一代で東証プライム上場を成し遂げた木下勝寿の仕事術や、北の達人コーポレーションの社員の働き方などを通して、「リアルな北の達人コーポレーション」をお届けする「北の達人チャンネル」。今回は、お金儲けするための社会のセオリーが学べるオススメ書籍を紹介します。
お金儲けするための社会のセオリーが学べるオススメ書籍3選
——木下社長! 世の中って情報が溢れすぎていて、何を信じて行動すればいいのかわからなくなることってけっこう多いんですよね。でも成功している人たちって、なんだか物事をすごくシンプルに考えて、自分にとって大事なことを正確に選んでいるように見えるんですよね。判断力って特別な知識や経験が何か必要なんですか?
木下勝寿氏(以下、木下):そうですね。社会には一定のセオリーやルールがあります。この知識を持つことで社会の仕組みを深く理解できるようになって、何を優先してどう行動すればいいのかが判断しやすくなります。これがあると、やはり迷いや不安がなくなって、自信を持って選択できるようになるかなと思っています。
——やはりそうなんですね。そういうのって学校で習ったりしなかったし、どうやって知識を身につけたらいいですか?
木下:確かに学校ではこういったことを教えてくれないですよね。実は私自身もこういう知識をもっと早く持っておけばよかったなと思うことがたくさんあります。特に20代の頃に知っておけば、もっとスムーズに物事を進められたのではないかなと、今でも感じることがあるんですね。なので今日は、社会の仕組みを理解するために、ぜひ読んでおいてほしい本を3冊紹介します。
これらを読むだけで社会のセオリーが見えてきて、選択や行動がスムーズになるかと思います。
——よろしくお願いします。
木下:他にも仕事が捗るような動画を出しているので、みなさんの学びになったらうれしいです。今日の動画が良かったら、ぜひ他の動画も見てみてください。ただ聞いているだけの場合よりも、アウトプットを行ったほうが記憶への定着率が向上することが科学的に証明されていますので、動画を見て気づきがあったことは、ぜひコメント欄に書いてアウトプットしてみてください。
問題は専門家に任せただけでは解決しない
木下:さっそく本題に入りたいと思います。最初にまず紹介したい1冊目は『37の病院・医師をまわり 僕はがんを治した』です。この本を私自身が読んで学んだ教訓というのは、「世の中というのは専門家に(さえ)任せれば問題が解決するということはあり得ない」ということですね。そして、専門家の手を借りたとしても、最後は自分で問題を解決しなければならないことをこの本から学びました。

専門家の知識は大切なので専門家に頼るんですけど、依存するのではなくて最後は自分で決めることの大切さをこの本を読んで学びました。
この本はどんな本かというと、起業家として有名な福島正伸さんご自身が、がんにかかられたんですね。ご自身ががんを治すために37ヶ所の病院を回って最終的に克服したという話が書かれた本です。福島さんご自身の喉頭がんが発覚したところから話がスタートします。
最初に福島さんはがんの専門のA病院に行かれたそうです。陽子線治療という、がんの治療法としてもけっこう最先端な治療法があります。そこでA病院では陽子線治療に詳しいということで、その病院に行ったんです。けれどもA病院の先生に「陽子線治療は、あなたのがんには向きません。手術もしくは放射線治療が適しています」と告げられたそうです。
がんの治療法って手術、放射線治療、抗がん剤の3つが3大治療法と言われているんですね。手術も放射線治療も後遺症や副作用がけっこう大変だとその人に聞いたそうです。そこでセカンドオピニオンとしてB病院のお医者さんに会って話を聞きました。
セカンドオピニオンでまったく違う意見を言われる
木下:福島さんはいろんなところで講演をする仕事をしているんですね。なので一般の人に比べるとたくさん話をしています。「あなたが喉頭がんにかかったのは話しすぎが原因です。今すぐ仕事を辞めてください」と言われたそうです。「お仕事があるので辞められないです」と言うと、「いいですけど、これ以上話すと死にますよ」と、何度も言われたそうですね。
「なるほど」と思って、次にCという病院を訪ねました。そこで医師に話を聞くと、「話すことが原因でがんになるなんてあり得ないですよ。話すことが原因で喉頭がんになっているんだったら、人類のほとんど全員が喉頭がんになっています。それはあり得ません」とまったく違う意見を言われました。
