【3行要約】
・新規プロジェクトを任された時、多くの人は「誰に聞けばいいか」と悩みますが、実は0→1を成功させるコツは「業務フローを見る視点」にあります。
・北の達人コーポレーション代表の木下勝寿氏は「0→1ができる人は地図を見るように事業全体を俯瞰し、業務に人がついていると捉える」と説明します。
・新規事業成功のカギは人探しではなく、まずビジネスモデルから必要な業務を洗い出し、その上で適切な人材を配置する思考法を身につけることです。
コツがあればどんなものでも0→1ができるようになる
——木下社長! 友だちが社内で突然、新規プロジェクトを任されちゃったらしくて、かなりピンチみたいなんですよ。
木下勝寿氏(以下、木下):ピンチなんですか(笑)?
——前例もなくて「周りに経験者もいないから誰にも聞けない」って困り果ててげっそりしちゃっていて。こういう新しいことって、どう進めたらいいんですか? 教えてください!
木下:新しいことをやる、いわゆる0→1のスキルというのがあって。0から1を立ち上げるスキルと、1から10をやっていくスキルがあるんですけども。世の中の大半の人って、たぶん1から10の工程に関わっているんですね。0から1を作ることができるとか経験がある人って、かなり少ないと思いますが、実はコツがあれば、意外とどんなものでも0→1ができたりします。
——そのコツ、ぜひ知りたいです。
0→1ができる人は地図を見ている
木下:まず私が考える0→1というのは、簡単にいうと、タスク切りスキルっていうやつですね。いろいろ曖昧な仕事とか、「こんなことをやらなくてはいけない」というのを具体的なタスクに落とし込むスキルになってきます。0→1ができる人は、初めてのことでも、何をどうやればいいかがわかるんですね。

これって経験や知識とはあまり関係なくて。例えば私だったら、北の達人コーポレーションというeコマースの会社を経営していながらラジオ局を買収して、まったく異分野のところでも経営をしているわけですよ。もちろん知識も経験もありません。なぜこれができるかというと、そういう目線を持っているからですね。
視点、ものの見方がぜんぜん違っていて。道に例えると、0→1ができない人って、道に立っていて、どこかに向かわないといけない状態を、周りの建物とかを見ていきながら「どこにどう行ったらいいか」って考えているんですけど、これだと絶対にわからないですよね。
——わからないですね。
木下:目に見えない部分なので。0→1ができる人ってどうしているかというと、地図を見ているんですよ。地図を見て、ゴールがここで、今自分がどこにいるのかというのが簡単にわかるんですね。地図を見ているのと建物を見ているのの違いが何か具体的に言うと、仕事とかにおいて地図を見ている人というのは、業務のフローを見ているんですよ。
業務のフローを見ながら、業務に人がついているという見方をします。周りの建物とかを見ながら判断しようとしている人って、人を見ているんですよ。

だから先ほどの質問であった「誰に聞けばいいかわからない」というのは、業務に人がついているのではなくて、人に業務がついているって思いながら見ているんですね。
人に業務がついているという見方をしている人は、人に聞かないとわからないんですが、業務に人がついていると思っている人は、業務のフローを見ていけば、どこで何をどうするが、すぐにわかるという感じなんですよ。
この視点を身につけると、新規プロジェクトとかを任されてもぜんぜん怖くないというのがあって。まったくやったことのないことをポンッと振られても、すぐにできる人っているじゃないですか。
——いますね。
木下:ああいう人って、そういう視点で見ているので、何をやってもできるんですね。なので、その視点を身につけると今後なんでもできるようになるので、がんばってほしいなと思います。
——ぜひ教えてください!
0→1ができる人、0→1ができない人の視点
木下:(画面を示して)今映っている図が、0→1ができる人と0→1ができない人の特徴だったりとか、ものの見方だったりを表にしているものです。

この中身を説明する前に、そもそも0→1ができる人、0→1ができない人の視点を絵で説明したいと思います。
まず0→1ができる人というのは、事業構造目線という言い方をしているんですけれども、業務に人がついているというふうな見方をしています。業務に人がついている観点で見ていると、事業構造を通じて、業務フローを理解していきます。
簡単にいうと、ベルトコンベアがあるとした時に、ベルトコンベアの全体が見えていて、その中で自分が今どの工程にいるかを理解している状態です。

逆に理解をしていない人って、ベルトコンベアの中にいて、前と後ろの人は見えているんだけれども、どういうところからスタートして、どういうところがゴールになっているかが見えていない状態。

商品が作られて、お客さまのもとに届いて、代金を回収するまでのプロセスの中に、どんな業務があって、自分はどの位置にいるかを客観的に把握している状態です。
図にあるやつでいくと、まず会社が商品企画をしだして、次に商品の開発に入ります。開発に入ってから、そのまま生産製造工程に移ったり、もしくは販売の工程のほうに移ったりしていきます。販売した時に、商品を売るために製造工程と販売工程から、納品工程に矢印が行って、そして納品されたあとに代金が回収される工程になって、事業が動いています。
それぞれの中に、AからB、CとかDとかという業務のフローが流れています。左上にいる人が「僕の役割は、販売工程のBの業務を自分がやっているんだな」と理解しています。そして「僕の成果を上げるためには、商品企画工程の中の別の工程のDの業務の精度を高めれば自動的に上がるんじゃないか?」というふうに思います。