【3行要約】
・プレゼンテクニックは正しくても、多くの人には難しすぎて実践できないという課題があります。
・『シリョサク』最多登壇講師の石野太一氏は、「身の丈に合った」実践的なテクニックを提唱。
・「何者でもない」という謙虚な自覚を持ち、聞き手目線で5つの勘違いを正すことで、誰でも使えるプレゼン術を身につけるべきだと語りました。
シリョサクTVにエース講師・いのっち登場
いのっち氏(以下、いのっち):仕事をもっと。
岩本紘佳氏(以下、岩本):おもしろく。
一同:『シリョサクTV』です、お願いします。
岩本:今日は営業マネージャーとエース講師として、シリョサクの中で最多登壇の講師である、いのっち(石野太一)さんに来ていただきました。
いのっち:いのっちです、よろしくお願いします。
岩本:よろしくお願いします、ずっと出ていただきたかったんです。
いのっち:めちゃくちゃうれしいですね。もともと裏方をやっていたので……。
岩本:ショート動画の時に。
いのっち:ようやくカメラの前に出られたか、ということでよろしくお願いします。
岩本:よろしくお願いします。
プレゼンの“身の丈テクニック”を伝授
岩本:では今日はどんなお話をお聞きできるんですか?
いのっち:私は2024年に88回と、4日に1回ぐらい登壇しているわけなんですけれども。
岩本:すごいですね(笑)。
いのっち:シリョサク講師が紹介する「明日から使えるプレゼンテクニック」の本番編をお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いします。
岩本:お願いします。楽しみ。
いのっち:プレゼンテクニックって世の中にたくさんあると思うんですけれども、その中でも「身の丈に合った」テクニックは数少ないなと思っています。テクニックとしては存在するけど、なかなか真似するのが難しいものがあると思うので……。
今日の「キメヘン」としては「しゃべるの苦手だな、プレゼン得意じゃないな」という方のために「プレゼンはこうやればいいんだ」という、テクニックを紹介していきたいと思っています。
「キメヘン」でゴールをイメージする
岩本:ちなみに「キメヘン」というのは?
いのっち:ありがとうございます。「キメヘン」はシリョサクの造語で、資料とかプレゼンのゴール設定をするためのフレームワークです。
「聞き手」「メインメッセージ」「起こしたい変化」の文字を取ったゴール設定になっています。これを共有することによって「今日はこういうことを聞けるんだ」と、みなさんもゴールがイメージできるかなと思います。
本番編のテーマとして紹介したいのがこちらです。「プレゼンの勘違いを払拭しよう」ということでございます。
岩本:「勘違い」。
いのっち:何度も言いますが、テクニックとしては存在するんです。存在していて、それらって正しいし間違っているわけじゃないんだけれども、やはり多くの人にとっては扱うのが難しすぎると思っています。
実践をたくさんしているので、その中で感じた「これならこうやるといいよ」という5つをギュッとまとめて、紹介していきたいと思います。
勘違いその1 アイスブレイクで場をほぐす
いのっち:ということで、まず1つ目の勘違いです。「アイスブレイクで場をほぐす」。
岩本:これ、けっこうやっている人はいるんじゃないですか?
いのっち:そうですよね、聞きますよね。まずは柔らかくしましょうよ、とか、アイスをブレイクとか言いますから。なんですけど、(スライドに)書いてあるとおりトーク力がないと、むしろアイスになっちゃうんですよ。
岩本:カチカチのアイスに(笑)。
いのっち:そう、カチカチになっちゃう(笑)。けっこう触るのは危険だと思っています。我々は凡人です。凡人は、いきなり本題に入りましょう。
なるべく最短距離で「こいつの話は聞く価値があるな」と思ってもらうことが重要です。さっきの「キメヘン」がまさにそうだと思います。「今日こういうこと聞けるんだ、じゃあ最後まで見てみようかな」、そこになるべく1秒でも早くいく。
こいつがどんな人間かとか、「今日は雨で髪の毛がまとまらなくて……」とか、いらないんですよ。本題にガッといくのが大事だと思っています。
勘違いその2 スライドを読み上げない
いのっち:じゃあ2つ目にいきましょうか。これもありますよね。「スライドにある文字をただただ読みあげない」。これも間違っているわけじゃないです。正しいです。
正しいんですけど、文字情報がない中でしゃべるのが得意じゃない人がやってしまうと、イメージを自分で補完しなきゃいけなくなるのでけっこうしんどいんですよね。
岩本:しんどいですよね。
いのっち:なので、なかなか扱うのが難しいテクニックだと思っております。じゃあ何をすべきか。オーディエンスの「心の声」とか「変化」を読み上げていこう、ということです。
岩本:これも難しくないですか?
