【3行要約】
・メールの書き方ひとつで仕事の効率が変わることは知られていますが、多くの人が「ご確認お願いします」で終わらせてしまう問題があります。
・シリョサクTVの豊間根氏は「メールは人によってセンスが出る」と指摘し、日本人の会議時間の長さとメールの質の関係性に言及。
・相手が返信しやすいメールを書くために、「項目に分ける」「見出しをつける」「どうしてほしいかを書く」の3つのポイントを実践すべきだと提案します。
仕事がうまくいく「メール」の書き方
豊間根青地氏(以下、豊間根):仕事をもっと。
岩本紘佳氏(以下、岩本):おもしろく。
豊間根・岩本:「シリョサクTV」です。お願いしまーす!
豊間根:今日はメールの書き方の話をしようと思います。ヒロカも仕事でメールを書きまくると思うんですけど、メールって意外と難しいし、けっこう人によってセンスが出るじゃないですか。
岩本:はい。
豊間根:仕事で書くメールを、どういう考え方でどういうふうに書けばうまくコミュニケーションが回るのかを、今日は我々なりのノウハウをお伝えしていきたいなと思っております。
まず、なんでメールが重要かというと、大きく3つあるかなと思っています。1個目は、まず会議が短い時間で済む。日本人ってぜんぜん会議しすぎなんですけども。
岩本:(笑)。
豊間根:メールでちゃんと言語化して、わかりやすくアウトプットして、その認識が統一できれば、要らなくなる会議ってめちゃくちゃあるんですよね。
岩本:確かに。
豊間根:あるいは、どっちかというとメールというか会議の話なんだけど、いちいち電話や会議をしたり人の時間を使わなくても、非同期コミュニケーションで話が済むことが増えて楽になるのが1個目です。
「言った言わない」論争をなくすために
豊間根:2つ目は認識のずれが減る。よく「言った言わない」論争というか「いやいや、18日までだったでしょ」「いやいや、20日までって言っていたでしょ」みたいな、「言った言わなかった」論争が減ります。
メールというよりかは議事録に近い話だけども、言語化して残すことによって、コミュニケーションロスがなくなるということ。
3つ目は、2つ目に近いんだけども、AさんとBさんがやり取りをした時に、「口頭で終わらす」「電話で終わらす」だけになってしまうと、それを上司が把握していなくて「いやいや、そんな話はぜんぜん聞いていないけど」とか、リスクがあることをしてしまうことが起きちゃいがちです。
けれども、ちゃんとメールできちんと言語化をしてわかりやすく打っておけば、うまく伝えられるので、やはりメールはすごく大事ですよね。
岩本:はい。
「伝わる」メールの3つのポイント
豊間根:メールに限らず、最近はもう「Teams」「Slack」「Chatwork」みたいなチャットツールでも同じことが言えるかなというところです。そういったテキストコミュニケーションをわかりやすくするためのポイントを、今日は大きく3つ(のポイント)で考えていきたいなと思っています。
1個目が「項目に分ける」こと。2個目が「見出しをつける」こと。3つ目が「どうしてほしいかを書く」ことです。
順番に例を使いながら見ていくんですが、まず「項目に分ける」ところですね。例えばここに(次のような)テキストコミュニケーションのやり取りがありますと。
「例のプロジェクトは順調に進んでいますか」と聞かれて、「その件なんですが、リーダーの田中さんが体調不良で3週間ぐらい休んでおりまして、加えて新人の鈴木君がサンプル品の発注でミスをしてしまい納品が遅れてしまったこと、代理店の担当者さんが人事異動で変更になってしまったことで引き継ぎに時間を要したことなどもあって、大幅に遅れているのが現状です。ですが、最終納品物のボリュームを減らしたり、経営企画部の高橋さんにヘルプをいただいて、なんとか巻き返せる見込みです」とぐちゃっとひと固まりで言われると、めっちゃ読みづらいです。
岩本:そうですね(笑)。
項目に分ける
豊間根:なので、いくつかの項目に分けたいわけですね。これをヒロカだったらどういう項目にこの話って分けますか?