確かに言われてみれば、話すことが原因でがんになっていたら、もっと人類みんな、がんになっているよねという話だったんですよね。B病院の医師は何だったんだろうなという話になったんですが、3人目のC病院の医師に「治療はどうすればいいですか?」と聞くと、やはり「手術しかない」と。
「手術して復活して、講演できるようになるにはどうしたらいいですか?」と聞くと、「いや、何を言っているんですか。あくまでも手術は命を永らえるためにすることであって、社会復帰は無理ですよ」と言われたんですね。「無理なんですか?」と言ったら、「命が助かるだけでもラッキーと思ってください」みたいなことを言われました。
最後は自分で判断しなければいけない
木下:ここで「手術をしましょう」という話を言われたんですね。福島さんは諦めきれずに「他に方法はないですか?」と手術以外の方法を聞くと、その先生は、「私は外科医なので、手術以外の治療法については知りません」とおっしゃったんですね。
このあたりでわかってきたのが、それまではがんにはがん専門の医師がいるんだと思っていた。でも実際はそうではなくて、手術に関しては外科医、放射線治療に関しては放射線科医という具合に、治療法によって専門が分かれているんだと。それぞれの治療法のメリット・デメリットを聞いて、自分でどの治療法を選ぶかを判断しないといけないことに気づいたそうなんですね。

それぞれのお医者さんは自分の治療法の良さ、メリット・デメリットだけを教えてくれるが、他との比較についてはわからないんですね。それで多くの医師に話を聞く必要があるということで、結果的に37人のお医者さんに意見を聞いたということでした。
がんの治療法に正解は存在しない
木下:次のある医師はですね、「抗がん剤を使いましょう」と言ったり。別のお医者さんは「ラドン療法という新しい治療法があります」。もしくは、あるお医者さんは「食事療法とサプリメントが効果的です」と。別の方は「複数の治療法を同時に行うべき」という(ように)会う医師、会う医師が全部違うことを言うらしいんですね。
結局、がんの治療法に正解は存在しないという結論に至ったんですね。ここで、専門家にすべて任せるのではなくて、複数の専門家の意見を聞いて、その中からどの治療法を選ぶかは自分が判断する必要があると痛感されたそうです。
福島さんは、手術は副作用が多いためどうしても避けたいということで、まずは副作用の少ない放射線治療を選ぼうとしたんです。けれども放射線治療のお医者さんを訪ねると、(福島さんは)インプラントという歯の治療をしていらっしゃったので、「インプラントがある人は放射線治療は無理です」と5つの病院に言われたんですね。
結果的に37の病院・医師の意見を聞く
木下:6つ目の病院で「できますよ」と言われたんですね。これは「インプラントはありますけど、あなたの場合はこうなので、こういう放射線の当て方をすれば別にできますよ。他の医者ってなんで無理と言ったんでしょうかね?」みたいなことをけっこう言われたそうです。ここでようやく安心して、放射線治療というのも多少の副作用はあるものの、それを受け入れて治療を進めようとしたんです。
ですが、そのタイミングで最初にやろうとしていた副作用の少ない最先端治療の陽子線治療を行える病院が友人の紹介で見つかって、結局、陽子線治療でがんを克服されたそうです。最後の病院にたどり着くまでに37の病院・医師の意見を聞いてきたということです。現在は体調も万全で、以前と同じように全国で講演活動を行われているということです。
最初に相談したA病院では「あなたのがんは陽子線治療は無理」と言われました。次に診てもらった医師には「話すと死にます」と言われました。その次の医師には「手術で命は助かるけれども、社会復帰は無理」と言われました。結局、そんなことはまったくなかったということですね。その話を信じて、もしその治療を受け入れていれば今頃どうなっていたかということです。
専門分野の範囲は、けっこう狭い
木下:まとめると、次のことが言えると思います。専門家の専門範囲は思っているよりも狭く、各自が自分の専門分野の範囲内でのみお話をしていらっしゃいます。その専門範囲の中では、最大のアドバイスをしてくださっています。ただし、専門分野の範囲は、けっこう狭いということですね。複数の専門家の異なる意見を多数聞いて、最後は自分で判断しなければならないということですね。
そのためには「専門家に任せているから安心」ではなくて、自分自身もその分野について学び、判断できる力を身につける必要があるということです。つまり、世の中に正解はないということなんです。他人に正解を出してもらうのではなくて、どんなことでも自分で考えて、自分で調べて、正解を見つけなければならない。そうしないと、可能性を潰してしまうことがあるということですね。