【3行要約】 ・「片付けパパ」として活動する大村信夫氏は整理収納の鉄則として「適正量の決定」を挙げ、時間管理でも同様の考え方が有効と説明します。
・時間管理においても「締め切り」より「着手タイミング」を意識することが重要です。
・完成後の報告より「2割程度での進捗共有」が効果的で、締め切り前の提出が評価につながります。
前回の記事はこちら 収納スペースも「腹8分目」
大村信夫氏:じゃあ、こんな感じでもう1個だけ、片付けの物理的なところを伝えさせてください。「自宅や職場を片付けます。収納スペースに入れる物の量はどのぐらいの目安にすればいいでしょうか」。A、8割。B、10割です。こちらはどうでしょう? Aのほうが多めですね。ありがとうございます。

これはもちろん両方とも考え方だったり、メリット・デメリットがあります。収納と言っても、例えば宅配便のように一時的に物をどこかからどこかに効率よく動かすために収納する場合は、Bの10割でございます。
一方、いろんな方と使う職場の収納棚だったりお部屋の棚みたいな日常的なところになると、Aの8割を提案させていただいております。
これはやはり、腹8分目という言葉があるように、あまりにも詰め込みすぎてしまうと、そこから物を取り出したり、急に物が増えた時に入れられなかったりする。それが物が溢れてしまう原因となりますので、収納スペースには8割をご提案させていただいております。
ここで考えていただきたい収納の重要な考え方なんですが、収納は漢字で書くと収める・納めるみたいな感じで、すごくぎゅうぎゅうなイメージがあると思います。そうやってしまい込むのではなくて、あくまでも収納はスタンバイすることなんだよと考えていただくのがいいかなと思っております。
締め切りよりも着手タイミングを意識する
そこで整理収納アドバイザーでは、収納の5つの鉄則を習うんですよね。適正量の決定、動作・動線にかなった収納、使用頻度別収納、グルーピングの効果、定位置管理などいろいろあります。「適正量の決定」は、8割ぐらいにすることがまず1番目に書かれています。
これも語り出すと1時間かかってしまうので、今日は割愛させていただきますが、こちらの本に書いてありますのでよかったら参考にされてみてください。
整理整頓の視点で時間管理を効率化
続きまして第3問目にいきます。ここからタイムマネジメント、時間管理についてのお話しをさせていただきます。
タイムマネジメントに関してです。「意識すべきなのは、A・Bどちらでしょうか」。A、締め切り時間。B、仕掛かり時間。これはいろんなケースがあるので、もちろんその場その場で違いはあるんですけれども、意識していただきたいという意味での問いかけとなります。

今、チャットを拝見すると、Bの「仕掛かり時間」が多かったですね。もちろんAの方もいらっしゃいます。
ただ一般的に、やはり締め切り時間はみなさん言われなくてもけっこう意識されると思うんですよね。でも、いつから仕事に着手するかの時間は意外に意識されていないケースが多い。という観点で、私のほうでは仕掛かり時間を意識すべきだと思っております。
まずは着手して作業時間を見積もる
こちらに「仕事のスケジューリング」と書かせていただきました。説明すると、この1、2、3、4、5、6、7、8、9、10というのは、例えば業務日ですね。1日、2日、3日……という業務日だとします。ここではいったん土日は省いて、あくまでも仕事をする日という前提にします。

じゃあ10日後の10日が締め切りだとして、依頼されたのが0日目だとします。実際に依頼された仕事が5日ぐらいかかるかなと見込んだ時に、どうやってスケジューリングするかを、例として書かせていただきました。

2つあります。あまり推奨しないのが、5日あったら10日後が締め切りだから、6日目から設定する。ギリギリ設定はやはり余裕がないですし、もしこの間に何かがあった場合、締め切りをオーバーする可能性があります。
おすすめはこちらの、まずは仕掛かる。依頼をいただいたら、少しでもいいので仕掛かるのを徹底していただきたいなと思います。
仕掛かって、残り時間を配分して実施していただきたいですし、2日前など、余裕を持って終わらせるように、締め切り自体にも余裕を持っていただきたいなと思っております。
やはり、仕事がたくさんあった時にはどうしても「デッドライン仕事術」みたいなものも流行った時があって。要は、締め切りがあるとよりパフォーマンスを発揮できるとか、そういうものがあったんです。自分だけで完結する仕事だったら、それもなきにしもあらずかなと思うんですけれども。
やはり他の方と仕事をする上では、デッドライン仕事術はあんまり機能しないなと思います。それを経てから、僕はこういうことをやり始めたというエピソードがございます。
後回しにしてしまった時の失敗エピソード
何かというと、とある会社さんから講演の依頼があって、「こういう内容を意図して講演をしてほしいので、いったん提案として資料をこの日までに返してほしい」という内容でした。「詳細はメールに添付してありますので」となっていました。
私はそれを受けて、「じゃあ、まだ日程に余裕があるから、もうちょい先に確認すればいいかな」と思っていて。実際に、締め切りの3日前くらいに添付(ファイル)を開こうとしたら、担当者の方が間違えて違うファイルを添付していたんですね。
それに気づいたのが締め切りの3日前ぐらいだったんですよ。その時に「あぁ~、困った」となって。すぐに担当者の方に連絡したら担当者の方も、「あ、ごめんなさいね」みたいな感じで、ちゃんとした正しいファイルを送っていただいたんですけれども。
その時点で、会社の担当者には私がその仕事を1週間ほど寝かせていたのがバレました。それに、担当者と連絡を取れたからまだよかったものの、もしお休みだったらもうアウトだったんですよね。
なので、そういうのも含めて、まずは仕掛かって、最低限のところまでやって見込みまで立てるのは重要かなと。
2割程度で進捗報告
締め切りは誰しも意識しますが、やはり仕掛かりはどうしても忘れてしまうところがありますので、意識していただければなと思いました。
じゃあ次に、業務の生産性を上げる際に意識するべきなのはA・Bどっち?

これは例えば上司やクライアントから頼まれた時に、完成させてから報告するのがいいのか、2割程度で進捗報告をするのがいいのかというところでございます。
こちらは、ほぼほぼみなさんBみたいですね。この「2割程度で上司に進捗報告する」をおすすめさせてください。みなさん合っていたので一緒かなと思っておりますが。
先ほどの仕事のスケジューリングと同じチャートで説明させていただくんですが。ギリギリで設定はダメよ、まずは仕掛かるという、さっきと同じグラフです。
少しの工夫で感謝されることも
ここで重要なのは、2割ぐらいできたタイミングでいったん上司とかお客さまに見せて「だいたいこんなイメージですか」というのを確認する。それによって「ああ、そういうことです。このまま進んでください」なのか、「いや、ちょっと違いますね」みたいなフィードバックをいただけるんですよね。
そうした上で進めたほうが手戻りが少なくなりますので、一番効率がいいかなと思っております。それを踏まえて、残りの質問を実施させていただきます。
あとポイントは、僕がこれをやるようになってから、けっこういろいろと評価をいただけているなと。締め切りがあったら当日ではなくて、だいたい2日前ぐらいに送ると、先方からは「助かります」「ありがとう」とけっこう言われます。若干締め切りを前倒しして送るのも手かなと思うので、これもやってみるといいかなと思います。
私が「どうやっていろいろタイムマネジメントしているんですか」と言われる時に、けっこうやっているのが、まずは仕掛かって見積もりを出して、若干早めに出すのが多いかなと思っております。それによって生産効率も上がっているんじゃないかなと感じております。