってくるんですね。
エイミー:マジか(笑)。
オールライト:(笑)。だいたいみんな外国人と言ったら、白人を想像しているでしょう? ぜんぜん違う人たちが入ってくるんです。私の実家は本当に海の前なので、ロシア人に船の中に連れて行ってもらって、硬いパンを食わされたという。
(会場笑)
ただ(当時の)匂いはすごく覚えているんですよ。あとお菓子のパッケージとか。うちの弟や妹も同じような経験をしているけど、私とはぜんぜん違う。
だからその個体なんだと思うんですよね。私は知らないことをもっと知りたい。それがあったと思いますね。それで一番手っ取り早いのが英語だった。
中学時代に父親に『少林寺木人拳』というジャッキー・チェンの映画を見せられて、中国語を習っていた時期があって。だから英語じゃなくても別に良かったんです。
英語の授業にまったくついていけなかった
オールライト:英語にぜんぜん縁がない環境で育ったので、中学校の英語はすごく楽しみにしていたんです。自分のまったく知らない世界だし。ただ授業が本当にわからなかった。国語は得意だったので、「英語もわかるはずだ」という自信があったのに、ぜんぜんわからなかった。
何がわからなかったかというと、英語がわからないんじゃなくて、先生が言っている日本語がわからなかったんです。現在形とか、現在進行形とか、日本語がわからないところが、今にもつながっているんですね。「日本語の文法用語は、本当に使わなきゃいけないんだろうか?」という。
大学は英文科に行きましたが、文学だから会話はまったくできなかったですし。ただ大学に入って、石巻の港町から東京に行きました。はりきって現場に出ましたね。
昔、駅に『Tokyo Classified』というフリーペーパーがあって、そこに「language exchange」という欄があったんですよ。2~3年前に見た時はすごく縮小されていたけれど。
日本に住んでいる英語母語話者で日本語を学びたい人と、日本に住んでいる日本人で英語を学びたい人たちが、ただお茶を飲んだり遊んだり、散歩に行ったり。
エイミー:やはり実践しかないんですかね?
オールライト:うーん、「ピアノはやはり弾いてね」となりますよね。
エイミー:とはいえ、例えばよく塾で「とりあえず英単語を1冊覚えろ」と言いますけど、そういう「これもやったよ」みたいなものはあるんですか?
オールライト:やはり現場でやったことは抽象化しなきゃいけない。そこが具体と抽象の行き来なんですけどね。「あの人は、この時にこう言った」「あ、あの人もこう言った」と点と点をつなげていく作業は必要です。それを自分で英語を使う時に再現する。
再現性を持たせるには、バラバラにあるんじゃなくて、自分の頭の中にまとめる必要があります。そのためには、ずっとコンスタントにやり続けないと絶対にダメ。ぽっぽっと空いちゃうと、点は点のままで線にならない点だけが増えていっちゃう。そんな難しいことではないはずなんですが、それを難しくしたほうが、もうかる人たちもいるんです(笑)。
エイミー:(笑)。
オールライト:そりゃそうですよね。ダイエットでもなんでもね。実は問題があるんじゃなくて、問題を作れば作るほど、もうかるマーケットビジネスができる。なんでも、そんな類だと思っていいですよ。 続きを読むには会員登録
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