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「英語OS」を身につけよ! −思考プロセスをアップデートし、英語学習の遠回りを終わらせよう!(全6記事)

英語では絶対に欠かせない「単数か複数か」という視点 日本語と英語の「認知の仕方」の違い [1/2]

【3行要約】
・日本人の英語学習で感じる違和感は言語の認知パターンの違いにもありますが、その本質はあまり知られていません。
・月間200人の日本人に英語を教えるオールライト千栄美氏は、言語を「額縁」に例え、OS切り替えの重要性を説明しています。
・日本語話者が英語を習得するには、言語の認知パターンの違いを理解し、思考の枠組みそのものを変換する必要があります。

月に200人の日本人に教えてきた英語講師が登壇

オールライト千栄美氏(以下、オールライト):今日は危険な暑さの中、みなさん、ありがとうございました。本当に「こういう時にイベントやるなよ」という感じですよね。

(会場笑)

まずはみなさんにちょっと涼んで頭をクールダウンしていただいて……。長丁場なので、歩きたくなったらそのへんを歩いていただいてもいいし。一説によると、体を動かしたい時は動かしていたほうが、頭に入るんですって。なので貧乏ゆすりも大歓迎です。ということで、さっそく本題に入りたいと思います。今日はよろしくお願いいたします。

まず初めましての方もとても多いので「この人は誰ですか?」ということを、ざっと(資料に)書きました。宮城県出身で、イギリスに住んで14年目です。ロンドンの南側に住んでいます。よく例えるのはロンドンが東京だったら、私が住んでいるのは埼玉県の春日部あたりで(笑)。

(会場笑)

ちょっと際どいんだけど、がんばればロンドンに通えるところです。

今、振り返れば、子どもの時から言葉には興味がありました。私がベースにしている語用論や日英比較言語論は、あくまでも論じるもので「ああでもない、こうでもない」と言っている学問なんですね。

一応学問としてのくくりがあるんですが、これを横断しているのが、私のユニークなところです。学問ってどうしても1個ずつになっちゃって、なかなか横断ができないんですよね。

私はそこを縦横無尽に横断しながら日本人の英語認知について考えています。これまで7年間ぐらい、月に200人の日本人とレッスンをしてきました。そうやって、データベースを溜めて、今があるという感じです。

学問的なところだけじゃなくて具体と抽象を行き来するのが、私の考え方のベースです。ライフスタイルもそうしたいなと思っています。

(自分の)ネーミングにはいつも迷うんですよ。(私は)英語を教えているけれど、それ以外に企業の言語化やコピー、ソーシャルメディアの言語化のお手伝いなどのコンサルもするんですね。だから最近は「社会派言語オタク」と名乗ろうかなと思っています。

いつも使っている口癖というか、ハッシュタグは「#英語は現場で起きている」。あと悩みは日焼け止めが効かない(笑)。

(会場笑)

三鷹駅からここまで歩いてくる中で、1人だけ相当日焼けしています。私の周りにいると「私が全部吸収するので、日焼けしないよ」とよく言われるんですけどね。これには実はエピソードがいろいろとあって、小学校の時恐ろしいことに「くろんぼ大会」というのがあったんですよ。私の弟と妹の時代にはもうないんですけどね。たぶん私がディフェンディングチャンピオンです。こんなことを言っていると時間がなくなるんですね。

「英語のOS」を身につけるには

オールライト:今日は、みなさんに頭の中で行っていただきたいことがあって。イベントの告知では「英語のOS」という言葉を使ったんですが、OSとは何なのか。ちょっと違う角度から見てみたいと思います。これ(掛軸に西洋画が入っているものと、西洋風の額に日本画が入っているもの)を見て、どんな感じがしますか?

