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取り扱い注意の1on1なぜ、ワンオンワンがうまくいかないのか?現場の実例から学ぶ改善のヒント~(全4記事)

1on1が形骸化するのは“上司の腹落ち”がないから 管理職が部下と話す前に確認すべき2つのポイント [2/2]

まずは上司がモヤモヤを吐き出す

これをやったらうまくいく人もいればうまくいかない人もいます。だから取り扱い注意というタイトルを付けているんです。じゃあ、どうするのかということですね。

ポイントを2つお伝えします。1つが、モヤモヤを吐き出せる場を作りましょう。こんな目的があるので1on1をやりましょう、ということを上司の方がお伝えしたとしても、「いや、目的はわかるけど、これだけ忙しいのにな」という(部下の)反応が起こってくるので。

頭で理解できるのと心で腹落ちするのはやはり違いますから。だからこういった施策を進めていく上では、上司の方のモヤモヤをまず吐き出すというか、その場で対話していくということですね。

どんなことを理解できていて、どんなことを理解できていないのかを共有できる場を作っていきながら、「それだったらやるか」というところの合意を作っていくんですね。

心を動かしていくプロセスを丁寧に踏んでいくことです。これは研修の場でも、説明会とかでもいいかもしれない。もしくは1on1をやる人同士の対話の場を作ってみるのも1つ(の手として)あります。心での腹落ちを徐々に徐々に作っていきましょうということですね。

上司同士で情報共有を行う

あとは、1on1の事例の共有。これも1つご紹介させていただこうと思います。実際に1on1をやった人がどう活用しているのか。それによって、どんないいことがあったのかを部門を越えて共有していくのがおすすめですね。

やはり、1on1はブラックボックスになっちゃうんですよね。ほかの人はどうやっているかわからんし、どういういいことがあるのかは、どうしても伝わりにくいところがある。

実際に横の関係性で共有することで、「こういうふうに使って、こういう、ええことがあるんや」と、自分との差分がわかるんです。

同じ立場の人が活用できているとわかることで、「じゃあ、自分もやってみよう」というふうに、目的と自分の現状との差がわかって、行動しようというトリガーになっていく。実際にやった人同士の事例とかノウハウを共有していく場を作るのはすごく重要ですね。こういう対話会をやってみるのもおすすめです。

部下に考えてもらうには時間がかかる

どんどんいこうと思いますが、もう1つ。先ほど、目的に対する理解、共感と書いたんですが、2つ目ですね。「上司が1on1に臨む時にどのような態度で部下に接するべきか理解をしている」と。

先ほどのものは1on1の施策に対する理解とか共感とかをお伝えしてきたんですが、これはどちらかというと、1on1の場のイメージです。

これは先ほども出てきましたが、上司のモヤモヤですね。「問題解決しなきゃいけない」「早く成果を出さなきゃいけない」。ごもっともですよね。

ですが、やはり自分で考えることは時間がかかりますし、上司が答えを提供し過ぎてしまうと、結局、上司が言って部下が聞く場になってしまう。「どっちの1on1やねん」ということになってしまいがちなので、どうしていくんだと。

対策としては、1on1を実施する時の心構えを伝えて理解してもらう。あと、そもそも部下に考えてもらうには時間がかかるんだと理解してもらうことが大事です。

自分が体験していないと理解できない

例えば弊社は研修の時、こういう伝え方をしていますということを具体的にご紹介しようと思います。

部下の問題を一方的に解決しようとしない。背景や思いを理解することに努めていきましょう。また、部下の中にあるものを信じて引き出す。ぜひこういったスタンスで部下の人と相対してくださいということを研修の場ではしっかりお伝えしています。

ですが、「これだけで大丈夫ですかね?」と思われた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

こういう「理解をする」とか「一方的に解決しようとしない」は、言葉ではわかりますよね。そりゃあ、大事だろうと。実際にそれができるかは別の話です。だから取り扱い注意なんですよ。

ここがミソなんですが。自分が体験したことのないコミュニケーションを人に対して提供することは難しいです。

上司が1on1のコーチングを受けてみる

例えば、ずっと指示や命令しかされてこなかった人が、「質問をして相手から聞き出すことが大事だ」と言われたとしても、言葉ではわかっても、本質的に体験としてはわかっていないから、それを人に提供することはなかなかできないです。

例えばですけど、自分が話を聞いてもらう中で、「こういう聞き方をされたら確かにいいな。考えが刺激されるな」とか(頭の中に)浮かんできたり、そういう体験を1個でもしてもらうと、「この感覚か」と(わかる)。

「これが傾聴するということ、質問を問いかけることなんだ」という、体験とスタンスが接合されることによって本質的に理解できる。「理解した。じゃあ、人にできる」フェーズになっていきます。

だから、上司自身が1on1や、関わり方を体験する機会を作っていく。これがものすごく大事ですね。

「じゃあ、それはどうすんねん?」ということなんですけど、例えば上司の方が1on1を受ける。これはシンプルですね。専業コーチ、社内コーチとあるんですけども、今はコーチングといって1on1を専門に仕事をしている人がたくさんいますので、そういったコーチングを受けてみるのもあります。

もしくは、社内コーチを設けている企業もあるんですけども、まずはやる人自身、上司自身がこのコーチングを受けてみましょうということですね。

体験の機会を設けると上司の意識が変わる

あとは、上司同士の相互1on1をやってみる。1on1を部下に対してやる人同士でお互いにやってみるからこそ、「もうちょっと、こういう聞き方をすればよかったんじゃないか?」とか「あっ、これは良かったね」ということを率直にフィードバックし合えるんです。

ですし、同じ立場の人ががんばっていたら、がんばろうと思うのも人間なので、上司同士の相互の1on1の機会を作るのもすごく有効な手段ですね。

例えば、これは弊社の研修のご紹介なんですけど。実際に上司役、部下役、観察者役と分かれて、お互いに1on1をやってもらいます。

これが重要なのは、上司役も大事なんですけど、部下役になる時に、「もう、ガチで受けてください」「研修のためじゃなくて、あなた自身が今話したいことを扱ってください」と(伝えています)。それをやることで自分が聞かれる体験ができるので、いかにガチでやってもらうかが大事ですね。体験の機会を作りましょうということです。

「実際に受けてみると、話をするだけで気づけるんだ」「受け手の気持ちがわかった」「課長同士の1on1もおもしろそうだね」と、実際にこういう声をいただきます。

先ほど「上司のスキルが」「質が」というコメントもいただきましたが、上司自身が研修をやっていてもなかなか質が上がってこないとすると、もしかしたら(1on1の)体験が足りなくて、研修の内容をちゃんと習得できていないというのは、よく起こることかなと思いますので、ちょっとお話をさせていただこうと思います。

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