【3行要約】 ・1on1を導入する企業が増えているものの「話すことがない」「つらい」といった声も多く、メンバーの自主性を促す場として機能していない実態があります。
・森大幸氏は「上司が話して部下が聞く場」になっている現状を指摘し、沈黙に耐えられず答えを与えてしまう上司の心理を解説しています。
・1on1を成功させるには「部下が自ら考えるのを促す」という本質を理解し、問題解決を急ぐのではなく、部下の気づきを引き出す姿勢が重要です。
前回の記事はこちら 1on1をGoogle検索してみると
森大幸氏(以下、森):ここまで、「1on1とは何か?」ということや状況をお話しさせていただいたんですが、どうでしょうか。1on1、うまくいっていますか? 1on1が増えているなら、それだけ問題も増えてくると思うんですが(笑)。
実際、「1on1」でGoogle検索をしてみると、予測入力で「やめてほしい」「話すことがない」「つらい」といった言葉がずらーっと出てきました。これは一般的に検索されている言葉なので、つらいと思っている人が多いのかなと。もしかしたらバスケの1on1のことを言っている人もいるかもしれませんが(笑)。
ただ、なかなか1on1は話すことがない。これはもう明らかに上司と部下の1on1の話だと思うんですけど、こういったキーワードが出てくる。
実際に、ご相談でこんな声をよく聞きます。例えば「全員に1on1をやっていると時間がない。それだけで1日が終わってしまう」と。これは業界や部署のニーズにもよると思うんですけど、「部下の人数が20人とかいるんですよ」「無理です」という。
1on1をやる側の上司も悩んでいる
森:次に、「何をどこまで聞いていいのかわからない。プライベートについてはどこまで聞いていいのだろうか?」とか。今はちょっとでも変なことを言うと、「パワハラだ」とか言われちゃうリスクもありますので、そういう観点で上司の方もすごく難しい状況に置かれているんだなと感じています。
次ですね。「部下に考えてほしいが、結局は答えを求められてしまう」。部下に考えてもらうために話を聞いているのに、結果、自分ばかり話しちゃっている。
明確な答えが出ない場合が多く、「この時間に意味があるのか?」「なんだかモヤモヤする」「すぐに成果につながらない」。みなさん、いかがでしょう?

もし「まだこんなことがある」ということで思い浮かんだものがあれば、チャットで教えていただければと思います。
さぁ、ここまで「1on1とは」というところ。1on1とは自分で考えることを促していくことが大事で、なぜそうなっているのかという社会的な背景や、実際のお客さんの状況も共有させていただきました。
よくある悪い1on1の例
森:じゃあ、ここから、1on1がなかなかうまくいかない状況は、具体的にどんなことがよく起こりがちなのか。その具体のシーンをみなさんに見ていただいて一緒に考えていく。「うーん、何が起こっているんだ?」「何があってそれが起こっているんだ?」「みなさん、職場でもこんなことないですか?」ということを一緒に考えていければと思います。
今からお見せする映像は、男性の上司と女性の部下が1対1のZoomで話をしている様子です。さぁ、先に問いを出します。このシーンの中でどんなことが起きているのでしょうか? 考えてみてください。
この後、印象に残った言葉やシーンをみなさんにおうかがいしますので、その時はぜひ一言チャットに入れていただけると、インタラクティブに進められるかなと思っています。では、さっそく動画を流していきます。

(動画が再生される)
話者1:お疲れさまです。
話者2:お疲れさまです~。じゃあ、さっそく今日の1on1を始めましょ~う。
話者1:よろしくお願いします。
話者2:最近、どんな感じですか? 何か気になることとかあります?
話者1:うーん、そうですね。
話者2:そういえばあれですよね、新婚っすよね。なんか旦那さんとうまくいったりというか、どうですか、大丈夫そうですか?
話者1:あぁ(笑)。そうですね、まあまあですかね(笑)。
話者2:まあまあ(笑)。まぁ、いろいろありますよね。僕も結婚したての頃、すごく大変だったので、よくわかります。