長すぎるメールを読みやすくするには?
豊間根:ということで、3つのポイントを見てまいりました。ちょっと今のポイントを踏まえて、とあるケーススタディを考えてみたいなと思います。
今から、とあるイケていない鬼長い文章を出しますので、それを「項目に分ける」「見出しをつける」「どうしてほしいかを書く」の3つのポイントに則して、どう改善していくといいかをちょっと考えていきたいなと思います。内容がこちらですね。長い!
岩本:長い!(笑)。
豊間根:「このお題を作ったのは誰だよ?」っていうね。
岩本:動画向きじゃなさすぎ(笑)。
豊間根:長すぎだろっていう。「YouTube」でこれをちゃんとじっくり読んでくれる方って何人いるのかという話なんですけど。
岩本:読んでほしい。読んでもらいましょう。
豊間根:せっかくだから(読みましょう)。開発部の高橋さんという人が企画部の佐藤さんという人に、お礼といくつかのお願いをしているメールなんですよ。
「昨日はお忙しいところ、お打ち合わせのお時間をいただきありがとうございました。無事に社内でも、とある企画の社内承認が取れて、プロジェクトができると決まりました。予算ももともと考えていた予算よりもさらにプラスアルファでもらえて、ありがたいです。詳細な打ち合わせをぜひさせていただきたく、お時間をいただきたいです」。
「(打ち合わせは)3月中がいいです。時間は1時間程度で、メンバーはこんな感じです。山本課長(の参加)は任意です。可能な範囲で先だってサンプルを作っておきたいから、作成の担当者が開発部なのか企画部なのかちょっと決定できていないので、山本課長と決めてほしい」。
「最後に、そのプロジェクトメンバー全員の写真を掲載したスライドを1枚作りたい。なので、全員の顔がわかる写真を1枚提出していただきたいと企画部のみんなに伝えてほしい。これを3月中に欲しい。お願いします」と。
岩本:長すぎ(笑)。
豊間根:長すぎる。じゃあ、ヒロカさん、こういう文章があった時に、まずさっきの「項目に分ける」で言うと、どう分けましょうか?
「報告」と「お礼」に切り分ける
岩本:でも、やりたいこととしては、まず「お礼を言いたい」というのはありますと。プラス、伝えていることとしては、「キックオフのミーティングをやりたいです」と「スライドを1枚作成したい」の2つですかね。
豊間根:そうですね。あともう1個の要素は「何かのサンプルを作りたい」という。
岩本:「サンプル」か。その3つの項目に分けるといいかなと思います。
豊間根:いいですね。さらに言うと、「報告」と「お礼」という、たぶん相手にアクションを求めない話とアクションを求める話の大きく2つに分かれています。かつ、アクションを求める話が具体的には3つある階層構造になっているので、その階層を示しながら文章の全体像が見えると、よりいいかもしれないですね。
見出しで言うといかがでしょうか?
岩本:「○○プロジェクトのお礼とご報告」みたいな感じですかね?
豊間根:それはどっちかというと見出しというか項目名なんだよね。要するに報告とお礼に関しては「承認が取れました。ありがとうございます」がまずあります。
例えば3つの依頼の1個目は「会議を設定してほしいです」。2個目は「担当者を決めてほしいです」。3つ目は「写真を集めてほしいです」。ということが、要するに見出しになるんですよね。
「プロジェクトを進めていくにあたりまして、プロジェクトメンバー全員の写真を掲載したいが、どうたらこうたら……」みたいなところが書いていなくて、「要するに全員の写真を1枚ずつ集めてほしいです。なぜかというとこういう背景があります」と、その項目ごとに「要するに何なのか」がわかるとよりいいと思います。
「どうしてほしいか示す」というところで言うと、このメールは比較的できていますね。「参加してほしいです」「決定してほしいです」みたいな感じで、けっこうちゃんとタスクを相手にお願いできているので、これは比較的いいですね。
「察してほしい」という甘えたメールを書く人
豊間根:けっこうよくありがちなのが「困っているんですよねぇ」みたいな(文章です)。「自分がこれからアクションをどう取って(いけば)いいかを導いてほしい、察してほしい」みたいな甘ちゃんメールを書く方がけっこういるんですけれども。
岩本:たぶん、けっこうチャットでありがちですよね。
豊間根:そうそう。「誰か助けてくれないかな~」みたいな。オーナーシップがゼロみたいな人もけっこういるんです。けれど、この人はちゃんと話を進めようとして依頼をしているからすごくいいですね。こういう前提で、最初はこんな感じにするとだいぶ見やすいかなと思います。
改行も地味にけっこう大事です。要するに「ありがとうございました」「承認が取れました」「予算が取れました」と(改行して見やすくします)。
あと地味に「10,000,000円が12,000,000円になりました」というのも「0」がいっぱいあると訳がわからないから「10百万円」にするとかも、見やすさの上ではけっこう大事だったりしますね。
岩本:確かに。
項目ごとに番号を振る

豊間根:あと、これもある意味見出しなんだけど、「『今から3点対応してほしい』という話をしますよ」という前振りをした上で、その3点にちゃんと対応する感じで①②③ってつけてあげると、メールを上から読んでいって、「今から3つ依頼があるんだな。あぁ、この①②③か」というのがぱっと見てわかりやすい。
要するに「日程と会議(室を)調整してください」「担当部署を決めてください」「写真を集めてください」です。(また)「①のキックオフに関しては、細かい情報はこんな感じですよ」というのを後につけてあげるかたちで話してあげると、わかりやすくなりますね。
岩本:ぜんぜん違いますね。
豊間根:ぜんぜん違いますね。これを読み解く苦労を考えたら、こういうふうにちゃんと整理されているとやはり明らかに読み取る側の工数が違うと思います。人の時間を奪わないためにも、テキストコミュニケーションをわかりやすくするのが本当に大事なのかなというところですね。
ということで、3つのポイントを見てきました。ヒロカさん、(感想としては)どうでしょう?
岩本:やはりケーススタディを見て思ったのは、ミスリーディングとかがあるかなと思いました。こちら側としては、対応を3つお願いしたとしても2つに見えちゃったりとか、「これは対応をお願いされているのかつぶやきなのかどっちなんだろうな」みたいな。
豊間根:あるね。
岩本:そういうところでまた仕事が滞ってしまうこともあると思います。最初からこうやって丁寧に書いてくれればわかりやすいですし、コミュニケーションの齟齬も後で起きづらいなと思います。ちょっとがんばってこのようなかたちで書きたいなと思いました。
豊間根:間違いない。ということで今日は、メールやチャットをはじめとしたテキストコミュニケーションのコツのお話をしてきました。「項目に分ける」「見出しをつける」「どうしてほしいかを書く」の3つを意識して、ぜひみなさんも効率のいいコミュニケーションや仕事の進め方をしてください。