岩本:私だったらまず「結論」を言うかもしれないです。
豊間根:いいですね。結論ファーストね。
岩本:(結論は)進んでいるか、進んでいないかです。見出しをつけるとしたら「理由」とかで、これこれこういう理由があるから、「ネクストアクション」みたいな感じで(次は)こうしますの3つかなと思います。
豊間根:いいですね。「結論」、遅れている「理由」、「じゃあ、どうすんの?」という「アクション」ですね。まさにそんな感じで、要するに順調に進んでいるかどうかで言うと、あんまり進んでいないですよと。まさにこれは、口頭で話す時でも、チャットコミュニケーションでも、テキストコミュニケーションでも一緒です。
要するにその質問にまず答えるということです。ここで言うと「原因」と「対策」に分けています。「大きく3つの原因で遅れているんだけども、2つの対策でリカバリーしていきます」と、「じゃあ、どうすんの?」までを箇条書きにしてあげます。
(さっきの例のように)ブワーッと文章で書いてあげるんじゃなくて、やはりテキストの場合は短く区切ってあげることがわかりやすさのためには重要です。というのが「項目に分ける」という話です。
見出しをつける
豊間根:2個目が、これも項目の話に近いんだけども、「見出しをつける」という話です。例えば、「今度の懇親会の会場や食事や余興(の準備)は大丈夫そう?」と言われた場合に(次のような返事をするとします)。
「会場は駅前の貸し会議室を押さえています。会が18時開始なので、余裕を持って16時から予約済みです。かかった費用は10万円です。少し予算をオーバーしましたが部長にはOKをもらっています。食事はちょっとトラブルが発生していまして、もともとお願いしていた業者さんがコロナで休業になってしまい、代わりに頼めるお店を探しています。会社の目の前のカジュアルフレンチが今のところ有力な候補です。また、余興については問題なく進捗しています。今回も鈴木さんたちにダンスを依頼していて、本番の1週間前にリハーサルを設定して内容を確認する予定です」みたいなことをね。
「いや、こんなん書くやつはおらんやろ」という話なんだけど、チャットやメールにブワーッと書いちゃう人はまあまあいます。ひと固まりで読みづらいですよ。
これもさっきと一緒で、まずは項目に分けたいわけですよ。これは質問しているから丁寧だけれども、「会場」「食事」「余興」の大きく3つの項目に分けるといいです。
さらに良くする(には)、というところで言うと、「会場が『要するに』どういう状態なの?」「食事に関して『要するに』どういう状態なの?」「余興は『要するに』どういう状態なの?」と固まりに分けるだけじゃなくて、その固まりでの結論(を最初に述べます)。さっきのやり取りは全体の結論ファーストだったけども、固まりに分けた上で固まりの中で結論ファーストを作るとより見やすくできますと。
あと、これはしれっとやっているんだけど、この見出しのところや特に重要な部分を太字にしてあげてより目立つようにしてあげるとさらに見やすくなるというのが、見出しをつけるという話です。これはSlackやTeamsでもできます。
ヒロカはこれをやっている?
岩本:これは豊間根さんがやっているのを見て、真似しています。
豊間根:いいですね。
岩本:でも、本当に太字が目に飛び込んでくるので、すごく見やすくなりますよね。
豊間根:ぜんぜん違うよね。
岩本:メールでもけっこうバーッと書かれると何が大事なのかわからない時もあると思うと。
あとメールだと、結びの言葉や導入の言葉とか、形式的には必要だけど、(内容的な)意味としてはそんなに意味を持たないものもあるじゃないですか。そういうところで、本当に伝えたい部分に太字を使うのは、たまにやっています。
「どうしてほしいか」を書く
豊間根:間違いないですね。ここまでの話はどっちかというと見せ方やデザイン的な話でした。最後の3つ目はやや位相の違う話です。「どうしてほしいか」を書くという話なんですね。
例えばここにとあるチャットがあるんですけど、「資料作成キャンペーンのメルマガの原稿案が上がってきました」と。たぶんマーケティングかプロモーションを担当していて、メルマガの原稿案を上司に確認してほしい人なんだと思うんですよ。
「これこれこういう題名で、『毎週1回Tipsを配信しています。本日はキャンペーンのお知らせです。30パーセントオフセールを実施します。申し込みはこちらから』みたいな感じで発信しようと思います。以上、ご確認よろしくお願いします」とメールの文章を打っているという。これはダメなんですよね。なぜかというと、何をどう確認するのかわからないから。
岩本:でも、これはやってしまいがちだと思うんですよ。
「ご確認お願いします」は禁句
豊間根:「ご確認お願いします」はもう禁句だと思います。じゃあ、どうするかというと、「自分はこう考えています」と「こういうアクションを取ってほしいんです」というところまで、ちゃんと明示してあげることですよね。

前提(として)、「原稿案が上がってきました」というところに対して、自分がまずどう考えているのか。「自分はまず大枠は問題ないと思っているけども、いくつか表現として気になる部分があるので意見が欲しいです」と原稿をバーッと書いてあげます。
「相談ポイントは2つあります。まず1個目は題名に『30パーセントオフ』と入れたほうが開封率が上がるんじゃないかと思っています。2個目はURLを記載する前にビジュアルがあったほうがクリック率が上がるんじゃないかと思っています。配信が3月末だから、3月29日までに確認してほしいです。お願いします」と。
そう言われれば、これで初めて「あぁ、なるほど。この人はこういうことを考えていて、こういうアクションを具体的に取ってほしいんだな」ということがわかるから、すごく返信しやすいんですよね。
相手が返信しやすいメールを目指す
豊間根:こういうふうに、見せ方だけ(にこだわるの)ではなく、(あるいは)ただ情報を横流しするとか、自分のスタンスを持たずに全部丸投げするのではなくて、「今自分はこう考えている。あなたには具体的にこういうアクションを取ってほしい」ということまでちゃんと明示してあげると相手がすごく答えやすくなります。
アクションが取りやすいという意味でわかりやすくなるのがすごくポイントなんですね。でも、これを意識的にやれている人は地味にけっこう少ないですね。
岩本:「ご確認お願いします」とか「ご共有です」とか、意味のない情報の横流しはけっこうしがちだなというのは、そうだと思います。
豊間根:そうです。なのでもちろんこれを全部できるかというと、忙しいとできないこともあります。けれども基本的には常にアクションを示すことが大事だよという意識はやはり持ったほうがいいですね。
3つのポイントをお話ししたんですが、総じて結局一番大事なのは相手の気持ちになることです。「自分がこれを言いたい」とブワーッと書くとか、「とりあえず自分がこれを伝えればもう言質は取れた」みたいに自分目線でやっちゃうんじゃなくて、相手が読みやすいかどうかです。
求めているアクションを取ってもらいやすいかどうかを相手目線で考えて文章を書いてあげるのが常に大事だよというところが一番のポイントかなと思います。