見えていない問題を発見するということ
発生型、そのままずばり、起きた問題をどう解決するか。「でも、設定型の問題解決ってどういうこと?」という。
世の中に、発生型、設定型の説明というのは、Webサイトとかで検索するとあるっちゃあるんですけど、まぁ人それぞれにいろんなことを言っています。
よくよく見ると、「課題を設定するのが大事だ」と書いてあります。いや、それ、当たり前じゃないですか。だって問題があって、何が課題かを設定する。めちゃくちゃ当たり前だから、それは「なんちゃって設定型」だよねと。
何を設定するの? 発生型は、もう問題が起きている。設定型は、自ら目標を設定するような研修をやりたいよということです。
ただ、やはりもう発生型とか設定型とか、言葉がいろいろ出ちゃっているので、この同じような言葉を使うとうまく伝わらないなと我々は思いました。
研修名として設定型と言うことはあるっちゃあるんですが、「我々は何をしたいか、ちょっと違うふうに表現したほうがいいんじゃないかな?」というところで出てきたのが、「見えていない問題を発見するんだ」。会社の見えていない問題を発見するということですよね。
すでに発生している課題の解決では不十分
例えば、みなさんが会社とか組織で働いていると、上司、もしくは会社から「ねぇねぇ、この問題を解決してほしい」と言われたとします。これが見えている問題です。「ちょっと売上が足りないよ」とか、「利益が足りないよ」とか、「業務ミスが起きたよ」。その問題を解決してほしいと。
これはこれでやらなきゃいけないけども、今、求められているのって、みなさん自身から「もっとこういう姿を目指していきませんか?」ということを自ら提案し、それを実現することが求められているんですよね。これが我々が感じたお客さまのニーズなのかなと思います。

対自社でもそうなんですが、対お客さまでもこれが重要なんだと。お客さまから「この問題を解決したい」と言われれば、みなさん何かしら提案します。これはもちろんやるんだけど、それだけでは物足りない。
だってもう、お客さんが困っていることって、昔に比べると少なくなりました。もう超便利な世の中です。かつ、具体的な要件が決まっている提案依頼だと、コンペになりますよね。そうすると価格勝負で、なかなか勝ち切れないということもある。
技術だけでは他社と差別化できない時代
また、「そもそもお客さんが何に困っているか」が曖昧だと。だからお客さんが明確に困っていることを言われた時に解決しているだけだと、じり貧になっちゃう。
だから見えていない問題を発見してあげることが大切なんだということです。「もっとこういう姿を目指していきませんか?」と、見えていない問題を発見し、それを解決してあげる提案をする。我々は、これが今求められているのかなと感じました。
これがどの業界でもそうだと思うんですが、特に感じているのがIT業界、SIerさん。一言目には「上流からだ」という声が聞こえてきます。要件定義されたものをなんとか実現したいと言われたら、どこの会社も技術には自信ありますので、それはもうお任せくださいと答えられる。ただ、技術力だけで他社と差別化するのは難しい。
「こういう姿を目指していきませんか?」
そうじゃなくて、そもそも何に困っているか、どこを目指すかの会話ができないといけない。つまり困っていることを解決するんじゃなくて、IT課題の上にある業務課題、さらにはその上の事業課題とか経営課題を踏まえた上で「こういう姿を目指していきませんか?」っていう会話ができないと業者扱いされてしまうし、なにより信頼されないし、お仕事も広がっていかない。
仕事を広げるためというよりもお客さまのために、見えている問題だけじゃなくて見えていない問題からやらなきゃいけないのかなと感じています。
それをまた違ったかたちで整理すると、この1枚です。問題とは目標と現状のギャップ。左下が、見えている問題。つまり過去から現在において、目標となる一定の基準に対してギャップがある。利益が足りない、もしくは退職者が増えてしまった。そんなはずじゃなかったけど多くの方が辞めちゃった。それはなんとかしなきゃいけないので解決する。

ただ、それだけじゃないです。現在から未来において、「別に悪い状況ではないけど、もっとこんなふうに良くなれるよね」。これが、見えていない問題を発見するということです。
今の時代に求められる問題解決の視点
ただ、それだけじゃないです。現在から未来において、「別に悪い状況ではないけど、もっとこんなふうに良くなれるよね」。これが、見えていない問題を発見するということです。
でも、問題解決っていうと、正直、問題が起きたみたいで暗い感じなんですよね。問題とは目標と現状という定義なのに、見えている問題のほうをイメージしてしまう。
もちろんそれもやらなきゃいけないけど、見えていない問題を発見することもやりたい。一言で言うと、「もっと成長できるよね」。
成長できるっていうのは売上とか、別に規模的なものだけではありません。「もっと顧客満足度を上げられるよね」とか、「もっと地域に貢献できるよね」とか、「もっと生産性を上げられるよね」とか、「もっと組織をより良くできるよね」とか。
何かが起きてからもぐら叩きのように改善するんじゃなくて、もっとより良い未来を作っていくことも大事だよねというところが多くの企業で求められているということなのかなと思っています。