30年以上ビジネスの世界にいて断言できること
木下:当社でも実際に経験があるんですが、オリゴ糖の機能性表示食品を作っております。この商品企画をする際も、さまざまな専門家の意見を聞きました。オリゴ糖は便通改善にすごくいいんですが、「オリゴ糖」と一言で言ってもたくさんの種類があるんですね。ラフィノースとか、ラクチュロースとか数十種類あって、それぞれに特性があります。
そこでオリゴ糖の専門家にいろいろとお話を聞いたんですね。そうすると、その専門家の方は「Aという種類のオリゴ糖は、非常にこんなに高い効果があります。こういうデータがありまして、これはすごくいいです」と言われたんですね。「なるほど。それはすごく良さそうですね」と。
一方で、「Bというオリゴ糖も検討しているんですが、Bというオリゴ糖よりも効果が高いんでしょうか?」と聞くと、「私はAというオリゴ糖の専門家なので、Aというオリゴ糖がどういいかはわかるんですが、Bというオリゴ糖がどう(いい)かは知らないので比較はできないです」と言われたんですね。
結局、我々は自分たちで各オリゴ糖を全部調べました。もちろん一つひとつのオリゴ糖に対する知識は、それぞれの専門家に教えていただいたんですが、どのオリゴ糖をどう組み合わせていくかは、やはり自分たちで最終的には判断したんですね。私自身は30年以上ビジネスの世界に身を置いてきましたけれども、専門家に任せたらそれでよいということはまったくないと断言できます。
複数の専門家の方に意見やアドバイスを聞きながら、自分でも勉強して、どの専門家の意見を採用するかは、やはり自分で決める必要があると思っています。たとえ相手がどんなにすごい人でも、誰かに頼って成功することはできません。自分で調べて、自分で考えて、自分で選択する人しか物事は解決できないと、この本で学びました。
世の中は「自分さえがんばれば勝てる」世界
木下:そして一方でこの事実を大変だなと思うのか、チャンスだなと捉えるのかなんですが、私自身は実はチャンスだと捉えました。これは誰しもが専門家に頼るのではなくて、自分自身で解決しないといけないという状態です。それはあなた自身もそうですし、実はライバルの方もそうなんですね。
なので成果を出している人は、専門家の人脈を持っているから成果を出しているのではなくて、自分で勉強してがんばって解決している人が実は成果を出しているということです。つまり世の中というのは、自分さえがんばれば勝てる世界なんですね。

私自身は30歳ぐらいでこの事実に気づきました。何でも自分で調べて、自分で考えてやるようになったんです。けれどもこれを20代の頃に気づいていたら、もっと成果を出していたのかもなと思っています。この本は、ぜひ早いうちに読まれたほうがいいと思います。あなたも誰かに安易に依存せず、自らの力で解決できるようになってほしいなと思っています。
そしてもう1つ大事なことが、37人の専門家に否定されても諦めなかった福島さんの力がすごいなと思っています。実は当社の中でも(福島さんと)同じようにがんと闘っているメンバーがいるんですね。このメンバーに僕はこの本を渡して、その人もずっと諦めずに、常に新しい治療法を探して取り組んでいます。
なので専門家が反対をしたとしても、それを乗り越えることができる。そんな事柄もぜひ学んでもらいたいなと思っています。