いのっち:いや、これはけっこういけるんですよ。例えば何かしゃべりました。それで、あまり反応良くない時は「あれ、正直ちょっとイメージがつかないって思っていますか?」みたいな。
「相手がこういうことを思っているだろうな」ということを代弁をすると、ぐっと一気に引き込まれるというか、もう1回戻れるんですよね。相手の心の声を代弁することによって、共感を作っていく動きが、この「心の声を読み上げる」です。
もう1個の「変化」は、どちらかというと研修に近い話です。例えばある話をする中で、最初に言ったキーワードがあります。
そのキーワードをラストに置いた時に「最初によくわからなかったキーワード、今全部聞いた時に意味がわかるようになりましたかね?」みたいなことを言う。
すると(相手が)「確かに今、この短い時間で自分はすごく変化できたんだ。ためになるな」となることがあります。スライド以外のところでは、この2つをやっていけるといいと思います。
岩本:確かに心の声は、もしパワポの内容に同意できなかったとしても「この人、自分のことをわかってくれているな」とか、そういった意味で心を許せますよね。
いのっち:まさに。たぶんシリョサクTVでヒロカさんがやっているのも、視聴者の声を代弁する役目だと思っているんですよ。
岩本:確かに、無意識に(笑)。
いのっち:だから聞きやすいというか。「キメヘンって何ですか?」とか聞いてくれることによって「そうそう、そこが知りたかったんだよ」みたいに(聞き手が)ぐっと入り込めるので、すごく大事な役目だと思っています。いつもありがとうございます。
岩本:ありがとうございます(笑)。
勘違いその3 大きな声でゆっくり話す
いのっち:ということが2つ目ですね。じゃあ3つ目です。「大きな声でゆっくりと」、これもよく聞きますね。
岩本:聞きますね。「声がでかいほどいい」って豊間根(青地)さんは言っていましたからね。
いのっち:(笑)。それは間違いないんですよ。声がでかいほうがいいのは間違いないんですが、これだけだとちょっと足りなくて、大事なのはやはりメリハリだと思っています。
(声が)でかいほうがいいとか小さい声がダメという話ではなくて、組み合わせる。最終的に目指したいゴールは「飽きさせない」だと思っています。
何度も言いますが、基本的に最後まで話を聞き続けるのはしんどいんですね。しんどいので、なるべく負を小さくしてあげる意識が大事になってくると思います。その時に肝心なのは、音量をとにかく上下させること。「波を作る」と私は表現しているんですけど、その動きが大事だと思っています。
令和の曲とかって、けっこう転調が激しい曲が多くなっていると言われていて、まさに飽きないような仕掛けがたくさんされているんですね。プレゼンでも、なるべく意識していきたいところかなと思っています。
勘違いその4 結論ファースト
いのっち:では次、4つ目です。「結論から始める」、これはどうでしょうか。
岩本:確かに「結論ファースト」とか、プレゼンじゃなくて就活とかでもよく言いますよね。
いのっち:これもMOREです。結論を言いました。そのあとに15分とかその結論にひもづく詳細を話された時に、聞き手は「あれ? 今何の話してるんだっけ?」と、結局見失ってしまう可能性があります。
結論から始めるだけだとまだ不足していると感じるので、GOODとしては「所要時間」。これを意識していただくとすぐに実行できると思います。
例えば「今から10分間、私が一方的に話しますので1回聞いてください。10分後に質問時間とさせていただくので、気になることがあったら、その時にぜひ聞いていただければと思います」みたいなことを営業のシーンとかで言うと、10分間の会社紹介とかも聞いていられるんですよね。
岩本:確かに。
いのっち:これがないままに「それではシリョサク株式会社、石野と申しまして……」みたいに話し始めると「この人の話はいつまで聞いたらいいんだろう」ってなっちゃうので、やはり安心しない。どんどん不安になってくるんです。
岩本:確かに。
いのっち:なのでなるべく時間とか、今回で言えば「5つあります」と言うと「今5つのうち4つ目まで進んだな」というのがわかる。そうすると、やはりこれも安心できる。常に相手を不安にさせない仕掛けが大事だと思っています。
岩本:確かにこれは大事ですね。アジェンダを載せるとか、トビラで区切りをつけるとか、最初に目的地を見せるとか。よく豊間根さんが言っているので覚えているんですけど(笑)、そういうところですね。
いのっち:いや、さすがですね。完璧に頭に入っている。
岩本:もうトレースしています(笑)。