【3行要約】・年商100億円企業 株式会社 北の達人コーポレーション創業者の木下勝寿氏が“成功するために20代で捨てた習慣"について紹介します。
・木下氏は、他人を出し抜いて得をしようとする行動は、社会的信用を失い長期的な成功を妨ぐことにつながると提言します。
・「自分が得をする順番は最後」という原則を掲げ、まず相手に得をさせることの重要性を強調しました。
前回の記事はこちら 自分が得をする順番は最後でいい
木下勝寿氏(以下、木下):次ですね。「他人を出し抜くこと」。これをやめようと思いました。
他人を出し抜いて得をしようというのは、「自分自身が相手よりも得をしよう」とか、「相手を貶めて得をしよう」という感じなんですけども、誰しも出し抜かれると嫌ですよね。あんまりいい気がしないですよね。ということは、他人を出し抜くことは、相手をいい気にはさせないんですよ。
他人をいい気にさせなくて、社会において成果を出していく、成功することって、本当にできると思いますか?
「成功する」というのが「お金」だとした時に、相手に嫌な思いをさせてお金をもらうことはできますかという話ですね。詐欺師だって相手をのせますよね。
司会者:確かに(笑)。
木下:そう考えると、まず基本的には、社会の中でお金のやりとりをして、他人をいい気持ちにさせることが大前提なんですよね。人とお付き合いする際は、まずは相手に得をしてもらう。自分が損をする必要はぜんぜんないです。誰かに何かを施すというのは、損をしなければやってもいいわけじゃないですか。

自分が得をする順番は、絶対に最後という感じですね。そうでないと、相手からの信用って得られません。信用を得られない人が、本当にお金持ちになれると思いますか? 成功できると思いますか? という話ですね。
創業期はほとんど無給だった
木下:例えば、会社のオーナーは基本的には何か商売をして、お客さまからお金をいただきます。お客さまからお金をいただいて、もらったお金を先に従業員に払ってから、残ったお金をもらうわけですね。自分だけ先に取って給料を社員に払わないと訴えられますよね。自分は給料を取れなくても、先に絶対にみんなに払うというかたちです。
今はそれだけ社員に払って、自分が取ってもたくさん残るぐらいありますけども、まだ会社が小さい時って、僕が社員に給料を払ったら、自分の分はないんですよ。社員にコーヒーを奢ってもらったりしていましたけれど(笑)。

その代わり、例えば社員には絶対に、働いてもらった分は定額払わないといけない。成果が出ようが出まいが、社員の権利は最優先で守ります。守った後に残ったものはもらってもいいですよとなった時に、儲かるようになってきたら、社長のほうがすごく多くなってくるという感じなので。
本当に儲かってくると、社長って給料をたくさん取れますよねということなので、「社員の権利を最優先した上で、最後に得をしましょう」と思いますね。社長がまず先に(お金を)取って、残ったら社員に配る会社には絶対に入らないですよね。
司会者:入りたくないですね。
ギブすることは「損」ではない
木下:ということは、その会社がうまくいくってあり得ないんです。社会の中で生きていこうとすると、先に相手に得をしてもらって、後で自分が得をする仕組みにしていないと、成功は難しいので。

まずこの考え方を知ると、他人を出し抜くなんてあり得ない世界なんですね。まず、相手に得をしてもらう。相手の権利をきっちり守る。その上で自分が得をするというところですね。他人を出し抜く考え方は捨てました。
司会者:世の中には搾取してくる人がいる中で、そういう人に得をさせてあげようとすると、やはり「自分が損をし続けるんじゃないかな」と不安になると思うんですけど、搾取する人にはどう接したらいいですか?
木下:「損」って、具体的に何を損している?
司会者:たまに「これをやって」「あれをやって」とか、労働力をひたすら求めてくる方がいると思うんですけど。
木下:求められて、自分は何の損をするの?
司会者:「何も返ってこないかな?」という不安があるのかなと思いました。
木下:それ、損をしている状態なの? 得をしようとして、できなかったかもしれないね。
司会者:得はしてないかもしれないですね。
「具体的に何を損した?」
木下:得はしていないよ。だから、別に「損して得取れ」ではないんです。まず、相手に得をしてもらいましょう。その後に、自分が得するかもしれない。しないかもしれない。大半はしない。でも、損はしていないよね。
司会者:そうですね。その姿を見てくれてはいますよね。
木下:「これをやって、やって」と言われて、嫌な場合は別に断ったらいいわけです。ギブアンドテイクの、テイクするためにギブをしているんですよね。
司会者:そうだと思います。
木下:テイクできなかったという話で、相手に得をさせようという話はぜんぜん違いますよね。
司会者:確かに。おっしゃるとおりです。
木下:その結果、相手が得をくれる場合もあれば、くれない場合もある。大半はくれないと思います。なんだけども、それを見た時に、「あの人はいい人やな」と周りが思ってくれると、他のところから得をもらえますよね。
司会者:そうですね。人間って損をしちゃうのが怖いと思うんですけど、そう考えると損をしていなかった。
木下:損していない。損している気持ちになった時に1回考えてほしいのは、「具体的に何を損した?」という。ほぼ得をしていないというだけの話。
司会者:そうですね。だって今、私は答えられなかったです(笑)。
木下:得をすることばっかり考えているから、損をしている気になるだけであって、何も損していない。