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「因数分解! 売れない理由は、“売り方”じゃなく “見方”にある」 ~マーケティング×ビジネス数学で、売上を動かす本質をつかむ~(全3記事)

仕事の課題をひもとく“因数分解”思考の基本 ビジネス数学の専門家が教える、分析力を上げる2つの視点 [2/2]

共通する因子を抜き出す

深沢:AX+BX+CXっていうのは、Xでくくることによって、こういう式で表現できますよね、みたいな。ありましたねー。こういうのを因数分解と呼ぶ人もいたと思うんですね。大事なのは「これは何をしているんだろうね」っていうことなんです。

書いてあるとおりですね。共通する因子を抜き出しているということではないかと。「共通する因子って、もちろんXのことだよね? この3つに共通するものがあるよね。じゃあ、それは抜き出して表現しましょう。こういう構造、メカニズムになっているよね」というのが、因数分解の1つの解釈なのかなと、私は思っています。

AX+BX+CXなんて出てきましたけど、その1個だけに注目をしましょうか。AX、 このAXって、本当に当たり前のことなんですけど、AとXという2つの構成要素があるわけです。その2つが、ある関係で結びついているんだよね。まぁ、数学的にはかけ算の関係になるのかな。

大事なことだから、もう1回言いますね。2つの構成要素があって、それがこういう関係でつながっているということです。これがAXですね。何を言っているかというと、AXというものには構造があり、その構造は私が申し上げた文章で説明できる。ここまで、いかがでしょうか?

実はふだん何気なく行っている行為

深沢:まぁ、非常に抽象度が高くて具体性に欠ける、あまりおもしろい話じゃありませんよね。でもこれは大事なことなので、ちょっとだけ我慢していただきました。

人間は「先ほどのような抽象度の高い話が、私たちの日常生活にあるんかい!」と思うわけです。みなさんもそう思いながら、数学の授業を学んだんじゃないかなと。

例えば、「あるマーケティングセミナーでは、こういう内容でした」「別のマーケティングセミナーでは、こういう内容でした」「別のマーケティングセミナーでは、こういう内容が語られていました」。

もちろんそれぞれ違うわけです。違うんだけれども「あれ? それぞれは別の先生なんだけど、この点については同じことを言っているよなぁ」っていうことがないでしょうか? そうなんですよね。これが共通する因子というものになります。

それを抜き出して、物事を捉えていくことは「私たちの日常の中にもあるんじゃないかな」というのは、当たり前のようにやることだと思うんです。実は、これは先ほどとやっていることが同じなんですよね。つまり因数分解。

言語化することで構造化する

深沢:どうしても私たちは、因数分解という言葉を数学の作法のように捉えますけど、これって当たり前のようにやっていることなのかもしれないですよね。因数分解という言葉の解釈をみなさんに示してみました。どんな感想をお持ちでしょうか?

「2つあるよ」と申し上げたので、もう1つあるんですよね。別の解釈についても、ちょっとご紹介したいと思います。もしかしたらみなさんはこっちのほうが、しっくり来たりするかもしれないな。例えばですけど、これは小学校ぐらいでやったんですかねぇ。素因数分解なんてありましたね。

「素数のかけ算に分解しなさい」なんて学校の先生に教えてもらったかなというふうに思うんですね。30は6×5=30だから、2×3×5。こういうのを素因数分解と呼びます。

これは因数分解ってことよね。間違いないよね。まぁ、誰でもできる、知っていることなんですけれども、「これはいったい何をしているんでしょうね?」と。 

「これはいったい何をしているんでしょうね?」って、先ほども私はこの言葉を使ったんですよね。これは重要な問いなんじゃないかなと思っています。私なりの答えなんですけど、「これは、何と何と何が構成要素なのかな? それがどういう関係でつながっているのかな?」ということを言語化しているのかな。また、私は「構造」っていう言葉を使っている。

「人間のやる気」を因数分解すると?

深沢:もう優秀なみなさんであれば「深沢さん、先ほどと同じ話をしているね」と伝わっていると思います。何が構成要素で、それがどういう関係でつながっているか。「要するに構造化していることだよね」。そうなんですね。同じことを言っているわけです。やたら構造って言葉が出てくるなぁ。 

さて、先ほどの素因数分解みたいなやつ。何×何×何、何+何+何、何÷何みたいな。ああいったものに分解していくっていうことは、数学の中だけで行う作法ではありませんよね。

1つ事例として持ってまいりました。モチベーション研究の第一人者とされる、ピアーズ・スティールという心理学者の先生がいます。

この方は「人間のやる気」を因数分解して、このように表現し、提唱をしたんだそうです。おもしろいことを考えますね。つまりですね、「やる気っていうのは、どういう構造になっているのかな?」「何と何と何で、できているのかな?」「その何と何と何っていうのは、どういう関係になっているのかな?」ってことだよね。ここまで言ってきたことすべてですよね。

「やる気っていうのは、高めるものと削ぐもののバランスでできている」って、考えたみたいです。でも、素人の私たちでも、なんとなくイメージは付きますよね。高めるもの、それは大きければ大きいほどいいよね。削ぐもの、これはなるべく小さいほうがいいですよね。この2つのバランス、関係によってやる気が決まってくるよと考えたみたい。 

やる気を高めるのは達成確率と価値の相乗効果

深沢:まぁ、私は素人ですけど、個人的にはしっくりきました。さらにですね、このスティールさん、おもしろいことを考えるなぁ。「やる気を高めるものは、何と何でできているんだろう?」って、考えているんですって。まぁ、書いてあるとおり達成確率と価値、その相乗効果と考えているんですね。達成確率というのは、達成しやすいかどうかですよね。

まぁ、誰だって達成しづらいもの、達成する確率が低いものは、やる気が出ないですよね。達成する確率が高いものは、「じゃあ、やろうかな」と思うものです。一方の価値というのは、それをやることによって、得られるリターンが高いか・低いかです。「それをがんばってやったら、ご褒美がたくさんもらえる!」これは価値が高いですね。やる気が出ます。

「がんばってやっても、特にご褒美がない」だと、やる気が出ません。 一方、わり算の後半のほう、削ぐものについては「衝動性と期限の相乗効果である」というふうに説明しています。衝動性は簡単に言うと「飽きっぽい」ってことです。「これをやっていたんだけれども、すぐにこっちのほうに目移りしちゃう」。

まぁ確かに、すぐに他のほうに目がいっちゃう。飽きちゃう。こういう人は、なかなか1つのものにやる気が起こりにくいかもしれない。

因数分解とは、構造を明らかにすること

深沢:期限。これはわかりやすいですね(笑)。夏休みの小学生でございますね。「あぁ、もう夏休みが終わっちゃう。あと3日で夏休みが終わっちゃう」。急に「宿題をやらなきゃ!」ってやる気が出るわけですね。

期限が長ければ長いほど、やる気が起こりにくいということなのかな。「以上の4つのファクターで、やる気というものは決まってくるよ」と、スティールさんはおっしゃっています。 

お伝えしたいのは……。(スライドを切り替えて)ということですね。みなさん「因数分解」なんて言葉を聞くと「数字で計算することかな?」「売上の数字をこねくり回すことかな?」「細かくデータをいじくることかな?」という印象を持つと思います。

あえてこの言葉を使いますが、それは間違いです。その認識は、因数分解ではありません。因数分解は、構造を明らかにすること。私はこれが正しい理解だと指導しています。結果として数字を扱うこともあるかもしれない。売上を細かく分解することもあるかもしれませんが、本質はこれなんですね。

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