会場:あぁー。

オールライト:そう、ちょっと色がわかりにくいのはあるんですけどね。違和感を感じますよね。だけど間違ってないんです。額縁としては機能をしているんですね。ただ実は、逆なんですよ。みなさんから見て向かって右側は、掛軸(かけじく)です。本来この掛軸には、左の絵(日本画)が入っているんです。

私たちの頭の中は、右側の状態(掛け軸に西洋画が入っている)だと思ってください。この掛軸の額の部分が、私たちが持っているOS、日本語のOSです。そこに英語を入れたいわけなんです。私たちが英語を使う時は、そうやって運用しているんですね。だから、どうしてもズレが出てきます。

当然、逆も起きます。西洋風の額に日本の絵を入れる。その額がハードウェア、絵がソフトウェアだと思ってください。そうすると、英語母語者もだいたい決まった間違い方をするわけです。

ソフトウェアが英語と決まっているなら、「西洋の絵が入りやすい枠に変えてみましょう」というのが、今日の大きなテーマです。

英語の原書は日本ではタイトルがガラッと変わる

オールライト:実は言語学の中には、AIで同時通訳するために、英語にしやすい日本語という研究分野もあるんですね。つまり、AIにすぐに乗っけて、精度の高い英語にできるように「日本語を変えちゃいましょう」という考え方があります。

ただ日本語と英語には、ちょっと距離があるわけです。今日は「この枠のほうを見てみましょう」なんですが、日本語と英語はぜんぜん違うという前提で「絵のほうをちょっと変えちゃいましょう」ということが、身近にも起こっているんですね。

例えば、これ(スライド)は英語の原書の表紙です。育児書に特化してピックアップしてみました。例えば、一個出してみますね。上が原書(『THE Narural BABY SLEELEEP Solution』)ですが、これが日本に入ってくると、こう(『賢い子は一歳までの眠りで決まる』)なります。このまま英語を直訳したものでは日本で売れないから「英語のほうを変えちゃいましょう」となっているんですね。

次もそうです。『Baby Food Matters』はどこがタイトルか、ちょっとわからないですよね。

(会場笑)

この『DIRT IS GOOD』は世界的にも有名な本で、私もすごく好きな本なんですけど。それが、こうなります。(まったく違うから)気づかなかったら、2冊買っちゃいそうですよね。

これも微妙なんですよ。『子どもの気持ちがわかる本』、原文は『Understanding CHILDREN'S EMOTIONS』なので、なんか良さそうなんですけどね。

でもemotionが気持ちなのか、understandはわかる(という意味)なのか。そのへん、もしかしたらズレがあるかもしれないです。そのまま訳したら「子どもの感情を理解する本」でいいはずなんだけど、「気持ち」と「わかる」を選んだわけなんですよね。このへんがすごくおもしろいなと思います。

映画のポスターも「海外版」と「日本版」はかなり違う

オールライト:次も有名な本です。この本はすごく抽象的なタイトルで、『Children Learn What They Live』。子どもの育った環境や自分が経験したものから学んでいるという。

日本語になると「魔法の言葉」という新たな単語が入ってきています。私たちが本屋さんで見るのは、この下のほう(『子どもが育つ魔法の言葉』)ですよね。でも原書はこっち(上)なんですよ。

これ(『ずっとやりたかったことを、やりなさい』)もすごく有名な本で、見たことがあると思います。でも原書(『The Artist's Way』)を見ても、なんだかわからないと思うんですね。

会場:あぁー。

オールライト:そうそう。日本語の本にも横に『The Artist's Way』と書いてあるけど、とても同じ本だとは思えない。この(日本語の)タイトルだったら、「もう中身を読まなくてもいいんじゃないか」とツッコミできそうですよね。

(会場笑)


(日本語タイトルは)具体に偏るんです。今日はその話がメインじゃないけど、そういう法則があります。

これ(スライド)はけっこう前ですが、私が好きな(映画)『ANT-MAN(アントマン)』。ポスターが白だからちょっとわかりにくいけど、ポスターの気持ちはわかりますよね(笑)? antはアリのことです。私はこれがすごく好きなんですよ。なんか探したくなりません? 

でも日本に来た時のポスターが、これ(スライド)です。この2つの感覚(の違い)はすごく法則的で代表的です。「英語の時はこうだったものが、日本語ではこうなるんだな」というパターンを、みなさん、頭の中に入れておいていただきたいんですね。

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