【3行要約】
・多くの社会人が仕事を「時間をお金に変えるつらい作業」と捉え、オンとオフを明確に分ける生活スタイルを理想としています。
・投資家の藤野英人氏は、仕事・学び・遊びをシームレスにつなげることで、より大きな成長と充実感が得られると提唱。
・時間を自分でコントロールし、あらゆる活動から学びを得る新しい働き方で、人生の徒労感や消耗感を減らすことが可能です。
「自分の時間を支配する」ことでストレスは減る
司会者:一般的に仕事というと、自分の時間をお金に変えるつらい作業であると。そのつらい仕事でお金を得て、あとは自分のオフの時間で思いっきり遊ぶみたいな、そういうオンとオフの区切りをつけたいという人は、社会人の中でも多いかなと思います。
藤野英人氏(以下、藤野):そうですね。
司会者:そんな中で藤野さんは、仕事の中でも遊びとか学びを見つける(とおっしゃっています)。自分の余暇時間の中でも、仕事につながることや学びを常に探していくほうが、より自分の成長余地が大きくなるのでしょうか?
藤野:そうですね。そうすると、どの時間も無駄でないということになるし、どの時間も楽しみであるということになる。あともう1つは、人に支配されている時間でなくて、自分が支配している時間が増える。
要は、多くの人がストレスに感じるのは、自分がしたいことではなくて、誰かによって強制されて、今の自分の時間を使っているということ。そうした徒労感とか疲労を感じると思うんですね。
でも、自分が自分の意思で、自分の時間を使っていると思うと、人生における徒労する感じや消耗する感じが減るんですよ。だから、自分の今の時間は自分がコントロールしていて、自分が差配しているんだという感覚がすごく大事だと思います。
仕事・学び・遊びをシームレスにつなげる生き方
ナレーター:そんな藤野さんにとって、仕事と学び、遊びの関係とは?
藤野:僕は全部オンだし、全部オフなんですよね。だから、こうやって動画で撮影をしています。これはみなさんに、僕の考えとか新しい情報であったり切り口を伝える場でもあって、それは僕の仕事でもあるので。
一方で、これは学びでもあります。自分の考えを整理したりする学びの場でもあるし、動画を使って、このような遊びをしているというところもあるので。仕事と学びと遊びというのが、わりとシームレスにつながった世界の中にあるように感じています。
だから、遊びでもあるし、楽しみでもあるから、あまり疲れることはない。そうすると、仕事を無限にやることができるし、無限にやったら結果も出る可能性が高くなるし、それは活動量が多いほど成功確率も上がりますよね。
もちろんストレスはないわけじゃないけれども、遊びとしての楽しみもあるから、結果的につらくなくやれるというところですね。
将棋から学んだ「相手の戦略を読む力」
ナレーター:藤野さんの趣味の1つに、将棋があります。将棋という遊びからは、何を学んだのでしょうか?
藤野:将棋も仕事のようにやっているし、仕事も将棋のようだし。どうやってつながった世界にしていくのかは、僕も非常に意識しています。
将棋とピアノに関しては、投資歴より長いんですよね。そういう面で見れば、長くやっているけど1円も稼いでない(笑)。けれど、自分の人格形成とか、人生にいろいろ影響を与えたものかなと思います。
父が将棋が好きで、話下手なほうなので、将棋で会話していたようなところがあるんですね。(父は)まあまあ強くて初段か二段ぐらいはあったと思います。それで父と将棋をしていて、将棋が好きになって。
当時、私が小学生とか中学生ぐらいの時に「将棋まつり」とかいうのが百貨店で行われていて。そこで有名な棋士さんがいて、将棋の解説をしたり、将棋の対局がありました、そこに行って将棋を指したり、将棋の本もたくさん読んでいました。
あと当時家では毎日新聞を取っていて、毎日新聞だと、A級棋士の対局と名人戦が載るんですね。今みたいにインターネットがない時代だから、実際に棋譜を並べて、解説を見ながら将棋を楽しんでいました。
将棋って何が良いかというと、自分と相手といて、自分の都合で物事が進まない。相手には相手の戦略があるから、自分の手と相手の手を両方読むというのが、将棋のすばらしいところなんですね。なので、相手の思想とか相手の考え方を読んで、それに対してどう対応していくのか。
要は、物事は自分の思うとおりに進まない。それから、相手との力関係で決まる。あと、全体の情勢を読む力が重要だということを学べます。
「スピード」と「タイミング」が勝敗を分ける
藤野:さらに、序盤戦は駒の損得が形勢にすごく影響を与えるんだけれども、後半はスピードが重要で、王様をどれだけ早く詰ませるかというところなので、必ずしも駒を持っているかどうかの損得だけではなくて、物量の問題ではなくスピードが重要。ゲームが序盤と後半だと重みが変わってくるんですよ。
そういうところも含めて、今どういう時間軸の中で、自分はどの局面で何をしているのか、という流れを見ながら考えていくので、思考の幅も広いんです。そういうことが、当然ビジネスであったり、投資であったり、さまざまなことに関連していると思いますね。
将棋から学ぶことも多いし、逆にビジネスから将棋にフィードバックされることもあって。ビジネスでやった経験が、また将棋に活かされるところもあるので、将棋とビジネスとか投資がつながった世界だと思います。
ビジネスと将棋は相互に影響し合う
司会者:将棋がビジネスに活きてくるという点で、俯瞰視するとか待つ力はなんとなくイメージできるんですけど、ビジネスの視点が将棋に活かされるというのは、どういう場面があるのでしょうか?
藤野:これはですね、僕は大学生の時にだいたいアマ二段ぐらいだったんですよ。それで、その後、社会人になってから、大学生の時ほど将棋をやらなかった。たまにNHKの将棋の番組を見るぐらいで、将棋からちょっと離れていた時代があるんですね。投資とか仕事をやっていた。
10年ぶりぐらいに将棋をする機会があったんですよ。だから、将棋を触ってなかったんです。その時の棋力を測ったら、アマ五段ぐらいあったんです。将棋を触ってないのに。それはなんでかっていうと、たぶん投資を通じて将棋が強くなったんですよ。
それはたぶん、俯瞰する物の考え方とか、損得を瞬時に判断することだと思うので、投資と将棋につながった世界があったんだと思うんですよね。ひょっとしたら、将棋的感覚を投資で活かしていて、投資の感覚・投資のレベルが上がるうちに、将棋的感覚が磨かれたという面もあったのかもしれません。