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新規事業を生み出す「クリエイティブ・マネジメント」事業化を見据えたアイデア創出の思考法を学ぶ(全6記事)

10個のアイデアを出すには1,000個のインプットが必要 ビジネスアイデアの種を増やす「ときめきメモ」「トレンドレポート」活用術 [2/2]


プライム上場企業の新規事業部で起きた変化

実際に、こういったクリエイティブ・マネジメントを導入した企業の事例として、この本ではJVCケンウッドさんを紹介しています。

ケンウッドさんでは、まず「アイデアを生む」というよりも、その前提として「アイデアを生む人たちがどんな環境にあるか」ということから始めました。

過去に2度の新規事業に失敗し、社内では意気消沈した空気が広がり、やる気も失われていた。そうした状況の中で、私が最初に取り組んだのは、新規事業部のリノベーションでした。

このプロジェクトは比較的ボトムアップで進んだもので、トップダウンで進めたわけではありません。失敗が続き、もうこれ以上失敗できないという空気の中で、まずはクリエイティブ・マネジメントの考え方や思考に関するワークショップなどを実施していきました。

1年ほど取り組んだ結果、ストレスチェックや働きがいなどのサーベイの数値が劇的に改善し、日本の平均値を大きく上回るまでになりました。それまでは全国平均を大きく下回るマイナス状態だったのが、明らかにポジティブな環境に変化したのです。

そういった環境でなければ、アイデアが実装にまで至ることはありません。他部署からも「最近雰囲気が変わりましたね」「何をしたらそうなったんですか」といった声が届くようになり、他部署からの相談も増えていきました。

これは、いわば社内コンサルのような立ち位置になってきているのかもしれません。いろんな部署から「このチームに相談すると、おもしろいアウトプットが出てきそうだ」と思われるような、新規事業を生み出す“頭脳集団”。いわばシンクタンクのような存在になってきていると感じています。

まずは、そのような組織を目指して動き始めました。1年間で300件ほどのアイデアを出し、そのうち3つを仮説検証するというところまで、ようやくたどり着けたというのが現状です。

このプロセスの中では、最初にエンゲージメントの低下、つまり「マイナス」からの出発がありました。そこからチームのエンゲージメントを高め、アイデアを自由に出せる環境を整え、実際にアイデアの検証フェーズまで持っていく。これを1年間かけて、ギリギリかたちにできたという手応えです。

新規事業で迷走しないために必要なこと

この取り組みは、ビザスクさんのご紹介で担当した「ケンウッド」さんとのプロジェクトとして行ったものです。

新規事業というのは、1〜2年で立ち上げて収益を出すようなものではありません。仮にそれが可能であれば、それは「新規事業」とは呼べないレベルの取り組みだと思います。やはり、5年、10年という長期的なスパンで考え、まずは土壌から変えていく必要があります。

「3年で100億円をつくれ」といった現実離れした要求をされても、それはお受けできません。そもそも無理ですし、本質的ではないからです。

まず取り組んだのは「習慣の変化」です。メモを取る習慣が身につき、アイデア発想の習慣が育ち、社会課題に目が向くようになり、事業に対する関心、調査力や学習意欲が高まっていった。そして、そうした意識の変化が行動変容にも結びついていきました。

具体的に何をしたかというと、まず過去の失敗を振り返り、「なぜ失敗したのか」「どれだけの損失があったのか」を明確にしました。その上で意識をそろえ、メンバーの内発的動機を引き出すための仕掛けを入れました。

例えば、14人を7人ずつの2つのチームに分け、それぞれに独自のパーパス(存在意義)を再定義してもらいました。加えて、「チームA」「チームB」ではなく、自分たちで会社名を考えてもらい、その旗印のもとで活動してもらう。そうすることで、仕事を「自分ごと」として捉えるようになっていきました。

その後、アセット(資産・資材)の棚卸しを行い、自分たちの強みや活用できるリソースを洗い出しました。次に、新規事業の“型”を学びました。すなわち、「アート思考」「デザイン思考」「ロジカル思考」という3つの思考法をどう活用するかを理解するところから入り、ようやくアイデア創出(アイディエーション)の段階に入っていきました。

つまり、「とにかくアイデアを出して」と言っても、土台が整っていなければ、組織は簡単に揺らいでしまうということです。そして、事業計画・事業戦略の策定、事業化の判断、事業開発へとフェーズを進めていく。

