最初の10パーセントだけガチガチに練習する
いのっち:じゃあ次のお品書き、何か気になるのありますか。
岩本:そうですね。じゃあ「ガチ10パーセント」。
いのっち:ありがとうございます、「ガチ10パーセント」。これは私のお気に入りなんですけれども、最初の10パーセントだけガチガチに練習しようということでございます。先ほどもお伝えしたとおり、プレゼンは本当にライブ形式だと思っています。その時に、やっぱりなるべく反応を見ながらやっていくとなった時に、さっきも言ったように不確実性が大きいと。

プレゼンの最初の10パーセントは、自己紹介とかタイトルコールとか、かなり自分自身でコントロールできる部分なので、ここでつかみを持つ。
具体的に言うと、漫才だと最初の1ウケ目を早めに持ってくるといいみたいに言われているらしいですけど。プレゼンでも同じだと思ってまして、最初の10パーセントの時間でつかみにいく。具体的には「うんうん、なるほど」みたいな。なんかそういう顔を作れると後はけっこう自分自身も波に乗れるんですけど、逆になっちゃうと焦りが焦りを生んでしまう。
岩本:そうですね。
いのっち:もう最悪の負のスパイラル。
岩本:最初から最後まで「この人何言ってるんだろうな?」みたいな。
いのっち:そうなんですよ。で、自分でも思うんですよ。こいつ何言ってんだ! みたいになってくるんで、最初の10パーセントだけでも練習しておくと、かなりスムーズに進められるかなと思うので、これもお勧めです。
これ100パーセントじゃないのも実は重要で。100パーセントやっちゃうと、これはこれでなんか台本と言うか、なんかスピーチみたいになってしまって相互性が失われていくので、10パーセント、つかみ、徹底的に練習するのがお勧めだと思ってます。
岩本:なるほど。
“これだけ覚えて帰ってほしい”という概念を1つ決める
いのっち:じゃあ残り2つですね。「THM」と「ZZZ」。どっちもアルファベット3つなんですけど、いかがでしょう。
岩本:なんか卵かけご飯(TKG)とかしか知らないんですけど、「THM」ってなんの略かなぁみたいな(笑)。
いのっち:確かにTKG。じゃあ「THM」いきましょうか。これは実は用語として私が作ったものではないです。研修業界でTake Home Messageといわれる、要は「これ持ち帰ってね」っていう知識のまとめみたいなものです。
これはプレゼンとか、特に長時間になればなるほど、いろんなものを詰め込んで全部覚えて帰ってもらおうとするんですよ。でもそうすると、例えば10個のボールを同時に投げられたら、1個もキャッチできない。
岩本:確かに。
いのっち:なので1つ決めて、この1つを確実に取ってねって、目を見ながらパスしてあげる。そういうプレゼンをしたほうが結局持ち帰れるんですよね。なので2つ、できれば1つに絞り込むのが大事だと思っています。この1つだけ持ち帰ってほしいという概念を決めて、「もう繰り返し言うんだ」というところを最初に決めておくといいのかなと思います。
詰め込みすぎて「全部盛り」はNG
いのっち:紘佳さん、営業をやっていると思うんですけど、このへんを意識していたりしますか。
岩本:いやぁ、そうですね。けっこう私は全部盛りみたいになっちゃってたかもなと思いました。
いのっち:逆に10個のボールを投げるタイプ(笑)。
岩本:私は今、技術営業として営業に携わっているので、この技術の話をし始めちゃうと、やっぱけっこう深くまで入っていかなきゃいけない時があって。
いのっち:ああ〜、確かに。
岩本:でもやっぱりよく先輩とかと話す時に、「量が多すぎると、たぶんお客さんはどこが大事かわかってないよね」って。
だからまず、1つのシンプルな答えを伝えて、「ここだけ理解してもらえばとりあえずはいいや」って、こっちも気軽な気持ちでいったほうがいいなと、日々感じています。
いのっち:すばらしい先輩の教えですね。まさにそれがTake Home Message。「THM」だと思っておりますので、本当にどんな時にも使えるテクニックかなと思っています。
ふだんより1〜2時間多く寝る
いのっち:じゃあラスト、残りました「ZZZ」。紹介していきます。
岩本:これはもうなんとなく予想がついちゃいました。
いのっち:ええ!?。予想つきます? すごい。じゃあ予想を本当に裏切っちゃうと思うんですけども、見ていきましょう。「ZZZ」、こちらです。ぐっすり寝る。
岩本:絶対そうじゃん(笑)!
いのっち:本当ですか。なんか略語っぽい流れでずっときてたんで、ここだけなんにも略語ではなく急に絵文字みたいな概念になったので、私としては裏切りのつもりだったんですけれども(笑)。

これはふざけてるように見えて、実はけっこう重要です。さっきも言ったようにもう何度も言います。プレゼンはライブです。ライブなので、その場その場での対応が必要になるので、その時に何が重要か。
やっぱり頭がクリアになってないといけない。だからこそさっきの「ふくみちばし」とかの要素もあるんですけど、やっぱり寝てすっきり、ベストパフォーマンスっていう状態を自分で作りにいく。これはまさに前日にできる準備だと思っておりますので、焦って徹夜しちゃうとかもう最悪、愚の骨頂です。
岩本:いやぁ、本当に。
いのっち:ぐっすり寝ましょう。いつもの1時間、2時間プラスで睡眠時間を取るくらいでちょうどいいと思ってます。私は昨日8時間ちゃんと寝ました。
岩本:すばらしい。
「アドリブでなんとかなる」は幻想
いのっち:ありがとうございます。以上、5つのお品書きを紹介させていただきましたが、最後にTHM、本日のまとめですね。こちらです。アドリブでなんとかなるは幻想。もう何度も繰り返します。プレゼンはライブです。プレゼンはライブなので、ガチガチにどこまでも準備するのは無理なんですが、だからと言ってじゃあ準備しなくていいやというのは駄目です。我々凡人にはできないことです。
なので「人事を尽くして天命を待つ」ということわざがありますけれども、まさにそのように。あとは本番はお客さんを見ながらやるだけだと、それ以外の準備はやりきった。そういう心得になっていたら、もう前日のまとめとしては完璧というところでございます。いかがでしょうか。
岩本:そうですね。でも、この「アドリブでなんとかなるは幻想」は本当にそうだと思うし、ぐっすり寝るためにもやっぱり日々のしっかりした準備をしないとなと、すごく思いました。やっぱり一夜漬けとか、1週間前にやばいやばいってなって作った資料って、どうしても完成度が低いじゃないですか。
いのっち:間違いないです。
岩本:だから日々ちゃんと先のことを考えて準備しておくってことが重要なんだなって、あらためて思いました。
いのっち:最高のまとめをありがとうございます。ということで、みなさん。明日プレゼンになった方はこの動画を思い出して、ぜひ1つでも実践していただけるとあなたのためになるかなと思いますので、よろしくお願いいたします。