このような一連の流れを、自分たちの中で“型”としてしっかり持っておかないと、「今、自分たちはどこで何をやっているのか」がわからなくなり、迷走してしまうリスクがあります。それを防ぐためにも、自分たちの立ち位置やフェーズを常に確認しながら、一つひとつ丁寧に取り組んでいく必要があります。

スティーブ・ジョブズの言葉

結局のところ、「仕事の自分ごと化」が大きなポイントになってきます。スティーブ・ジョブズも、「ある種の情熱と覚悟が必要で、しかも楽しくなければできない」と言っています。強い情熱がなければ、まともな人ならやめてしまう。それほど本当にハードなものだと語っています。

ただ、それをやりきった時には、ものすごいスキルが自分に身についていることに気づきます。全体を俯瞰して見る経験はなかなかできるものではなく、これが新規事業の醍醐味の1つです。

0からスタートして商品やサービスがかたちになり、それを使っている人の笑顔を見ると、自分がどれだけ成長したかを実感できます。自分のスキルアップのためにやっているという意識を持つことが、実はもっとも重要なのです。

そのうえで経営陣に伝えたいのは、「10年後の柱になる事業」を創出しようとしているのだから、それだけの価値ある取り組みであるということです。「ちょっとやってみてよ」といった軽い扱いでは済まされません。

また、私が常にお願いしているのは、やったことのないこと、見たことのないことに取り組むのだから、「それはやっちゃだめ」「事例がないから無理」といった否定から入る姿勢は、新規事業の妨げになるということです。

もちろん、無茶な要求をするつもりはありません。いきなり「明日10億円出してください」とは言いませんが、やりたいことに対して、まずは理解を示してもらう必要があります。信じて、見守って、権限を与える。そして、失敗の確率を理解し、トライアンドエラーを推奨するようなスタンスが求められます。

新規事業部署においては、情熱と覚悟、信頼できる仲間とのチームビルディング、自分の仕事への愛着、自律的な働き方が重要です。小さな成功を積み上げていくスタイルで、継続して取り組むことが大切だと思います。

新規事業チェックリスト

こうしたことを、今まさに実装し始めている事例として、次回6月2日は、現在私がビザスクさんのご紹介で伴走支援をしている伊藤忠丸紅住商テクノスチールの西村隆宏さんをお迎えします。実際に今、どのように0から立ち上げを進めているのかをうかがいます。

鉄鋼業や建築業は非常に古い体質の業界です。人口減少の影響で建設作業員の確保が難しくなっていたり、いまだに図面をアナログでやりとりしていたりといった現状がある中で、本来であればデジタル化や3D化による合理化が必要です。しかし、それがなかなか浸透していないのが実情です。

そのような状況下で、企業体質をどう変えていくのか、新しいことを考える人をどう社内に生み出すのか。現在まさにそのトライアルの真っ最中であり、その取り組みをお話しします。みなさんの会社にも通じる点が多くあるはずです。

先ほど紹介した3つの壁についても、それぞれの壁を超えるために今何ができるのか。今回の事例の中に、そのヒントが見えてくると思います。

お時間になりましたのでこれで終了なんですけれども、一応おまけとして、アンケートにご回答いただいた方には「新規事業チェックリスト」を差し上げています。

これは私の主観がかなり入っているので、これが正解かどうかはわかりませんが、まず個人のレベルでは「好奇心を持っていますか」「課題発見能力がありますか」「創造性がありますか」「会社に対する愛着を持っていますか」「いろんな人と協業できるコミュニケーション能力がありますか」「実行力とモチベーションがありますか」といったことを挙げています。

次にチームのレベルでは、「理解と経験があるかどうか」が重要です。特にリーダー的な役割を担う人が経験者でないと、成功の確率が上がらないうえに、時間も非常にかかります。

さらに、「顧客優先」の姿勢も不可欠です。上司や経営陣の意向よりも「これは本当にお客さんが欲しがっているものだ」と信じて動けるかどうかが問われます。こうした視点でチェックしてみて、どれぐらい該当するかを確認してみてください。

そして経営のレベルにおいては、新規事業部門との関係性が深く、しっかりとコミットできていなければ成功は難しいです。経営が十分に関与していないと、どうしても動かない部分が出てきてしまいます。

こうしたいくつかの観点から、チェックリストを通じてご自身や自社の状態を点検していただければと思います。新規事業に取り組む上での土台や適性がどれだけ整っているかを知るきっかけになればうれしいです。私の話はこれで以上となります。ありがとうございました。

主催:ビザスク

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